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2章
嵐の始まり
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「聞こえているのかしら?早く退きなさいよ」
私が呆気に取られてぽけーっとみていると、彼女は苛々した様子で私を睨み付ける。
金髪の縦ロールに、腰まである艶々の髪。
ピンクのドレスはフリルとレースがこれでもかと使われており、彼女が高貴な身分であるのはわかる。
けれど、ここは王族の居住区。
ヴァレン様にこの部屋を使っていいと案内をされたのだから、私は悪くない。
そうなると外の騒がしさから考えて彼女が招かざる客だというのが分かる。
ならば私は戦おう。
「どなたか存じませんが、私はヴァレン様に案内をされてこの部屋に来ましたし、お話の中でこの部屋の滞在も許可されていると伺いました。ですので貴女に部屋を渡す理由はないと思います」
私は彼女を真っ直ぐ見据える。
ここで怯えたり、視線を背ける事はできない。
でも本当は手も足も震えが止まらない。
しかし彼女は私の言葉で余計にボルテージが上がったのか、顔を真っ赤にして更に私をきつく睨み付けてきた。
「ヴァレンティノ様の事を愛称で呼んでいるなんて!なんて女なの恥を知りなさい!」
彼女は握りしめていた扇を私に向かって振り下ろそうとする。
私はヤバいと思って咄嗟に目を瞑り、来る衝撃に備えたが一向に来なかった。
恐る恐る目を開くと彼女の手首を掴んで、ため息混じりで彼女を見るヴァレン様がいた。
「そこまでですよラーナ嬢」
「ヴァレンティノ様!」
彼女、ラーナ嬢はヴァレン様に気付くと、先程までの表情を一変させ女子の顔になる。
「ヴァレンティノ様お会いしたかったですわ!あれから中々お会いできず寂しい毎日でした」
ヴァレン様が掴んでいた腕を離すと、逆にすがり付くように腕に絡み付く。
ヴァレン様は顔をしかめるも、無理やり彼女を引き離すことはしなかった。
「貴女は隣国の公爵家の養子になられたはずです。なぜここにいるのですか?」
「今回の落ち人の夜会に義父が呼ばれましたの。わたくしも落ち人で無関係ではありませんのでちゃんと王に許可を得て参りましたわ」
「そうではなく、なぜ王族の居住区にいるのかと聞いているのです」
「分かりきったことを!数ヶ月前まで落ち人としてこの部屋で過ごしていましたのよ?わたくしのこの世界の実家はこの城の、この部屋ですわ」
ラーナ嬢はさも当たり前のようにヴァレン様に話しているが、なんと自分勝手なんだろう。
「貴女は自分が何を言っているのか分かっていますか?」
ヴァレン様は盛大なため息をつくと、頭を押さえて上を見上げる。
「さぁこれで分かったでしょう?早く退きなさいよ」
彼女は私の事を思い出したのか、相変わらず部屋を譲れと言ってくる。
「退くのはラーナ嬢、貴女です。あなたはもう隣国の公爵家の人間ですよ?いくら落ち人であっても隣国の人間がこの王族の居住区に入ることはできません」
「そんなヴァレンティノ様、、、」
ラーナ嬢は納得いかない様子でヴァレン様を見上げる。
「外に控えている兵よ、ラーナ嬢を元の客室へ案内しろ」
「「はっ」」
ヴァレン様は外にいる兵士に声をかけると、ラーナ嬢を引き渡した。
ラーナ嬢は連れていかれながらも、まだ何かを叫んでいるようでしばらく騒がしかったが徐々に辺りは元の静寂へと戻っていった。
嵐はまだ始まったばかりだと、誰もが心に思った。
私が呆気に取られてぽけーっとみていると、彼女は苛々した様子で私を睨み付ける。
金髪の縦ロールに、腰まである艶々の髪。
ピンクのドレスはフリルとレースがこれでもかと使われており、彼女が高貴な身分であるのはわかる。
けれど、ここは王族の居住区。
ヴァレン様にこの部屋を使っていいと案内をされたのだから、私は悪くない。
そうなると外の騒がしさから考えて彼女が招かざる客だというのが分かる。
ならば私は戦おう。
「どなたか存じませんが、私はヴァレン様に案内をされてこの部屋に来ましたし、お話の中でこの部屋の滞在も許可されていると伺いました。ですので貴女に部屋を渡す理由はないと思います」
私は彼女を真っ直ぐ見据える。
ここで怯えたり、視線を背ける事はできない。
でも本当は手も足も震えが止まらない。
しかし彼女は私の言葉で余計にボルテージが上がったのか、顔を真っ赤にして更に私をきつく睨み付けてきた。
「ヴァレンティノ様の事を愛称で呼んでいるなんて!なんて女なの恥を知りなさい!」
彼女は握りしめていた扇を私に向かって振り下ろそうとする。
私はヤバいと思って咄嗟に目を瞑り、来る衝撃に備えたが一向に来なかった。
恐る恐る目を開くと彼女の手首を掴んで、ため息混じりで彼女を見るヴァレン様がいた。
「そこまでですよラーナ嬢」
「ヴァレンティノ様!」
彼女、ラーナ嬢はヴァレン様に気付くと、先程までの表情を一変させ女子の顔になる。
「ヴァレンティノ様お会いしたかったですわ!あれから中々お会いできず寂しい毎日でした」
ヴァレン様が掴んでいた腕を離すと、逆にすがり付くように腕に絡み付く。
ヴァレン様は顔をしかめるも、無理やり彼女を引き離すことはしなかった。
「貴女は隣国の公爵家の養子になられたはずです。なぜここにいるのですか?」
「今回の落ち人の夜会に義父が呼ばれましたの。わたくしも落ち人で無関係ではありませんのでちゃんと王に許可を得て参りましたわ」
「そうではなく、なぜ王族の居住区にいるのかと聞いているのです」
「分かりきったことを!数ヶ月前まで落ち人としてこの部屋で過ごしていましたのよ?わたくしのこの世界の実家はこの城の、この部屋ですわ」
ラーナ嬢はさも当たり前のようにヴァレン様に話しているが、なんと自分勝手なんだろう。
「貴女は自分が何を言っているのか分かっていますか?」
ヴァレン様は盛大なため息をつくと、頭を押さえて上を見上げる。
「さぁこれで分かったでしょう?早く退きなさいよ」
彼女は私の事を思い出したのか、相変わらず部屋を譲れと言ってくる。
「退くのはラーナ嬢、貴女です。あなたはもう隣国の公爵家の人間ですよ?いくら落ち人であっても隣国の人間がこの王族の居住区に入ることはできません」
「そんなヴァレンティノ様、、、」
ラーナ嬢は納得いかない様子でヴァレン様を見上げる。
「外に控えている兵よ、ラーナ嬢を元の客室へ案内しろ」
「「はっ」」
ヴァレン様は外にいる兵士に声をかけると、ラーナ嬢を引き渡した。
ラーナ嬢は連れていかれながらも、まだ何かを叫んでいるようでしばらく騒がしかったが徐々に辺りは元の静寂へと戻っていった。
嵐はまだ始まったばかりだと、誰もが心に思った。
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