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青年は非道な檻の中で情けなく惨めな誤魔化しを図る

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足をがに股に開いて立ち、頭部の両隣で左右の手にピースサインを行わせている。
そんな間抜けな格好に固められた無様な青年は、今日も正義の戦士としての力と共に衣服を没収された裸体を小刻みに跳ねさせつつ、自分を捕らえた悪達を悦ばせるだけの言葉にならぬ唸りを無意味に発し続けていた。

「あぁ、はぉ、あぉぉんっ!」

ここから出して下さい。人としての誇りを捨て正義の矜持を忘れた懇願の思いを開きっぱなしにさせられた口で紡ぎながら、青年は自分の裸体をあらゆる角度から鑑賞している悪の男達に涙に潤んだ瞳で縋る視線を寄せる。
しかし、悪達は唸りを嘲笑い青年の瞳に対して醜悪な愉悦の視線を浴びせ返すのみで慈悲を欠片も示そうとはしない。
ヒーローとして自分達と敵対していた青年を裸体に合わせて作られた透明な強化ガラス製の檻に閉じ込め組織の構成員全員が通る中央ホールに展示した悪の男達は、檻の内側に突き出た強化ガラスの棒をくわえさせられたせいで閉じることを禁じられた口と尻穴の中を嬉々として覗き込みながら、絶望に歪んだ助けての表情や丸出しになった乳首や男根といった箇所を愉しげに鑑賞し充足と黒い興奮を際限無く滾らせていく。

「うぁっ……おぉぉっ! はっ、はぉ、んぉぉっ!」

捕らわれた日から嫌というくらいに思い知らされた悪達の冷酷さを改めて認識させられながら、悪に縋る以外の道を断たれた青年はヒーローの立場をかなぐり捨てた態度で一生懸命に許しを請う。全身を分厚く取り囲む強化ガラスに加えて、口と尻穴を貫く強化ガラスの棒のせいでめちゃくちゃに身をよじって暴れることさえ不可能にされた青年は、視覚と聴覚以外の一切の自由を奪われ見世物にされる恥辱と恐怖からの解放を願って諦め悪く鳴き喚く。
もちろん、そんな意思表示で心が動くような存在ならば、最初からこんな非道を実行になど移してはいない。悪達はやはりかつてヒーローだった青年が表わす全ての思いを無言で受け流しながら、正午に設定された一層残酷な機構が作動し青年がより滑稽な悶絶に至る光景を、待ってましたとばかりに表情を染める黒さを引き上げつつ堪能し始めてしまった。

「がっ、おぐぅぅっ!? こっ、けっ、ぎうぅ!」

何度も何度も味わわされた感覚が、透明に閉じ込められた何処にも逃れられぬ青年の裸体をまんべんなく嬲り出す。
床下に仕込まれた機構と一体化している強化ガラスの檻に複数存在する呼吸用の穴を通って流し込まれた気体が、悪達が生み出した悪趣味で残忍な気体が、よじることもままならない裸体を甘く淫らに殴り付け始める。
その淫猥な地獄の到来を拒む手段など、青年には無い。素早く皮膚から吸収され、生命の維持に必要な栄養素を無理矢理に摂取させつつ、全身に気が狂う程の発情を引き起こす薬品混じりの気体を身体中に吹き付けられている哀れな青年ヒーローは、悪達の思い通りに裸体を火照りに火照らされながら、苦しげに蠢く口内と尻穴の様子と、堪えきれずに膨らんだ自身をひしゃげさせている強化ガラスに男根を必死に擦り付けて欲望を誤魔化そうと試みる情けない姿を愉しまれることしか出来はしないのだ。

「あぉっ、はほっ、あぁ、んあおぉ!」

檻に許された狭い範囲で腰を上下左右にくねらせ男根を刺激する青年ヒーロー。尻穴を満たした強化ガラスの棒が腸内を摩擦する不快感も意に介さず、男根を慰める為の行動を必死で取る惨めな青年ヒーロー。その、決して絶頂には辿り着けないとこれまでの経験で理解させられているはずの足りない快楽を追い求めている滑稽な青年ヒーローを眺めながら、悪達は自分達の視線に反応する余裕も無くした青年が自らを生殺しの悦楽で余計にいたぶる光景に顔を緩ませつつ、イきたくてもイけない愉快なヒーローをからかうかのように強い刺激を渇望しているであろう性の弱点や痙攣する裸体を強化ガラス越しに意地悪く撫で回していくのだった。
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