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男は叩き甲斐のある肉を何度も打ちすえる

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地下室の床と一体化している巨大なルームランナーの上に、一人の男がいる。男は、地下室中に響く駆動音を立てるルームランナーの上を必死になって歩いている。そうするよう自分を捕らえた男に命令され、そうしなければ罰を加えると脅されたからだ。
すぐ近くで自分を観察しながらニヤニヤと笑っている男から逃げ出したい。今すぐルームランナーから下りて、歩くことをやめたい。男は心の底からそう思っているが、それを実現する術は今の男には無い。
上半身を縄で縛り上げられ、上半身を縛る縄と地下室の天井に設置されたレールと繋がっているフックを遊び無く結合されてしまった男は手の自由と移動の自由を完全に奪われてしまっているため、男とルームランナーから逃げることは叶わず、口を塞ぐ黒い棒状の枷を毟り取ることも出来ないのだ。
あらゆる行動を制限され、選択肢を潰された男に取れる行動はもはやただ一つだけ。男の機嫌を損ねないために足を動かし、裸体をルームランナーの上で歩かせ続ける事だけだ。

「んー……んっ、んふっ、ふぅぅ……っ!」

背中で手首を縛る縄と、二の腕を胸部に括る縄の締め付けを感じながら。口を塞がれている状態で身体を動かし続けているせいで常に訪れる息苦しさに意識を朦朧とさせながら。汗を飛ばし、丸出しの乳首と男根を揺らしながら歩く裸体に突き刺さる男の愉快その物といった視線に屈辱と恥辱を掻き立てられながら。男はひたすらに足を前に出し続ける。
もう、憎い男を睨み付ける余裕も無い。強い疲弊と辱めに耐えながら、歩き続けることしか出来ない。
それ程までに追い詰められていたが故に男は自分の歩く速度が遅くなっていたことに気づけず、知らぬ間にルームランナーの端まで移動していた男は足を踏み外し、ルームランナーの上から下りてしまった。

「んぅ!? むぶぅぅっ!」

ずるりと足を滑らせた男の裸体は、フックと上半身を繋ぐ縄によって宙吊りの状態となった。慌てて男はルームランナーの上に戻ろうとするが、疲弊しきった足では戻れない。ルームランナーに乗せた途端すぐさま落とされ、ぶらぶらと情けなく揺れるだけだ。
男は、黒い笑みを更に濃くした男が罰を加える理由をどうにかして無くそうとあれこれと試行錯誤するが、どうやってもルームランナーの上には戻れない。
縄で宙に吊られた男の汗塗れの裸体は、罰を加えられるしか無いのだ。

「良いよって言うまで歩き続けなさいって言ったのに……悪い子だねぇ」
「んー! んぅぅぅーっ!!」

背後に移動しながら粘ついた口調で咎めてくる男に、吊られた男は裸体をくねらせながら哀願の意思を込めた唸りを発する。
もちろん、その唸りを聞いても男は許しを与えない。男は余計に笑みを黒くし、嬉々として罰を加えてくる。

「ご主人様の命令が聞けない悪い子には、お仕置きが必要だね。しっかり、反省するんだよっ」

男は右手を持ち上げ、言い終わると同時にその右手を素早く振り下ろして無防備にさらけ出されている男の右の尻を打ちすえた。今度は左手を持ち上げ、左の尻を。また今度は右と見せかけて再び左を。男は容赦無く手の平を叩き付けて、吊るされた男の尻に反省を促す痛みを注いでいく。

「むぐぅぅぅぅーっ!! うぐっ、ぶぐっ! むぉぉぉぉっ!!」

男がイヤイヤと顔を左右に振りながら絶叫しても、男は手をとめない。嬲る側の男は、耳に心地良い哀れな悲鳴と、可愛らしい尻穴をチラチラと見え隠れさせながら苦しげに悶える眼前の尻肉を堪能しながら、叩き甲斐のある張りと柔らかさを備えた肉に何度も何度も手を振り下ろしていた。
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