魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

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北の森のダンジョン編

第54話 女王とガーディアン

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長い通路を戻り大部屋まで戻る。
今度は左の通路を進んで行く。
こちらはそんなに長くないようだ。


「部屋があるな。」

ランプで中の様子を伺う。
そんなに広くはない。蟻はいないのか?
中に進み辺りを照らす。
ギラリと光を反射する黒い物体。
やっぱり蟻がいたか。
ランプの光量を最大にして部屋中を照らす。
部屋の中にいた蟻の数は5匹。
しかし、1匹ずつがデカイ!
大型犬ぐらいの大きさはありそうだ。

ガチガチっと強靭そうな顎を鳴らして警戒している。
相手をよく見ると体が大きいだけでなく、触覚の間に1本の鋭い角が生えている。

すると先頭の蟻が角を立てて突進して来た。


「速いぞ!」

トラちゃんが角を避けて突進を受け止める。
しかし、突進の勢いは止まらず、トラちゃんごと押し込んで行く。


「スピードとパワーが凄いぞ。サラは突進に巻き込まれないように注意しろ。」

「はい!師匠また突進が来ます!!」

サッと1匹の突進を躱した。
しかし、そこへ後ろからもう1匹の突進が迫っていた。


「ヤバッ!」

「師匠!危ない!!」

ギリギリで角が刺さるのは回避できた。
しかし、角の先端が胸元を擦り、革の胸当てが裂けてしまった。
蟻はそのまま俺を押し込み、壁に押し潰す気だ。抵抗してもドンドンと押されていく。


「クソッ、仕方ない。ビリリ玉を喰らえ!」

ポケットに手を入れ2つのビリリ玉を発動させる。

バチバチバチバチバチバチ

自爆の一撃をお見舞いしてやった。
蟻の足が止まった。
その隙に抜け出したのだが、蟻も動き出した。


「雷の効きが悪いな。」

「でも、動きが鈍くなってます!」

「よし、まずは突進を封じる。トラちゃん、電撃だ。」

トラちゃんが押し合っていた蟻を蹴り飛ばす。風ブースターの勢いを利用した蹴りは鈍い音を立てて蟻を宙へと送り出す。

蹴り飛ばされた蟻は落下して他の蟻にぶつかった。

そこへトラちゃんが飛びかかり追撃を加える。大槌を叩きつけて電撃を見舞う。
大槌の直撃を喰らったのは蹴り飛ばされた蟻、流石に倒したようだ。
他の蟻も電撃で動きが鈍そうだ。


「サラ、爆弾はまだあるか?」

「はい。あと2つあります。投げますか?」

「よし、いっとけ!」

「はい!いっきまーす!!」

サラの投げた爆弾で残りの4匹は完全にスタン状態だ。


「トラちゃん、潰してしまいなさい!」

俺も1匹を仕留めようとするが、このデカイ蟻は首の後ろの弱点も硬い。
頭を潰す以外の攻略法が見つからなかった。


『レベルアップしました。』

サラを見るとグッと親指を立てているので、サラもレベルが上がったのだろう。


「師匠、女王蟻も近そうですね!」

「あぁ、このまま一気に行くぞ!」

「はい!」

奥の通路を進むと、すぐに開けた部屋に出た。今まで以上に高い天井、部屋の奥は高い段になっており、これまたデカイ蟻が鎮座している。羽つきの女王蟻だろう。
段の下にはさっきと同じ角有りのデカイ蟻が4匹控えている。


「先手必勝。これでも喰らえ!」

ポケットのビリリ玉を1個取り出して、女王蟻へ投げつけた。

ゴゴゴゴッと地面が隆起し、壁となり防がれてしまった。


「土魔法を使うのか?厄介だな。」

反撃とばかりに4匹の蟻が突進を仕掛けてくる。


「サラ、地面を凍らせるんだ。」

「はい!」

サラが地面に散水をして、氷結の矢を打ち込む。
地面には氷が張り、ツルツル状態だ。
突進して来た蟻も足を取られて転げている。


「いけ!トラちゃん!!」

トラちゃんが走り出そうとすると、女王蟻の触覚が動く。
すると地面が揺れた。


「なんだ!?地震の魔法か?」

トラちゃんは動けず、地面の氷も割れてしまった。


「サラ、ホースを貸してくれ。」

「はい!」

「しばらく大人しくしてろよ!」

ホースで蟻に向けて散水しつつ、もう片手でビリリ玉2つを発動させて水溜りに投げ入れる。
地面の氷と水を伝って電撃が蟻を襲った。


「トラちゃん、トドメを頼む!」

蟻を守ろうと土壁が出来上がる。
俺はサラとアイコンタクトを交わして、槍を手にする。


「お前の相手は、こっちだーー!」

大声を上げて放電状態の槍を女王蟻へ向けてて投擲した。
しかし、女王蟻は余裕で厚い土壁を作り、槍を防いだ。


「まぁ、こうなるよな。」

次の瞬間に女王蟻は激しい電撃に見舞われる。
隣を見ると、サラがドヤ顔を決めていた。


「どんなもんだい!!」

サラが胸を張って言い放つ。
何が起こったかと言うと、正面に土壁を作った女王蟻だったが、それが視界を塞いでしまったのだ。
その隙にサラが奥の手の一矢を放った。
土壁の上を超えて、女王蟻に向けて落下するように、絶妙な力加減と精密さが必要な弓の高等技術だ。
そして、放ったのは奥の手として用意しておいた、特製の『雷纏らいてんの矢』だ。
アイアンアントに強力な個体が出て来た時の為に作っておいたのだが、魔玉の効率を度外視にした威力重視の電撃を纏って飛ぶ矢になっている。
しかも、矢先は尖っておらず、分銅の形にしてあるので、硬い蟻にも打撃と電撃を与える狙いだったのだ。


「上手くいったな!」

「はい!」

サラとハイタッチをして喜びを分かち合った。
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