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町おこし編
第40話 販売開始
しおりを挟むコンコンコン
「師匠~おはようごさいまーす。」
「・・・」
「師~匠~。起きてますかー?」
気が付いた時にはもう朝だった。
小さな椅子に腰掛けたままだ。
全身が固まってバッキバッキだ。
昨日の夜は衝撃的だったなぁ~。
もはやそれしか覚えてないよ。
「師~匠~?」
「あ、はーい。ちょっと待って。」
体を解しながら部屋の扉を開ける。
「おはようごさいます、師匠。まだ寝てたんですか?」
「あぁ、昨日遅くてね。ラブラさんは?」
「ラブラさんならもう出られましたよ。ギルドとか色々と用事があるそうです。」
「そっか。」
ラブラさんと顔を合わすのは何か恥ずかしいから、ちょうど良いか。
「師匠!早く行かないと良い場所が取られてしまいますよ!」
「あ!そうだな。すぐ支度する。」
ちゃちゃっと支度をして市が開催される広場へと急ぐ。
広場へ着くとガヤガヤと多くの人達が忙しそうに準備をしている。
この広場は王都の外れにある国有の空き地だ。普段は軍が訓練に使ったりしている。
「えーっと、受付はどこだ?」
「師匠!あそこです。」
受付に行って手続きを行う。
基本的に出店料を払えば誰でも出店は可能だ。
出店料のランクで与えられるスペースも変わる仕組みだ。
今回は商品も多くないので最安の個人ランクで問題ない。
ちなみに個人・行商・商店・豪商の順にランクは上がっていく。
出店料を払って敷布を受け取る。
この敷布の面積が与えられたスペースだ。
参加者は敷布の外で品物を展示したり商談していると違反となり、罰金を取られてしまうのだ。
どこに店を出そうかと会場を見回る。
「師匠、あの辺りはどうですか?」
「どこ?」
「ほら、あのお爺さんの隣が空いてますよ!」
「えー。折角なら隣は若い女の子がいいなぁ。」
「何を言ってるんですか!あのお爺さんは知る人ぞ知る織物職人さんなんですよ。」
「へぇー、そうなんだ。じゃあ、そこにしようか。」
見た目ヨボヨボのお爺さんが正座している。
寝ているのかな?
「おはようございます。お隣に失礼しますね。」
「あぁ、ええですよ。どうぞ、どうぞ。」
お爺さんの前には綺麗な反物が並んでいる。
艶と光沢があり手触りも良さそうだ。
俺も商品を並べて準備を整えた。
スペースも狭いので店番は俺とサラの交代で行おう。俺も他の店を見て回りたいしね。
談笑しているとラッパの音が響き渡った。
開場の合図だ。これからお客さんが入ってくるぞ。
まずは俺が店番で様子を見てみよう。
売れないな・・・
人通りは多いと思うのだが、現に隣のお爺さんの店はお客が途切れていない。
暇なので前を通る人達を眺めるとやはり都会を感じる。
特に衣服は町と比べると発展している。
ズボンやスカート、ポロシャツに作業着っぽい服まで流通している。
デザインだけでなく生地の種類も多そうだ。
すると目の前をゴスロリな服装をした女性が通った。
紫のロングヘア眼鏡、そして黒のドレスが異彩を放っている。
女性はお爺さんの店で反物を吟味している。
お爺さんとは顔馴染みのようだ。
選び終えるとポンポンと反物を大人買いだ。
あの反物って1巻で3金貨以上しているのに。
女性は満足気な笑みを浮かべている。
品は大量なので後で取りに来るそうだ。
女性を眺め過ぎたのか帰り際に目が合ってしまった。
「あら?そのサンダルって・・・」
「あ、良かったら見てってください。」
「ええ、手に取っても良いかしら?」
「どうぞ、どうぞ。」
「へぇー、やっぱり。スニーカーみたいになってる。」
「え!スニーカー!?」
「あー、なんでも無いわ。これを1つくださいな。」
「はい、ありがとうございます。」
「これは貴方が作ったの?」
「いえ、サイモンの町で売られていますよ。」
「へぇー、そうなの。ありがとう。」
女性は長い髪を揺らしながら去って行った。
それからお爺さんの店の流れで見て行ってくれる人がチラホラ、サンダルはもう1つオジさんに売れました。
そろそろお昼だ。人が1番多い時間帯だ。
「師匠~、売れ行きはどうですか?」
「うん。サンダルが2個売れたぞ。」
「えぇぇ!何やってるんですか!!もっとちゃんと売ってくださいよー。」
「いや、ちゃんと店番してたよ?」
「はぁー、次は私が店番してますから交代しましょう。」
「じゃあ、俺は他の店を見て来るよ。」
「はい!お店は任せてください!!」
なんでサラはあんなに自信満々なのだろう?
まぁ、売れなくても責めないでやるか。
お爺さんの店は半分以上の商品が売れている。
お爺さんはうたた寝しているが、その度にお客さんに声をかけられて起こされている。
ちょっとだけ可哀想だ。
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