職場は超ブルー

森山 銀杏

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ブルーこと青島の反省

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帰ってシャワーを浴びた俺はグラスに氷を入れて、座卓に置くと床に座り込んだ。

体の力を抜くと共に、溜息が漏れる。

ため息の理由は今日の自分の体たらくぶりである。

「傭兵あがりと言っても……あれだな」

グラスに安物のブランデーを注ぎ入れて、俺は静かにそれを口にする。

ブランデーを傾けながら、俺は反省点を並べて行く。

だぢづで人は理解できない技術で、攻撃してくる場合がある。

落書きを操ったり、今日のようにテレポーテーション的なことをしてくる事もある。

俺が侵した失態は二つ。

一つ目は自分の失態は戦場から離れてしまった事だ。

根本的にこれは許されないミスだ。

俺が戦場を離脱すれば、その分の負担が他の四人に掛かる。

俺は意図的に比重の重たい部分を受け持っている。そんな俺が離脱するのはあり得ない。

続いてのミスは無線機の破損である。これも良くない。

指揮系統の断絶は連携が無くなる事を意味する。

判断に迷いが出れば、各個撃破されておしまいだ。俺は無線機を絶対に守るべきだった。

アルコールが苦い。

グラスの中のブランデーを足しながら、俺はしかしと考える。

俺自身の反省点はともかく……今日のあの子達は大したものだった。

「もし……あの子達が踏ん張ってなかったら二人くらいは死んでたかもな」

冷静に呟いた自分の言葉に俺は薄ら寒い気分になる。

もし彼らが無意味な行動を取っていたとしたら、自分が駆けつけるまでの間に紅君と黄野さん、もしくは緑川君当たりは死んでいただろう。

だが……そうはならなかった。いや、そうは彼らがさせなかったのだと俺は思い直す。

自分が居なくなった後での紅の指示は的確だった。

混乱を押さえ、俺がやるはずだった入れ替わり役の代役を黄野さんに命じた。

もし仮に俺の到着を待っていたら、彼は時間を稼ぎきれずに死んでいたにちがいない。

黄野さんがそれに参加しても俺がギリギリ間にあうか、間にあわないかだ。

俺以外に爆弾位置から入れ替わりをやってみせられるのは紅君か黄野さんだ。

緑川君や桃山ちゃんでは無理だっただろう。そこで彼は黄野さんに入れ替わり役を命じた。

俺の移動時間と黄野さんの移動時間で言えば、黄野さんの移動の方が早いと判断した結果だったんだろう。

同時に……紅君は自分が稼げる時間を引き延ばせる時間の限界でしか黄野さんがたどり着けない事はわかっていたはずだ。

ホテルでの立て籠り事件の時もそうだが、彼は責任感が強い。

であれば……紅君は決死の覚悟で事に挑んだ事になる。

それを助けたのが緑川君と黄野さんだ。

緑川君のアシストが無ければ黄野さんは間に合わず、黄野さんが一発で当ててみせなければ、これもまた間に合わなかっただろう。

……ファイバーズというチームが形になってきた。

チームとは一つの目的に対して行動する集団だ。

上手く回れば互いのミスはフォローされ、個人の力を何倍にも引き上げる。

これまでのファイバーズは言ってしまえば、俺……即ち青島という人間のアシスタントでしかなかった。

けれど……今日の戦いはそうではない。

俺と言う庇護が無くても、あの子達は戦え始めている。

個別に考えて、それぞれの役柄は固まりつつあった。

抜群の狙撃のセンスを持つ黄野さん。

冷静な判断と行動をしてみせる桃山ちゃん。

全体を見て、自分に必要な行動を取れる緑川君。

そして紅君だ。

正直に言えば、彼は平凡だ。よく頑張っているし、努力もしている。だから、一番オーソドックスに鍛えた。

作戦、戦略、判断基準。戦いあけの月曜日の反省会は彼の為におこなっていると言っても良い。

俺がどんな意図で作戦を考えたのか、他のメンバーが何を考えたのか、作業中彼らは何を考えていたのか?

そうした積み重ねが彼の中でリーダーとしての才能として芽吹かせている。

危ういほどの責任感、だがそれはリーダーとしての資質ともいえる。

今はまだ、自分を犠牲にしようとする……だがもう一つ、もう一皮向けたとき、彼はチームを背負って立てる男になるだろう。

あの子は良いリーダーになる。

また今日のような事態は発生するかもしれない。

そうなれば彼が指示できる立場にある事は有用だ。

いや、現に指示できていたのだから、やってみてやれない事は無いはず。

経験上、部隊をまかされたリーダーは伸びる。今の紅君ならば、その役目に潰れてしまう事は無いはずだ。

チームとしても、一皮むける時が来たのかもしれない。

俺は自分の反省とメンバーの今後の活躍に胸を踊らせて、ブランデーに口をつけた。
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