3 / 9
第2章 雨の日の廃棄物
第3話 路地裏のナンバー708
しおりを挟む
雨は相変わらず、特区のアスファルトを黒く磨き続けていた。
ネオンは水たまりの上で溶け、誰かの吐いた嘘みたいに揺れている。
鏑木ジンは、濡れたトレンチコートの襟を立てたまま、反対側の路地に向かって歩いた。
仕事終わりの足取りは重い。重いくせに、やけに一定だ。
死ぬなら派手に、そう思っている男の歩幅じゃない。
長年の習性というのは、骨の髄まで染みついて取れないらしい。
進んだ先に、ゴミ集積所があった。
黒いビニール袋の山。家電だった鉄屑。腐った残飯。薬品とカビと、濡れた紙くずの匂い。
この街は、吐き捨てる場所にだけは正直だ。隠そうともしない。
そこで、異物が一つ、目に留まった。
黒い袋の隙間に、ボロ布のような白が混じっている。
布切れじゃない。細い手足だ。雨に濡れて、妙に白い。
子供だ。
(……最悪だ)
ジンは一瞬、視線だけで片づけて通り過ぎようとした。
拾い物に関わる趣味はない。
ましてやここは特区だ。捨てられたガキなんて、野良猫よりも多い。
いちいち拾っていたらキリがないし、死に場所を探している男がガキなんぞ抱えたら、余計な未練が増えるだけだ。
……と、理屈は言う。
だが、背中のどこかが、小さく痒い。
ザーザーと降り続く雨音が、ふと、子供の嗚咽のように聞こえた気がした。
そんなはずはない。
泣き声なんて、この街じゃ水道の音と同じくらい日常だ。
いちいち反応していたら耳が壊れる。
だが、足が止まった。
「……チッ」
ジンは大きく舌打ちをして、踵を返した。
こういう癖だけは、いつまで経っても矯正できない。
死ねない理由を、無意識に拾い集めてしまう。
ゴミ袋の山の前まで戻り、しゃがみ込む。
革手袋をしたまま、邪魔な袋を一つ押しのけた。
そこにいた。
女の子だ。年は十歳くらいか。だが、栄養失調なのかもっと幼く見える。
肌は病的なまでに白く、銀色の髪は泥と埃で汚れきっていた。
身につけているのは、薄汚れた白い実験着が一枚だけ。サイズが合わず、肩が落ちそうになっている。
胸元には、無機質なフォントでNO.708と印字されていた。
足は裸足だ。泥にまみれ、無数の擦り傷がある。
「……チッ。おい、生きてるか。死んでるなら焼却炉へ行くんだな」
ジンは低い声で問いかけた。
反応は鈍い。
だが、ジンの姿を認めた瞬間、その虚ろだった瞳にわずかな光が宿った。
恐怖ではない。縋るような弱さでもない。
ジンの顔に刻まれた皺、不機嫌そうな口元、そしてその奥にある「躊躇い」を、静かに観察するような目だ。
(妙なガキだ。野良猫でも、もう少し愛想がある)
ジンはため息をつき、少女の細い体を抱え上げようと手を伸ばした。
その時だった。
「おいおい、おっさん。そいつは俺たちのゴミだぜ?」
下品な笑い声が、雨音を割って降ってきた。
振り返ると、路地の入り口に三人の男が立っていた。
安っぽいチンピラ風情だが、揃いのスカジャンを着ている。
この辺りを縄張りにしているヤクザの下っ端、おそらくは「廃棄処理係」だろう。
真ん中の男が、バタフライナイフをチャキチャキと弄びながら近づいてくる。
「そのガキはな、企業様からの『廃棄依頼』なんだよ。失敗作なんだとよ。勝手に持ち帰られちゃ困るんだなァ」
「……廃棄だと?」
「ああ。だからそこで、野良犬の餌になるのを待ってるってわけだ」
男はニタニタと笑いながら、ナイフの切っ先を少女に向けた。
ジンは腕の中にいる少女を見た。
少女は身じろぎもせず、ただジンの胸に顔を埋めている。心臓の音を聞いているかのように。
失敗作。ゴミ。餌。
くだらない言葉だ。
「……拾ったもんにケチつけられるのは嫌いでな」
ジンは少女を抱えたまま立ち上がった。
左腕一本で体を支え、右手はポケット。
少女の体は驚くほど軽かった。中身のない鳥の骨みたいだ。
「あぁ? 何だとコラ。……おい、痛い目見ねぇうちに置いてけ。ついでに指の一本くらいなら置いてってもいいぜ?」
男たちが包囲するように広がった。
右の男が鉄パイプを掌に打ち付け、左の男がメリケンサックを嵌める。
(子供の前だ。長引かせるつもりはない)
説教も、脅しも、いらない。
ジンは一歩だけ前に出た。ナイフ男はそれを「距離を詰められた」と理解していない。
理解できる頭なら、こんな商売はしていない。
「待てよ兄ちゃん。話を――」
男が言葉を続けようとした、その途中で。
ジンはもう、間合いの中にいた。
左足が水たまりを踏む。音を立てない角度で。右肩がわずかに沈む。
拳は顔には行かない。顔を殴ると血が飛ぶ。飛んだ血は落ちない。落ちたとしても、ガキの実験着に染みる。
狙うのは鳩尾。肋骨の隙間。息の入口。人間が「生きてます」と自己主張する、弱い場所。
――ドゴッ。
鈍く重い音が響いた。
男の目が驚愕に見開かれた瞬間、ジンの右肘が鳩尾に深々と突き刺さっていた。
肺の中の空気が強制的に吐き出され、男は声を上げる暇もなく、白目を剥いてその場に崩れ落ちた。
「なッ……テメェ!」
残りの二人が反応する。右から鉄パイプが振り下ろされる。
ジンは少女を抱えたまま、最小限の動きでそれを躱した。
鉄パイプが空を切り、コンクリートの壁を叩いて火花を散らす。
その隙だらけの脇腹へ、ジンの革靴がめり込んだ。
バキッ。
骨の折れる嫌な感触と共に、男がゴミ袋の山へと吹き飛ぶ。
「う、うわぁぁぁ!」
最後の男が、恐怖に駆られてメリケンサックを振り回しながら突っ込んでくる。
大振りすぎる。
ジンは冷ややかな目でそれを見切り、男の手首を掴んだ。万力のような握力。
「……騒ぐな。ガキが起きる」
ジンは短く告げると、そのまま手首を極めて投げ飛ばした。
男は宙を一回転し、水たまりに顔から突っ込んだ。
泥水が跳ねる。
だが、ジンのコートにも、腕の中の少女にも、泥一滴、血一滴すら付いていない。
完璧な制圧。それは暴力というより、精密な「掃除」だった。
ジンは気絶した男たちを一瞥もしない。
ふと、胸元で気配がした。
抱えていた少女が、顔を上げてジンを見上げている。
その瞳は、やはり怯えていなかった。
ただ、ジンの胸の奥で響く心臓の音――圧倒的な暴力の裏にある、奇妙なほど静かなリズム――を、不思議そうに確認しているようだった。
「……行くぞ」
ジンは短く言い、少女を抱え直して歩き出した。
路地裏を抜け、鉄牛のドアを開ける。
車内はタバコと火薬と、古い革の匂いが混ざっていた。
生きてる男の匂いだ。褒め言葉じゃない。
ジンは助手席に少女を放り込み、自分も運転席に乗り込んだ。
少女はシートの隅で小さくなり、薄汚れたテディベアを抱きしめている。
服も、肌も、テディベアも、すべてが泥と雨で濡れている。
エンジンが一度、咳をした。
ジンがキーをひねり直すと、鉄牛はようやく吠えた。
走り出す。ワイパーが、雨を左右に叩き落とす。
ジンは横目で少女を見て、舌打ちする代わりにダッシュボードに手を伸ばした。
「吐くなら窓の外にしろよ。シートは高いんだ」
脅すような口調で言いながら、指先は暖房のツマミを最大に回していた。
ゴーッという音と共に、吹き出し口から温風が溢れ出す。
ガキの唇が紫なら、面倒が増える。だから温める。理由はそれだけだ。
温風が車内を満たしていく。
少女はテディベアに顔を埋め、小さく深呼吸をした。
実験室の薬品の匂いでも、路地裏の腐臭でもない。乱暴で、不器用な、熱の匂い。
少女の強張っていた肩の力が、少しだけ抜けたように見えた。
信号待ち。赤。
ジンは『赤烏』の透明フィルムを剥いだ。タバコを咥え、ライターを鳴らそうとして、やめた。
車内で吸うと匂いが残る。残る匂いのせいで売る時に値が下がる。
売る予定なんてないのに、そういう計算だけは染みついている。
(明日の朝には、どこかに押し付ける)
孤児院でも、教会でも、裏の医者でもいい。俺の生活に、子供は必要ない。
必要ないはずだ。
バックミラーの中で、少女がテディベアの耳を指で弄った。
雨音とエンジン音の間で、車内の沈黙がやけに重かった。
ジンは前を見たまま、低く呟いた。
「……拾っただけだ。勘違いすんなよ」
言って、何に向けた言葉か分からなくなる。
自分にか。隣の番号にか。あるいは、このクソみたいな街にか。
鉄牛はネオンの海を裂いて走る。
助手席で、ナンバー708が静かに呼吸している。
ジンの知らないところで、関係性だけが、もう確定し始めていた。
ネオンは水たまりの上で溶け、誰かの吐いた嘘みたいに揺れている。
鏑木ジンは、濡れたトレンチコートの襟を立てたまま、反対側の路地に向かって歩いた。
仕事終わりの足取りは重い。重いくせに、やけに一定だ。
死ぬなら派手に、そう思っている男の歩幅じゃない。
長年の習性というのは、骨の髄まで染みついて取れないらしい。
進んだ先に、ゴミ集積所があった。
黒いビニール袋の山。家電だった鉄屑。腐った残飯。薬品とカビと、濡れた紙くずの匂い。
この街は、吐き捨てる場所にだけは正直だ。隠そうともしない。
そこで、異物が一つ、目に留まった。
黒い袋の隙間に、ボロ布のような白が混じっている。
布切れじゃない。細い手足だ。雨に濡れて、妙に白い。
子供だ。
(……最悪だ)
ジンは一瞬、視線だけで片づけて通り過ぎようとした。
拾い物に関わる趣味はない。
ましてやここは特区だ。捨てられたガキなんて、野良猫よりも多い。
いちいち拾っていたらキリがないし、死に場所を探している男がガキなんぞ抱えたら、余計な未練が増えるだけだ。
……と、理屈は言う。
だが、背中のどこかが、小さく痒い。
ザーザーと降り続く雨音が、ふと、子供の嗚咽のように聞こえた気がした。
そんなはずはない。
泣き声なんて、この街じゃ水道の音と同じくらい日常だ。
いちいち反応していたら耳が壊れる。
だが、足が止まった。
「……チッ」
ジンは大きく舌打ちをして、踵を返した。
こういう癖だけは、いつまで経っても矯正できない。
死ねない理由を、無意識に拾い集めてしまう。
ゴミ袋の山の前まで戻り、しゃがみ込む。
革手袋をしたまま、邪魔な袋を一つ押しのけた。
そこにいた。
女の子だ。年は十歳くらいか。だが、栄養失調なのかもっと幼く見える。
肌は病的なまでに白く、銀色の髪は泥と埃で汚れきっていた。
身につけているのは、薄汚れた白い実験着が一枚だけ。サイズが合わず、肩が落ちそうになっている。
胸元には、無機質なフォントでNO.708と印字されていた。
足は裸足だ。泥にまみれ、無数の擦り傷がある。
「……チッ。おい、生きてるか。死んでるなら焼却炉へ行くんだな」
ジンは低い声で問いかけた。
反応は鈍い。
だが、ジンの姿を認めた瞬間、その虚ろだった瞳にわずかな光が宿った。
恐怖ではない。縋るような弱さでもない。
ジンの顔に刻まれた皺、不機嫌そうな口元、そしてその奥にある「躊躇い」を、静かに観察するような目だ。
(妙なガキだ。野良猫でも、もう少し愛想がある)
ジンはため息をつき、少女の細い体を抱え上げようと手を伸ばした。
その時だった。
「おいおい、おっさん。そいつは俺たちのゴミだぜ?」
下品な笑い声が、雨音を割って降ってきた。
振り返ると、路地の入り口に三人の男が立っていた。
安っぽいチンピラ風情だが、揃いのスカジャンを着ている。
この辺りを縄張りにしているヤクザの下っ端、おそらくは「廃棄処理係」だろう。
真ん中の男が、バタフライナイフをチャキチャキと弄びながら近づいてくる。
「そのガキはな、企業様からの『廃棄依頼』なんだよ。失敗作なんだとよ。勝手に持ち帰られちゃ困るんだなァ」
「……廃棄だと?」
「ああ。だからそこで、野良犬の餌になるのを待ってるってわけだ」
男はニタニタと笑いながら、ナイフの切っ先を少女に向けた。
ジンは腕の中にいる少女を見た。
少女は身じろぎもせず、ただジンの胸に顔を埋めている。心臓の音を聞いているかのように。
失敗作。ゴミ。餌。
くだらない言葉だ。
「……拾ったもんにケチつけられるのは嫌いでな」
ジンは少女を抱えたまま立ち上がった。
左腕一本で体を支え、右手はポケット。
少女の体は驚くほど軽かった。中身のない鳥の骨みたいだ。
「あぁ? 何だとコラ。……おい、痛い目見ねぇうちに置いてけ。ついでに指の一本くらいなら置いてってもいいぜ?」
男たちが包囲するように広がった。
右の男が鉄パイプを掌に打ち付け、左の男がメリケンサックを嵌める。
(子供の前だ。長引かせるつもりはない)
説教も、脅しも、いらない。
ジンは一歩だけ前に出た。ナイフ男はそれを「距離を詰められた」と理解していない。
理解できる頭なら、こんな商売はしていない。
「待てよ兄ちゃん。話を――」
男が言葉を続けようとした、その途中で。
ジンはもう、間合いの中にいた。
左足が水たまりを踏む。音を立てない角度で。右肩がわずかに沈む。
拳は顔には行かない。顔を殴ると血が飛ぶ。飛んだ血は落ちない。落ちたとしても、ガキの実験着に染みる。
狙うのは鳩尾。肋骨の隙間。息の入口。人間が「生きてます」と自己主張する、弱い場所。
――ドゴッ。
鈍く重い音が響いた。
男の目が驚愕に見開かれた瞬間、ジンの右肘が鳩尾に深々と突き刺さっていた。
肺の中の空気が強制的に吐き出され、男は声を上げる暇もなく、白目を剥いてその場に崩れ落ちた。
「なッ……テメェ!」
残りの二人が反応する。右から鉄パイプが振り下ろされる。
ジンは少女を抱えたまま、最小限の動きでそれを躱した。
鉄パイプが空を切り、コンクリートの壁を叩いて火花を散らす。
その隙だらけの脇腹へ、ジンの革靴がめり込んだ。
バキッ。
骨の折れる嫌な感触と共に、男がゴミ袋の山へと吹き飛ぶ。
「う、うわぁぁぁ!」
最後の男が、恐怖に駆られてメリケンサックを振り回しながら突っ込んでくる。
大振りすぎる。
ジンは冷ややかな目でそれを見切り、男の手首を掴んだ。万力のような握力。
「……騒ぐな。ガキが起きる」
ジンは短く告げると、そのまま手首を極めて投げ飛ばした。
男は宙を一回転し、水たまりに顔から突っ込んだ。
泥水が跳ねる。
だが、ジンのコートにも、腕の中の少女にも、泥一滴、血一滴すら付いていない。
完璧な制圧。それは暴力というより、精密な「掃除」だった。
ジンは気絶した男たちを一瞥もしない。
ふと、胸元で気配がした。
抱えていた少女が、顔を上げてジンを見上げている。
その瞳は、やはり怯えていなかった。
ただ、ジンの胸の奥で響く心臓の音――圧倒的な暴力の裏にある、奇妙なほど静かなリズム――を、不思議そうに確認しているようだった。
「……行くぞ」
ジンは短く言い、少女を抱え直して歩き出した。
路地裏を抜け、鉄牛のドアを開ける。
車内はタバコと火薬と、古い革の匂いが混ざっていた。
生きてる男の匂いだ。褒め言葉じゃない。
ジンは助手席に少女を放り込み、自分も運転席に乗り込んだ。
少女はシートの隅で小さくなり、薄汚れたテディベアを抱きしめている。
服も、肌も、テディベアも、すべてが泥と雨で濡れている。
エンジンが一度、咳をした。
ジンがキーをひねり直すと、鉄牛はようやく吠えた。
走り出す。ワイパーが、雨を左右に叩き落とす。
ジンは横目で少女を見て、舌打ちする代わりにダッシュボードに手を伸ばした。
「吐くなら窓の外にしろよ。シートは高いんだ」
脅すような口調で言いながら、指先は暖房のツマミを最大に回していた。
ゴーッという音と共に、吹き出し口から温風が溢れ出す。
ガキの唇が紫なら、面倒が増える。だから温める。理由はそれだけだ。
温風が車内を満たしていく。
少女はテディベアに顔を埋め、小さく深呼吸をした。
実験室の薬品の匂いでも、路地裏の腐臭でもない。乱暴で、不器用な、熱の匂い。
少女の強張っていた肩の力が、少しだけ抜けたように見えた。
信号待ち。赤。
ジンは『赤烏』の透明フィルムを剥いだ。タバコを咥え、ライターを鳴らそうとして、やめた。
車内で吸うと匂いが残る。残る匂いのせいで売る時に値が下がる。
売る予定なんてないのに、そういう計算だけは染みついている。
(明日の朝には、どこかに押し付ける)
孤児院でも、教会でも、裏の医者でもいい。俺の生活に、子供は必要ない。
必要ないはずだ。
バックミラーの中で、少女がテディベアの耳を指で弄った。
雨音とエンジン音の間で、車内の沈黙がやけに重かった。
ジンは前を見たまま、低く呟いた。
「……拾っただけだ。勘違いすんなよ」
言って、何に向けた言葉か分からなくなる。
自分にか。隣の番号にか。あるいは、このクソみたいな街にか。
鉄牛はネオンの海を裂いて走る。
助手席で、ナンバー708が静かに呼吸している。
ジンの知らないところで、関係性だけが、もう確定し始めていた。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる