彼氏に振られたら、異世界にいました

香月

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最終章

向こうの世界に行きたいです4

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あの人に会いたい。

胸が苦しい。

会えない時、あなたは私を思ってくれていますか?


時々感じるこの気持ちは、あなたと同じ気持ちだと思っていていいのでしょうか?



仕事中、一つため息をつく。

決して仕事でミスをしたわけではない。

あの人の事を考えては、会えないもどかしさに出てしまう恋のため息。

まさか自分がこの歳になって、中学生みたいな恋を自覚するとは思わなかった。


「ちょっと、あんたの悩ましげなため息で皆こっち見てるわよ」


隣の席の同期がこそっと声をかけてきた。

辺りを見回すと、男性陣から熱っぽい視線がくる。私は苦笑いして、また仕事に集中することにした。


こっちの世界に戻ってきてそろそろ1年。

あの人への思いは、あの時をきっかけに高まるばかり。
仕事中はまだこの程度だが、家に帰れば月を見て恋い焦がれるただの乙女になる。


タクマさんはもう少し待て、と思いが強ければ、と言っていたがどのくらい待てばいいのだろう?


実は先日、上司に退職届を出していて受理されている。


私はもうこの世界に戻らない予定だから、
仕事だけは突然辞めて穴を開ける訳には行かない。

適当な嘘で上司と同期は誤魔化して、引き継ぎの書類を作っている。


家族には旅行の時と違う手紙を残していて、事件でない旨と翔は関係ないことも書いてある。


いつになったら向こうに行けるのだろう、、、。





気がつけば退職日になっていて、退職の挨拶まわりをして、同期には泣かれ、男性人からは悲しい視線が注がれる。

送別会もなんとか終わった金曜日の夜。

家に向かって歩いている最中のことだった。



「こんばんわ」


爽やかな男性がにこやかな顔をして正面に立っている。

「なかなか帰ってこないから心配になって迎えに来ました」


見知らぬ男性なのに、怖くない。
だってこの人は、、、


「あれ、バレてます?久しぶりに前の自分になったから違和感しかないけど?」

久しぶりの黒髪どう?と頭の髪の毛をいじ
りながら悪戯っ子みたいな顔をする。


「やっぱりタクマさんなんだ。王様スタイルじゃない姿は初めてだけど、微笑み方が一緒だからすぐにわかりました」


「やっぱり舞さんにはバレてるんだ?さすがにこの世界に王様スタイルは会わないからね」


タクマさんと二人、クスクス笑いながら私の家へと向かう。


「わざわざお迎えに来てくれたんですか?」

「こっちの世界の時間軸と向こうの世界の時間軸にズレが有ることを忘れててね。
でもいつか迎えに来ることは決まってた。俺の力の大半は舞さんを連れ戻した段階で力を失うことになる。でもこれは正しいことだから気にしないで」


タクマさんは淡々と言ってるが、それって、、、。


「これは「運命」だから。本当に気にしないで?それにしても見ない間に舞さんかなり綺麗になったね?愛の力かな」

タクマさんはニヤニヤしながら私を見る。


「誤魔化しても駄目ですよ!私には言えないことなんですか?」

「流されてくれないか。詳しいことは向こうついたらすぐにわかるよ?だけどこれだけは言っておくね?
俺は落ち人として生きて、神に愛されちゃった人間だから今回みたいに舞さんを巻き込んだ。俺が「舞さんの運命」を変えちゃったの」


タクマさんは悲しげに笑う。


「それはつまり、、、」


「舞さんがこっちの世界で結ばれる筈の誰かとの運命を俺が変えたってこと。


それでも舞さんはこっちの世界に来てくれる決心は揺るがない?」

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