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主は淫猥な香りと虎を愉しむ

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庭木の剪定、屋敷内の掃除、ゴミ出し、防犯装置の点検。使用人を務める虎獣人の男は作業着姿で一日中屋敷内を駆け回り、山積みの仕事をこなしていた。
夏の暑さと、自身の体毛、それに加えて怪我防止のために着込んでいる長袖の作業着のせいで虎の身体は全身汗に塗れてしまっている。だが、そんな状態になっても虎の仕事は終わらない。虎の男はこれからその汗塗れの身体で屋敷の主の部屋へと赴き、一番大事な仕事を行わなければならないのだ。
夜の闇に染まった窓の外から聞こえてくる涼しげな虫の音を聞きながら、逞しく鍛え上げられた身を強ばらせつつ主の部屋へと歩み寄った虎は、小さく深呼吸をすると右手に握ったドアノブを回し、室内に足を踏み入れた。

「やぁ、待ってたよ。それじゃあ早速、始めようか」

扉の前に椅子を置き、虎の到着を待っていた屋敷の主である狼獣人の男は優しくにっこりと微笑みながらも、虎の意見を全く聞かずに開始を促す言葉を口にした。
せめて軽くシャワーを浴びさせて欲しい。そんなことを言っても無駄だと今までの経験からよく知っている虎は主の言葉を受け入れると閉じた扉に鍵を掛け、椅子に座った狼の前に立ち、身に着けていた作業服を愉しそうに笑っている狼の目の前で脱ぎ始めた。
首元から腰近くまで存在するファスナーを右の人差し指と親指で摘まんで下ろした虎は羞恥に表情を歪めながら、上下が一体化している薄緑色の作業服の上半身にあたる部分を下ろしていく。右手を使って左側の作業服を脱ぎ、素肌を晒している左で今度は右側を脱ぎ、虎は上半身を狼に向かって晒した。
一日中動き回ったことで分泌された虎の汗の匂いが、狼の主の過敏な嗅覚を甘く刺激する。縞柄の体毛に覆われた筋肉質な腕と白い体毛の上で可愛らしく自己主張している虎の乳首が、狼の主の淫らな欲望を加速させる。
いくら嗅いでも飽きないこの香りをもっと愉しみたい。目の前で揺れるこの乳首を今すぐ苛めてやりたい。それらの願望を抑える必要など虎の主である狼には無い。故に、狼は何の躊躇いも無く右の指で虎の左の乳首をくにくにと責め、距離を詰めた鼻で汗に濡れた虎の香りを堪能しながら舌で右の乳首を舐め回し、腰に引っかかっていた作業着を足下まで下ろそうとしていた虎に不意打ちの快楽を注ぎだした。

「あぅっ!? ひゃ、あぁ、んあぁぁ……!」

突然の責めに驚きの悲鳴を上げた虎は、作業着を掴んだまま硬直し、自分の左右の乳首をいたぶる狼の指と舌を淫らに鳴きながら見下ろしている。美しい白銀の毛に覆われた狼の指が、左の乳首を摘まんで揉み込み指先で上下に弾く。熱烈に動かされる舌が右側の乳首を乳輪ごと舐め上げ、堪らない悦楽を味わわせてくる。
その光景を喘ぎながら眺めていた虎は甘い波に翻弄されつつもわずかに正気を取り戻し、狼に向かって蕩けた声で制止を口にした。

「らめ、りゃめ、れす……乳首ぃ、弱い……すぐ、イっひゃい、まひゅ……から、やめへ……やめひぇ、くらひゃいぃっ……!」

快楽に耐えるように一層強く作業着を握り、虎は舌足らずな言葉で懇願を放つ。しかし、狼はやめない。それどころか、乳首を弄ばれただけで絶頂に至ってしまう淫らな虎に愛しさを募らせた狼は、より激しく指と舌で乳首を責め立て、より濃くなっていく虎の香りを感じながら、虎を射精へと容赦無く導いていく。

「んひゃぁぁっ!? しょんな、されひゃらぁぁっ! イぐ、イっぢゃぅぅぅっ! しゃせー、しひゃいまひゅぅぅっ! あ、あぁっ! ごしゅじん、しゃま! ごひゅじん、ひゃまぁぁぁーっ!!」

弱点の乳首を、手加減の無い狼の指と舌で責め抜かれた虎はあっという間に肉体を追い詰められ、立ったままの体勢で、作業着を半分だけ脱いだ状態で、射精へと至らされてしまった。

「ん、ひゃ……あぅ、あっ、はひ、んあぁ……」

幸福色に染まった喘ぎを零し、作業着の中に白く濁った体液を吐き出しながら虎は淫臭を放つ肉体を小刻みに振わせる。
その更に濃くなった虎の香りに満足げな笑みを浮かべた狼は尖りきってピクピクと跳ねている乳首から指と舌を離すと、虎の汗と自らの唾液で濡れた口を動かして虎に指示を与えた。

「さ、下も脱いで精液塗れのオチ○チンを私に見せなさい。上手に脱げたら、次は乳首と一緒にオチ○チンも可愛がってあげるよ。君のエッチな匂いをたっぷり嗅ぎながら、君の大好きな乳首とオチ○チンの同時責めで、立てなくなるまでイかせまくってあげる」

汗の匂いを狼の主に嗅がれる羞恥など、虎にはもう無い。作業着内に精液を撒き散らした男根を露出させることに対する羞恥すら、無い。
自分を淫らに躾け、溢れんばかりの愛情で調教した主から魅力的な快楽を提示された虎は完全にスイッチを入れられ、甘い悦びを追求することしか考えられなくなっている。
下も脱げば、もっと気持ち良くして貰える。大好きなご主人様にたくさん可愛がって貰える。そんなことを考えながら、虎は絶頂の余韻で痺れている身体を動かし、掴んだままだった作業着を下ろしきって足を抜くと、命令されてもいないのに主が自分を責めやすいようにと足を開いて恥部を見せ付け手を頭の後ろに組んで無防備な格好を取った。
淫猥に火照った裸体から汗と発情が混ざり合った獣欲を掻き立てる香りを撒き散らし、体積を増して自己主張している乳首とさっき達したとは思えないくらいに張り詰め切った精液塗れの男根を一生懸命に突き出す虎に狼は愛しさを抑えきれずに感嘆の息を漏らすと、責めを待ち侘びている虎に再度口と手を寄せていく。

「よくできました。それじゃあ、良い子にはご褒美をあげようね」

ご褒美の単語に背筋をゾクゾクと震わせながら、虎は左右の乳首に迫る右の指と舌、そして男根を握り込もうとする左の手を、期待に満ち溢れた目でじっと見つめつつ、乳首と男根の硬度と体積をまた増していくのだった。
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