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北の森のダンジョン編
第78話 北の森のダンジョンその5
しおりを挟む第8階層へと進むと、ダンジョンは一変した。
「えっ!森の中?」
「リポポさん、これは。」
「ダンジョンボスが代わったのだと思います。」
恐らくだが、グレートホーンがダンジョンを乗っ取ったって事だろう。
「森では迷わないように気を付けましょう。私が先導します。」
ダンジョン内が森へと変わると、現れる魔物の種類も一変した。
猪や狼の獣系や、蜘蛛や蜂の昆虫系の魔物が多くなった。
森の中は死角が多く、奇襲される危険性が高いのだが、リポポさんの索敵のお陰でその難は避けて進めている。
戦闘でもリポポさんが大活躍している。
細めの長剣で流麗に敵を切り裂いている。
それは素人の俺が見ても分からないのだが、一流の剣士と言っても過言ではないのではないだろうか。
「ふぅ~。この辺りも大丈夫そうですね。」
「そうですね。リポポさんのお陰です。」
「リポポさんの剣技、カッコイイです!」
「いえいえ、そんな事は。」
照れているのか、頭をかいて歩くリポポさん。
「リポポさん、危ない!」
「あ、痛っーーー!」
木の枝に頭をぶつけてしまった。
アレは意外と痛いんだよな。
「んーー。気を付けて行きましょう。」
涙目のリポポさんが言うと説得力があった。
森は足元が悪く歩みが遅くなったが出現する魔物の強さは問題にならなかった。
歩き回り、襲って来る魔物を倒していたので、レベルが上がった。
そして次の階層への境界を発見した。
「次で第9階層ですね!」
「そろそろ最奥かな?」
「いずれにせよ、注意して行きましょう。」
第9階層へと足を踏み入れた。
この階層も森の中になっていた。
しばらく進むとリポポさんが突然立ち止まった。
「むっ、この先から戦闘音が聞こえます。」
「誰かが戦っているんですか?」
「もしくは、魔物同士なのか。どうしますか?迂回して進みますか?」
「少し近付いてみましょう。人の声が聞こえなければ、迂回して進みましょう。」
リポポさんの聴力を頼りに、探りながら進んで行く。
人の声が聞こえるそうなので、戦闘現場へと向かう事にした。
「あの茂みを超えた辺りみたいですね。」
「まずは様子を見ましょう。」
茂みを分けて向こうを覗く。
そこでは冒険者のパーティーと猿の魔物の群れが戦っていた。
「あれは、バトルバブーンですね。武器を奪われてます。厄介ですね。」
バブーン。見た感じ、マントヒヒみたいな猿だな。
剣や槍を器用に使いこなしてやがる。
「師匠、加勢しましょう!」
「そうだな。見過ごすのは後味悪いしな。」
「では、私が武器を奪われた人を援護に行きます。2人は周りの敵を減らして下さい。」
「了解。」
リポポさんが駆け出すと、そのまま背中を向けていたバトルバブーンを斬り捨てる。
その流れのまま剣を持ったバトルバブーンを相手取る。
周りのバトルバブーンは怒りで興奮して飛び跳ねている。
「よし、俺たちも行くぞ。」
「はい!」
こちらに気付いていない奴からドンドンと撃ち抜いていく。
「うおっと!」
横から俺の銃を奪おうとするなんて。
「これは猿には過ぎた玩具だぜ!っとな。」
お仕置きに近距離からケルベロスをお見舞いしてやった。
リポポさんも負傷した冒険者を庇いながら上手く立ち回っている。
それにしても、相手の剣を持ったバトルバブーンもなかなかの腕前だ。
剣技まで猿真似しているのか。
確かに武器を奪われると厄介な奴らだな。
「ふぅ。すまんな、助かったぜ。」
冒険者パーティーのリーダーらしき、おっさんが話しかけてきた。
「いえ、怪我した人は大丈夫ですか?」
「ああ、手持ちの薬で足りそうだ。この先に進むのは無理になっちまったがな。」
「あなた達は、あの乱戦を抜けて進んだのね?」
リポポさんが珍しく冷めた視線を送っている。
「ああ、他のパーティーには悪いと思ったんだがな。アイツが抜けるのを見て、俺たちも便乗したんだよ。」
「アイツって?」
リポポさんはお怒りの様子だ。
「雷鳴だよ。ここまでも一緒に進んでたんだよ。なのに、アイツは裏切りやがった。」
「何があったんですか?」
「この猿の魔物に囲まれたんだよ。そしたらあの野郎、俺の仲間の剣を奪って投げ捨てたんだよ。その剣に群がる猿をすり抜けて、アイツのパーティーだけで先に進みやがった。」
「何それ!非道いです!!」
「俺たちが言えた義理じゃねぇが、アイツは許せねぇぜ。」
「確かに、あなた達が言えた義理ではないわね。」
リポポさん、怖いです。
おっさんもシュンとしちゃったし。
「そ、それじゃあ、俺たちは先へ進みます。」
「お、おう。助けてくれて、ありがとな。」
この先には雷鳴がいるのか。
少なからず因縁を感じてしまうな。
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