上 下
1 / 1

眠る男達の上で吊られた男は無意味にもがく

しおりを挟む
部屋の外から聞こえる波の音を耳にしながら、俺はどれだけの時間もがき続けたのだろう。口内に詰め込まれた布とそれを吐き出せないようにと噛まされた別の白布に歯を立てつつ手首を重ねて背中で縛り二の腕を胸部に括る上半身の縄と足首と太ももを短く括る下半身の縄を軋ませ、部屋の中央で腹を下にして足を閉じる事も許されない無様な宙吊りの状態から抜け出そうと試み始めてから一体どのくらいの時間が過ぎたのだろう。
俺を捕らえ惨めな姿を笑っていた海賊達の宴も、とっくの昔に酔い潰れての熟睡という形で終わっている。監視する奴らが全員眠りこけている状況は誰が見ても明らかな逃走の機会なのだが、海賊達が俺の裸体に施した縄はきつく緩み無く結ばれており、俺はどんなに頑張っても縄を解く事は出来ず、屈辱と恥辱からは逃げ出せない。
一切の抵抗を封じられた姿で見世物として海賊船の一室に吊るされた屈辱はもちろん、俺が盗賊として奪還の依頼を受けた魔法の品で与えられる恥辱からも、男根に装着された二つのリングで我慢すら叶わぬまま絶頂に至る激しい快楽と射精封じを同時に味わわせる拷問のような恥辱からも俺は逃げられないのだ。

「んー…! むぐっ、ふー、ふぐぅぅぅ!」

俺は塞がれた口で言葉にならない悲鳴を上げながら、なりふり構わず縄を解く為に全身に力を込め、リングが外れないかと考えて腰をくねらせ勃起させられたまま萎えられない男根をぶるぶると振り回す。
しかし、やはり状況は変わらない。縄は俺の肌に食い込むだけで緩まず、男根を振り回しても余計な快楽を感じるだけで無慈悲なリング達は外れず、相当な音量で縄を軋ませているのに海賊達は巨大ないびきをかいて眠り続けている。

「んーんっ! むぐぅぅぅ! ふっ、ふぅ! んむぐぅぅぅ!!」

俺の思考はもはや射精の事で一杯だ。依頼を完遂しなければという思いも、自分を捕らえて嬲る海賊達に対する怒りも、もうどうでも良い。早く射精がしたい。逆に、このまま射精出来なければ頭がおかしくなってしまう。
爆発しそうな程に張り詰めている男根と、全身を駆け巡る欲望の波に自分の崩壊の危機を感じ、俺は一層強く唸りながらじたばたと身悶えた。
けれど、一向に状況は変わらない。俺が幾ら身悶えても縄は相変わらず俺を吊るし続け、男根をいたぶるリングも男根を緩く絞め付けたままそれぞれの効果を発揮し、海賊達は波音と俺の悲鳴を子守歌にして眠っている。

「うぐぅぅぅぅ!! むぐ、んむぅぅぅ!! ふっ、ふぶぅぅぅ!」

湧き上がる絶望を否定するように更に強く唸り、暴れる俺の裸体は助けの来ない海賊船の中で惨めに揺れ、俺の足の間では射精を伴わない絶頂を何十何百と強いられているガチガチの男根が透明な先走りをとめど無く垂れ流しながら二つのリングと一緒に眠る海賊の頭上で揺れ動いていた。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...