上 下
1 / 1

刑事の痴態は鉄格子越しに堪能される

しおりを挟む
ここがどこなのか、刑事の男には分からない。分かるのは、猿轡を施された口で唸る声と裸体を縛り上げて拘束している縄の軋む音が外部に漏れ出ない場所であるだろうという事と、縄で自由を奪われた刑事が部屋の中央に設置された檻の中で身悶えている光景を見ても救いの手を差し伸べない者しか周囲にはいないという事実だけ。
悪人の男達に不意を突かれて拉致され、厳重な布の猿轡と縄の衣服を与えられた惨めな姿で一方的に弄ばれている刑事に分かるのは、絶望を加速させる材料でしかない情報だけだ。

どんなに騒いでも、助けてくれる者はいない。口内を埋め尽くす布を引き出してくれる者も、その布を自力では吐き出せないようにと歯を割って噛まされた白布を外してくれる者もいない。背中で重ねられた手首を縛り、二の腕を胸部に括り付け、檻の天井と上半身を遊び無く繋いでいる縄を解いてくれる者もいない。左右の足首を括り、膝を括り、太ももを括っている下半身の縄を解いてくれる者もいない。そして、檻の中で立ったままの姿を強要された刑事を嬲っている無感情な淫具達の駆動をとめてくれる者もいない。いるのは、どこにも逃げられない無様な刑事の裸体が縄を鳴らしながら悶える様子を眺めて笑い、男根と尻穴に固定した淫具が生み出す快楽にくぐもった悲鳴を上げながら情けない絶頂を何度も何度も迎える刑事の痴態を観察して愉しむ、無情極まりない悪人達のみだ。

「んーっ! むぅっ…うぐ! ふぐぅぅぅぅーっ!!」

とめど無く湧き上がる快楽に抗えず、刑事はまた望まぬ絶頂へと追い立てられた。汗に濡れた刑事の裸体が檻の中で痙攣し、無意識に突き出される腰と一緒に揺れている男根から、白色が薄まった精液が溢れ出る。
しかし、淫具の動きはとまらない。刑事の男根の根元とカリ首の下に巻き付けられたベルトと一体化しているローターは休み無い振動を繰り返し、尻穴の奥深くまでを貫いた状態から抜け落ちないよう尻の谷間を這うように施された縄で固定された極太のバイブは悪人の指による責めと自身の責めで解れきった腸内を容赦無く掻き回し、表面に生えた醜悪なイボでやわらかな肉を絶えず擦り上げている。
終わりの無い、快楽の地獄。休む事も許されない、連続絶頂の苦悶。それに長時間晒された刑事はもはや反抗心はおろかプライドも跡形も無く蕩け落ちている。檻の外で自分の苦悶の様を眺めている悪人達に向かって怒りを込めた視線や唸りをぶつける事も、出来ない。今の刑事に出来るのは、地獄からの解放を求めてひたすらに哀願の視線と唸りを向ける事で、その哀願は刑事が心も身体も快楽に屈服させられた事実を、どんな言葉よりも明確に示していた。

「むぐぅぅぅーっ!! ふぐ、むぅ、んもっ! うー! ふぶぅぅぅぅーっ…!!」

また迫ってきた絶頂の波に怯え、縛られた裸体を半狂乱でくねらせながら刑事はなりふり構わず悪人達に救いを求める。
だが、救いを求められた悪人達は誰一人として檻の中には入らず、淫具のリモコンを操作しようともせず、淫具にイきまくらされる哀れな刑事が壊れていく様を思い思いの位置で鉄格子越しに堪能していた。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...