15 / 25
ヘッドホン
しおりを挟む
さっき、2万4千円もしたヘッドホンが突然壊れた。
音楽を大音量で聴きすぎたせいか、急に
「プチッ」
と小さな音がして、全く音が出なくなった。
壊れる瞬間はあまりにも唐突で、しばらくはそれを理解するのに時間がかかったが、
すぐに怒りが湧いてきた。ヘッドホンの壊れ方があまりにも納得できなかった。あんなに高かったのに、何でこんなタイミングで壊れるんだと。
怒りのあまり、勢いでテレビを床に落としてしまった。
普段ならこんなことしないのに。
壊れたヘッドホンに腹が立って、気づいたときにはもうテレビが床に転がっていた。
振動が床を伝わってきた。その瞬間、ちょっと冷静さを取り戻した自分がいた。
「何やってるんだ、俺は……」
慌ててテレビを拾い上げると、その重さと高級感が改めて感じられる。
思わず手を止めて考えてしまった。
「15万円もしたテレビだぞ、これ。」
そんなに簡単に壊れてほしくない。最初に買ったときのことを思い出す。店員にすすめられて、少し高いけれど、画質がすごいと言われて手に入れたあのテレビだ。それが、こんなことになるなんて。
幸いにも、落とした場所には布団が敷いてあったため、床に直接落ちたわけではない。
音も大きくは聞こえなかったので、壊れたとは考えにくいとは思ったが、万が一を考えて慎重にテレビの電源を入れてみることにした。テレビの画面に映像は映ったが、音が全く出ない。音量を最大にしてみても、無音のままだ。
「最悪だ……」
呆然とテレビを見つめていると、急に頭の中が真っ白になった。
せっかく買った高級テレビが壊れたかと思うと、どうしても納得がいかない。
こんなことで壊れるなんて思わなかったし、これからどうすればいいんだろうと考えると、急に気分が落ち込んできた。
それにしても、今日は外がやけに静かだ。
普段なら車の音や人の話し声が聞こえる時間帯なのに、なんだか異常なほど静まり返っている。
「こんな時こそ、気晴らしにでも出かけるべきだな」
自分を少しでも楽にさせたくて、散歩に出ることに決めた。
何もかもがうまくいかない日って、外に出てみると意外と気分が変わることがある。
冷たい空気が気分をリフレッシュさせてくれるかもしれないし、外の風景を眺めているうちに、嫌なことが少しでも忘れられるかもしれない。
そう考え、テレビを見捨てるわけにはいかないが、ちょっと外に出てみようと思った。
ドアを開けると、外の冷たい空気が肌を刺す。街は確かに静かだ。
歩きながら、今日のことが少しずつ気にならなくなってきた。最悪な一日が、少しだけでも落ち着いてきたような気がした。
【解説】
壊れてしまったのは主人公の耳。
それにしても、鼓膜が破れて痛みなどはないのだろうか。
音楽を大音量で聴きすぎたせいか、急に
「プチッ」
と小さな音がして、全く音が出なくなった。
壊れる瞬間はあまりにも唐突で、しばらくはそれを理解するのに時間がかかったが、
すぐに怒りが湧いてきた。ヘッドホンの壊れ方があまりにも納得できなかった。あんなに高かったのに、何でこんなタイミングで壊れるんだと。
怒りのあまり、勢いでテレビを床に落としてしまった。
普段ならこんなことしないのに。
壊れたヘッドホンに腹が立って、気づいたときにはもうテレビが床に転がっていた。
振動が床を伝わってきた。その瞬間、ちょっと冷静さを取り戻した自分がいた。
「何やってるんだ、俺は……」
慌ててテレビを拾い上げると、その重さと高級感が改めて感じられる。
思わず手を止めて考えてしまった。
「15万円もしたテレビだぞ、これ。」
そんなに簡単に壊れてほしくない。最初に買ったときのことを思い出す。店員にすすめられて、少し高いけれど、画質がすごいと言われて手に入れたあのテレビだ。それが、こんなことになるなんて。
幸いにも、落とした場所には布団が敷いてあったため、床に直接落ちたわけではない。
音も大きくは聞こえなかったので、壊れたとは考えにくいとは思ったが、万が一を考えて慎重にテレビの電源を入れてみることにした。テレビの画面に映像は映ったが、音が全く出ない。音量を最大にしてみても、無音のままだ。
「最悪だ……」
呆然とテレビを見つめていると、急に頭の中が真っ白になった。
せっかく買った高級テレビが壊れたかと思うと、どうしても納得がいかない。
こんなことで壊れるなんて思わなかったし、これからどうすればいいんだろうと考えると、急に気分が落ち込んできた。
それにしても、今日は外がやけに静かだ。
普段なら車の音や人の話し声が聞こえる時間帯なのに、なんだか異常なほど静まり返っている。
「こんな時こそ、気晴らしにでも出かけるべきだな」
自分を少しでも楽にさせたくて、散歩に出ることに決めた。
何もかもがうまくいかない日って、外に出てみると意外と気分が変わることがある。
冷たい空気が気分をリフレッシュさせてくれるかもしれないし、外の風景を眺めているうちに、嫌なことが少しでも忘れられるかもしれない。
そう考え、テレビを見捨てるわけにはいかないが、ちょっと外に出てみようと思った。
ドアを開けると、外の冷たい空気が肌を刺す。街は確かに静かだ。
歩きながら、今日のことが少しずつ気にならなくなってきた。最悪な一日が、少しだけでも落ち着いてきたような気がした。
【解説】
壊れてしまったのは主人公の耳。
それにしても、鼓膜が破れて痛みなどはないのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
静かに壊れていく日常
井浦
ホラー
──違和感から始まる十二の恐怖──
いつも通りの朝。
いつも通りの夜。
けれど、ほんの少しだけ、何かがおかしい。
鳴るはずのないインターホン。
いつもと違う帰り道。
知らない誰かの声。
そんな「違和感」に気づいたとき、もう“元の日常”には戻れない。
現実と幻想の境界が曖昧になる、全十二話の短編集。
一話完結で読める、静かな恐怖をあなたへ。
※表紙は生成AIで作成しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる