魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

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北の森のダンジョン編

第51話 通達

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「ガルドちゃーん、これで最後よ。」

ゲイ兄弟が荷車を押してやって来る。
あの後は、採掘場の入り口でゲイ兄弟に会えて、事情を説明して助けてもらった。
新しい鉱脈はまだ見つかっていないが、天井や壁を補強しながら順調に掘り進めているらしい。鉱夫仲間も応援に来てくれているので、以前に爆破した岩盤は綺麗に取り除けたそうだ。後はどちらに掘り進めるかの運勝負らしい。


「ふぅー、これで全部ね。」

倒した蟻は解体して、素材ごとに袋へまとめ運んで来た。
さすがは元冒険者のゲイ兄弟は、蟻の事も解体方法も知っていた。
解体のコツを教えて貰いながら手分けして作業した。鉱夫仲間の人達も元冒険者らしく、手伝って貰えたお陰で早く片付いた。
それでも10袋ほどになったので、町まで荷車を取りに戻って貰った程だ。


「しかし、これだけのアイアンアントを仕留めるとは兄ちゃんすげぇーな!」

「だなぁ!くそ硬ぇから面倒な相手なのになぁ。」

鉱夫のおっちゃん達が褒めてくれる。
この蟻はアイアンアントと言う魔物で、全身が鉄のように硬く、剣や弓が効き難い。さらに火水風土の基本4属性の魔法も効き難いので、中堅の冒険者でも苦戦する事のある相手なのだそうだ。さらに群れで行動する事が多く、うっかり囲まれると全滅の危険性まであるそうだ。


「それにしても丁度良かったわぁ。」

鉱夫のゲイルさんが嬉しそうに寄って来た。


「なんでですか?」

「それはね。アイアンアントは鉄鉱石も食べちゃうらしいの。だから巣があるって事は鉱脈が近くにあるって噂を聞いた事があるのん。」

「だから、私達が掘り進めるべき方向もこれで分かったのよん。」

ゲイ兄弟が手を取り合っている。
そうか、なら新しい鉱脈が見つかるのも近いかもな。


「皆さん、ありがとうございました。良ければお礼にギルド酒場で1杯奢らせてくれませんか?」

「あらぁ~、いいわね!」

「ガルドちゃん、男前~!」

「それじゃあ、ギルドまで後ちょっとお願いします。」


冒険者ギルドに買取査定をお願いしてから、隣の酒場でみんなと盛り上がった。
一頻り楽しんでいると、クラナがやってきた。


「ガルドさん、お待たせしました。査定が終わりました。それからマスターがお呼びですよ。」

「爺さんが?わかった。それでは皆さん、俺はお先に失礼します。お代は俺が後で支払いますので、今日は助かりました。ありがとうございました。」

「ガルドちゃん、ありがとう~。また何でも言ってね。」

「兄ちゃんの頼みなら、いつでも引き受けるぜ!」

「鉱脈が見つかったら知らせるわぁん。」

鉱夫の皆さんはもう少し飲んで帰るようだ。
クラナに案内されて3階の奥へと進む。3階なんて初めて来たよ、ギルドマスターの部屋なのかな?

コンコンコン

クラナが扉をノックする。


「入っても良いぞ。」

「失礼します。ガルドさんをお連れしました。」

部屋の中は落ち着いた雰囲気だが高級そうな調度品で揃えられている。


「爺さん、何か用かい?」

「ガルド、お前さんの耳にも入れておこうかと思ってのう。まぁ、座るが良い。」

俺がソファに座るとクラナがお茶を持って来てくれた。
酔い醒ましにお茶を頂く、クラナは爺さんの後ろに立って控えている。

「それで、何かあったの?」

「それがのう。王都から通達が来たんじゃがな。」

「何の通達?」

「うむ。ゴムノキをカンパニーとして認めても良いとの内容じゃ。」

「良い知らせじゃないの?」

「それがのう。認定するには金が必要だとか、税を課すだとか、挙句には王都でのロック商会との専売契約を打ち切り、自由販売にしろなどと書いてあるのう。」

「うーん。認定されると何か有利になったりするのかな?」

「国のお墨付きじゃからのう。信用されやすいとか、政治的な部分で有利になったりはするんじゃろうなぁ。」

「そう言うのには興味ないかな。」

「儂もじゃ。」

「それなら別に認定して貰わなくても良いんじゃない?」

「そうじゃのう。」

「自由販売になったら製作が追い付かないだろうし、模造品なんかが出回る可能性もあるだろうから、俺たちには不利になる事しかないかもね。」

「そうじゃな。明日の夕方、改めてリーダー達と話し合いをしようと思う。そこでお前さんの考えも説明してやってくれ。」

「わかった。」

カップに残っていたお茶を頂き、席を立つ。


「それじゃあ爺さん、また明日。」

「気をつけての。」

再びクラナに案内されて1階へと降りる。


「ガルドさん、買取の査定内容を確認されますか?」

「うーん。相場を知らないし別にいいや。さっきの食事代を引いた分で明日渡してくれるかな?」

「わかりました。それと、こちらがガルドさんが持ち帰られる分の素材です。」

「あ、忘れてた。ありがとう!」

「それでは、お気をつけて。」

「クラナ、ありがとう。おやすみ。」

素材の詰まった大きな袋を担いで家路を急ぐ。
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