魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

文字の大きさ
44 / 106
町おこし編

第40話 販売開始

しおりを挟む

コンコンコン

「師匠~おはようごさいまーす。」

「・・・」

「師~匠~。起きてますかー?」


気が付いた時にはもう朝だった。
小さな椅子に腰掛けたままだ。
全身が固まってバッキバッキだ。

昨日の夜は衝撃的だったなぁ~。
もはやそれしか覚えてないよ。


「師~匠~?」

「あ、はーい。ちょっと待って。」

体を解しながら部屋の扉を開ける。


「おはようごさいます、師匠。まだ寝てたんですか?」

「あぁ、昨日遅くてね。ラブラさんは?」

「ラブラさんならもう出られましたよ。ギルドとか色々と用事があるそうです。」

「そっか。」

ラブラさんと顔を合わすのは何か恥ずかしいから、ちょうど良いか。


「師匠!早く行かないと良い場所が取られてしまいますよ!」

「あ!そうだな。すぐ支度する。」


ちゃちゃっと支度をして市が開催される広場へと急ぐ。


広場へ着くとガヤガヤと多くの人達が忙しそうに準備をしている。
この広場は王都の外れにある国有の空き地だ。普段は軍が訓練に使ったりしている。


「えーっと、受付はどこだ?」

「師匠!あそこです。」


受付に行って手続きを行う。
基本的に出店料を払えば誰でも出店は可能だ。
出店料のランクで与えられるスペースも変わる仕組みだ。
今回は商品も多くないので最安の個人ランクで問題ない。
ちなみに個人・行商・商店・豪商の順にランクは上がっていく。
出店料を払って敷布を受け取る。
この敷布の面積が与えられたスペースだ。
参加者は敷布の外で品物を展示したり商談していると違反となり、罰金を取られてしまうのだ。

どこに店を出そうかと会場を見回る。

「師匠、あの辺りはどうですか?」

「どこ?」

「ほら、あのお爺さんの隣が空いてますよ!」

「えー。折角なら隣は若い女の子がいいなぁ。」

「何を言ってるんですか!あのお爺さんは知る人ぞ知る織物職人さんなんですよ。」

「へぇー、そうなんだ。じゃあ、そこにしようか。」

見た目ヨボヨボのお爺さんが正座している。
寝ているのかな?


「おはようございます。お隣に失礼しますね。」

「あぁ、ええですよ。どうぞ、どうぞ。」

お爺さんの前には綺麗な反物が並んでいる。
艶と光沢があり手触りも良さそうだ。
俺も商品を並べて準備を整えた。
スペースも狭いので店番は俺とサラの交代で行おう。俺も他の店を見て回りたいしね。

談笑しているとラッパの音が響き渡った。
開場の合図だ。これからお客さんが入ってくるぞ。
まずは俺が店番で様子を見てみよう。


売れないな・・・


人通りは多いと思うのだが、現に隣のお爺さんの店はお客が途切れていない。

暇なので前を通る人達を眺めるとやはり都会を感じる。
特に衣服は町と比べると発展している。
ズボンやスカート、ポロシャツに作業着っぽい服まで流通している。
デザインだけでなく生地の種類も多そうだ。

すると目の前をゴスロリな服装をした女性が通った。
紫のロングヘア眼鏡、そして黒のドレスが異彩を放っている。
女性はお爺さんの店で反物を吟味している。
お爺さんとは顔馴染みのようだ。
選び終えるとポンポンと反物を大人買いだ。
あの反物って1巻で3金貨以上しているのに。
女性は満足気な笑みを浮かべている。
品は大量なので後で取りに来るそうだ。
女性を眺め過ぎたのか帰り際に目が合ってしまった。

「あら?そのサンダルって・・・」

「あ、良かったら見てってください。」

「ええ、手に取っても良いかしら?」

「どうぞ、どうぞ。」

「へぇー、やっぱり。スニーカーみたいになってる。」

「え!スニーカー!?」

「あー、なんでも無いわ。これを1つくださいな。」

「はい、ありがとうございます。」

「これは貴方が作ったの?」

「いえ、サイモンの町で売られていますよ。」

「へぇー、そうなの。ありがとう。」


女性は長い髪を揺らしながら去って行った。

それからお爺さんの店の流れで見て行ってくれる人がチラホラ、サンダルはもう1つオジさんに売れました。
そろそろお昼だ。人が1番多い時間帯だ。

「師匠~、売れ行きはどうですか?」

「うん。サンダルが2個売れたぞ。」

「えぇぇ!何やってるんですか!!もっとちゃんと売ってくださいよー。」

「いや、ちゃんと店番してたよ?」

「はぁー、次は私が店番してますから交代しましょう。」

「じゃあ、俺は他の店を見て来るよ。」

「はい!お店は任せてください!!」

なんでサラはあんなに自信満々なのだろう?
まぁ、売れなくても責めないでやるか。
お爺さんの店は半分以上の商品が売れている。
お爺さんはうたた寝しているが、その度にお客さんに声をかけられて起こされている。
ちょっとだけ可哀想だ。
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

処理中です...