2度目の人生は、公爵令嬢でした

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第一章

4話 言葉を覚えたらもっと大変でした

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私が2歳になった頃のこと。
この世界の言葉にもすっかり慣れ、2歳児とは思えないほど会話ができるようになっていた。

でも……問題がある。

「クリスティ、ほら!この言葉を言ってごらん!」
「違うだろう、こっちが先だ!」

お父さまとお兄さまが、何やらバチバチと火花を散らしている。

「クリスティ、『パパ』って言ってごらん。ほら、言えるよね?」
「違うよクリスティ。『にぃに』って言うんだよ。さあ、リピートアフターミー!」

また始まった……。
1歳の時も似たようなことがあったけど、今回はさらに厄介。
だって、今の私はそれなりに話せるから、本当にどっちかを呼べちゃうわけで。

「クリスティ、パパ!言ってごらん!」
「にぃに、だよ!ね、クリスティ!」

ふたりとも全力で私を見つめている。
どっちも選べないってば……。どうしよう。

困った私は、とりあえず適当に――

「……ぱにぃ。」


「「ほら、やっぱり俺の勝ちだ!(僕の勝ちです!)」」

……えっ、両方とも自分の好きなように解釈してる!?

さらに問題は、これだけではなかった。
親バカとシスコンがすることといえば――

ある日、お兄さまが私の部屋に来て、微笑みながらこう言った。
「クリスティ、最近いろいろ話せるようになったよね?」

うん、そうだね。
でもなんかその顔、すごく怪しいんだけど……。

「だからさ、練習しようよ。ほら、この言葉言ってみて。」
お兄さまが紙を取り出す。そこには――

(『にぃには世界で一番素敵です』って書いてあるんだけど!?)

「うん!いいんだよクリスティ。ほら、行ってごらん?」
にっこりと笑顔で教えてくれるお兄さま。
いやいや、それ絶対おかしいでしょ!?

「いや、そんなこと言わな――」
「クリスティ、にぃにのこと嫌い?」

えっ。
ちょっと待って。そんな顔されたら、なんか罪悪感が……!

「……おに、い……さま、すてき。」
「ほら、言えたね!偉い偉い!」
お兄さまが満足げに微笑み、頭を優しく撫でる。
くぅ、やっぱりイケメンには勝てない……。

そして、これを聞きつけたお父さまがやってきて――。

「クリスティ、パパのところに来なさい!さあ、言うんだ!『パパは世界一かっこいい』と!」
「お父さまも何を言ってるんですか!?」

「ふむ、ならば仕方ない……。クリスティ、まずは『お父さまかっこいい』からでもいいぞ!」
いや、そういう問題ではないし何も変わってないと思いますけど!?

結局、その後もしばらく、ふたりは競うように私に色々言わせようと躍起になっていた。
私はというと――

「もう知らない……」

布団をかぶり、ひたすら現実逃避するしかなかったのだった。
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