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レッドこと紅くんの孤立奮闘4
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翌日、僕は訓練の為にいつもの訓練場……陸軍基地へと向かった。
荷物置き場に使っている休憩室には青島さん以外のファイバーズのメンバーがいて、笑顔で迎えられる。
僕はそれが照れくさかった。
「テレビ見ましたよ。真っ赤なヒーロー現れるって! 紅さん! かっこいいじゃないですか!」
「ほら、わたし、新聞持ってきたんですよ。紅さんの事ですよね。すごいです」
桃ちゃんが広げた新聞には変身した僕のユニフォーム姿の似顔絵が描かれてあり、謎のヒーロー現る! という見出しが躍っていた。
オーシャンデリアホテル人質立てこもり事件。
武装集団に占拠されたホテル最上階のイベントホール会場に現れた謎のヒーロー。
立てこもり事件の犯人達を無力化し、名前も告げずに立ち去った。
事件から一夜明け、世間ではちょっとした話題になっている。
緑川くんと、桃山ちゃんが嬉しそうに笑顔を浮かべていて、僕はちょっと……というか、かなり照れる。黄野さんもウィンクして親指立ててるし。
「たまたまだよ、たまたま。偶然上手く行ったんだ」
僕がそう言うと、緑川くんは「またまたー、ご謙遜ですかー」と笑った。
けれども、実際上手く行ったのはマグレだ。人質にケガ人が居なかったのは奇跡だし、犯人側で死んだ人が出なかったのも本当に偶然だ。
「おお、来てるな。ヒーロー」
そう言って現れたのは青島さんだった。
僕は思わず緊張する。
緊急時とはいえ、僕はファイバーズの秘匿義務を破ったのだ。
僕の緊張が伝わったのか、緑川君と桃ちゃんが引っ込む。
桃ちゃんは手に持っていた新聞を隠そうとしてくれていたけれど、青島さんが知らないってことは無いはずだ。
「あー、まず最初に一言」
青島さんは僕の側に立ち、右手を振り上げた。
僕は反射的に身構える。
けれどその手が優しく、僕の肩に置かれた。
「良くやった。たいしたもんだ」
ニコニコとそう言われて、僕はちょっと固まってから口を開く。
「い、いいんですか?」
「秘匿義務に関してだろう? 正直、怒ったほうが良いのかもしれないが……」
そう言って、青島さんは他のファイバーズメンバーを見渡した。
全員が心配そうな様子でこちらを見ていた。
「今回は人命救助だ。警察から、資料も貰ったが……大したもんだよ。あれだ、最初は戦うつもりは無かったんだろう?」
その言葉にドキッとする。なんでわかるんだろうか?
そんな僕に青島さんは笑ってみせる。
全部を見透かした上で笑われているようで、なんだか居心地が悪いけど、肩に手を置かれているせいで身じろぎも出来ない。
「すいません。ユニフォーム姿で戦って」
「何をおっしゃるウサギさんだ。謝る事はないさ。君の体は代えが聞かない。むしろ、秘匿義務を守るためにユニフォームを使わなかったら……それこそ、ナンセンスだ」
青島さんはそう言って、二カリと笑う。
「それにあの人数相手に、人質の怪我は無いし、犯人側も死亡者はゼロだ。アメリカだったら勲章授与だよ」
青島さんはそう言って、ポンポンと僕の肩を叩いた後でその手を離す。
「幸い、ファイバーズの名前は出てない。そもそも敵であるだぢづで人の情報がオープンにならなければ大丈夫だからね。もちろん、ひけらかしてもらっては駄目だけど」
僕はその言葉に頷く。心底ホッとしていた。
「それで、実際。バレてないのかい?」
さらっと聞かれて、僕の顔が引きつけを起こす。
やっぱり全部見透かされている。
青島さんに隠し事は出来ない……そう僕はあきらめて頭を足れた。
「実は一人……」
「あらまあ」
話を聞いていた黄野さんがわざとらしい声で驚く。
僕は相当ビビりながら、青島さんを見た。
青島さんは仕方が無いなぁとちょっと笑い、それから真面目な顔をしてこう訪ねてくる。
「信用できる人かな?」
その言葉に僕は頷いた。
幸いな事に、僕の正体に感づいた金里さんは黙っててくれると約束してくれた。
『聞きたい事もありますけど。恩を仇で返すような真似は金里の名折れですわ』
そう言ってくれているから、多分大丈夫。
僕の言葉に、それじゃ良かったと青島さんはあっさりと頷いてくれた。
怒られなかった事に僕は内心、胸を撫で下ろした。正直、怒られるかと思ってた。
「なんにしても良かった。良かった。これも紅君の努力があればこそだ。自慢させてやれなくてごめんな」
そう言った青島さんの顔はどことなく寂しそうで、僕はびっくりする。
青島さんはどこかひょうひょうとした、そんな雰囲気の人だったから、なおの事。
だから僕は思わず言っていた。
「僕が人質の人を守れたのも、青島さんがいろいろ教えてくれたおかげです」
僕が思わず言ってしまったその言葉に、青島さんは驚いた顔をして、それから嬉しそうに笑って、ばんばんと僕の肩を叩いて言った。
「嬉しい事言ってくれる! よし、今日の訓練の後はみんなで飯でも食べにいくか! 無論、俺のおごりだ!」
「おお、青島さん。オレ達もいいんですか!?」
「おうおう、お祝いだ。いいぞいいぞ」
「じゃあ。私、焼き肉が良いな! 桃ちゃんはなにがいい?」
「え、えっと。なんでもいいです」
「金は気にするな! すしでも、ステーキでもな! うわはははははは」
「よっ、太っ腹!」
やんやんやと僕の事で盛り上がってくれるファイバーズの皆は良い人たちだ。
「ようし、じゃあ。訓練やるぞ!」
「「「「はい!」」」」
日々の訓練が戦いの糧となる!
頑張れ、ファイバーズ! 世界の平和は君たちに掛かっている!
荷物置き場に使っている休憩室には青島さん以外のファイバーズのメンバーがいて、笑顔で迎えられる。
僕はそれが照れくさかった。
「テレビ見ましたよ。真っ赤なヒーロー現れるって! 紅さん! かっこいいじゃないですか!」
「ほら、わたし、新聞持ってきたんですよ。紅さんの事ですよね。すごいです」
桃ちゃんが広げた新聞には変身した僕のユニフォーム姿の似顔絵が描かれてあり、謎のヒーロー現る! という見出しが躍っていた。
オーシャンデリアホテル人質立てこもり事件。
武装集団に占拠されたホテル最上階のイベントホール会場に現れた謎のヒーロー。
立てこもり事件の犯人達を無力化し、名前も告げずに立ち去った。
事件から一夜明け、世間ではちょっとした話題になっている。
緑川くんと、桃山ちゃんが嬉しそうに笑顔を浮かべていて、僕はちょっと……というか、かなり照れる。黄野さんもウィンクして親指立ててるし。
「たまたまだよ、たまたま。偶然上手く行ったんだ」
僕がそう言うと、緑川くんは「またまたー、ご謙遜ですかー」と笑った。
けれども、実際上手く行ったのはマグレだ。人質にケガ人が居なかったのは奇跡だし、犯人側で死んだ人が出なかったのも本当に偶然だ。
「おお、来てるな。ヒーロー」
そう言って現れたのは青島さんだった。
僕は思わず緊張する。
緊急時とはいえ、僕はファイバーズの秘匿義務を破ったのだ。
僕の緊張が伝わったのか、緑川君と桃ちゃんが引っ込む。
桃ちゃんは手に持っていた新聞を隠そうとしてくれていたけれど、青島さんが知らないってことは無いはずだ。
「あー、まず最初に一言」
青島さんは僕の側に立ち、右手を振り上げた。
僕は反射的に身構える。
けれどその手が優しく、僕の肩に置かれた。
「良くやった。たいしたもんだ」
ニコニコとそう言われて、僕はちょっと固まってから口を開く。
「い、いいんですか?」
「秘匿義務に関してだろう? 正直、怒ったほうが良いのかもしれないが……」
そう言って、青島さんは他のファイバーズメンバーを見渡した。
全員が心配そうな様子でこちらを見ていた。
「今回は人命救助だ。警察から、資料も貰ったが……大したもんだよ。あれだ、最初は戦うつもりは無かったんだろう?」
その言葉にドキッとする。なんでわかるんだろうか?
そんな僕に青島さんは笑ってみせる。
全部を見透かした上で笑われているようで、なんだか居心地が悪いけど、肩に手を置かれているせいで身じろぎも出来ない。
「すいません。ユニフォーム姿で戦って」
「何をおっしゃるウサギさんだ。謝る事はないさ。君の体は代えが聞かない。むしろ、秘匿義務を守るためにユニフォームを使わなかったら……それこそ、ナンセンスだ」
青島さんはそう言って、二カリと笑う。
「それにあの人数相手に、人質の怪我は無いし、犯人側も死亡者はゼロだ。アメリカだったら勲章授与だよ」
青島さんはそう言って、ポンポンと僕の肩を叩いた後でその手を離す。
「幸い、ファイバーズの名前は出てない。そもそも敵であるだぢづで人の情報がオープンにならなければ大丈夫だからね。もちろん、ひけらかしてもらっては駄目だけど」
僕はその言葉に頷く。心底ホッとしていた。
「それで、実際。バレてないのかい?」
さらっと聞かれて、僕の顔が引きつけを起こす。
やっぱり全部見透かされている。
青島さんに隠し事は出来ない……そう僕はあきらめて頭を足れた。
「実は一人……」
「あらまあ」
話を聞いていた黄野さんがわざとらしい声で驚く。
僕は相当ビビりながら、青島さんを見た。
青島さんは仕方が無いなぁとちょっと笑い、それから真面目な顔をしてこう訪ねてくる。
「信用できる人かな?」
その言葉に僕は頷いた。
幸いな事に、僕の正体に感づいた金里さんは黙っててくれると約束してくれた。
『聞きたい事もありますけど。恩を仇で返すような真似は金里の名折れですわ』
そう言ってくれているから、多分大丈夫。
僕の言葉に、それじゃ良かったと青島さんはあっさりと頷いてくれた。
怒られなかった事に僕は内心、胸を撫で下ろした。正直、怒られるかと思ってた。
「なんにしても良かった。良かった。これも紅君の努力があればこそだ。自慢させてやれなくてごめんな」
そう言った青島さんの顔はどことなく寂しそうで、僕はびっくりする。
青島さんはどこかひょうひょうとした、そんな雰囲気の人だったから、なおの事。
だから僕は思わず言っていた。
「僕が人質の人を守れたのも、青島さんがいろいろ教えてくれたおかげです」
僕が思わず言ってしまったその言葉に、青島さんは驚いた顔をして、それから嬉しそうに笑って、ばんばんと僕の肩を叩いて言った。
「嬉しい事言ってくれる! よし、今日の訓練の後はみんなで飯でも食べにいくか! 無論、俺のおごりだ!」
「おお、青島さん。オレ達もいいんですか!?」
「おうおう、お祝いだ。いいぞいいぞ」
「じゃあ。私、焼き肉が良いな! 桃ちゃんはなにがいい?」
「え、えっと。なんでもいいです」
「金は気にするな! すしでも、ステーキでもな! うわはははははは」
「よっ、太っ腹!」
やんやんやと僕の事で盛り上がってくれるファイバーズの皆は良い人たちだ。
「ようし、じゃあ。訓練やるぞ!」
「「「「はい!」」」」
日々の訓練が戦いの糧となる!
頑張れ、ファイバーズ! 世界の平和は君たちに掛かっている!
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