首領は部下と共に惨めな犬達を見下ろして愉しむ

五月雨時雨

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首領は部下と共に惨めな犬達を見下ろして愉しむ

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「ボス、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

敬意を込めた挨拶と共に深く頭を下げた男は、自身が所属する組織のトップに君臨する男を用意して置いた特等席へと案内した。
好みの酒とつまみ、そして高級な赤の革が張られたソファーを確認した男は自分を案内した部下に満足げな笑みを返すとソファーに腰を下ろし、正面にある強化ガラスの壁の向こうの景色を愉しみ始めた。
非道な悪の組織を率いる男は自分が仕掛けさせた罠にまんまと掛かって一網打尽にされ身に着けていた武器と衣服を没収された裸体に犬の着ぐるみという名の拘束を与えられた無様な特殊部隊の男達が苦悶する姿を、上から見下ろす形で堪能し始めたのだ。
白、黒、薄茶色。様々な色をした犬の着ぐるみに閉じ込められた男達の身体は両手両足を無理矢理に折り畳まされ、肘と膝で身体を支える屈辱の四つん這いを強いられている。その上、頭部に被せられた着ぐるみはあどけない表情をした犬の顔の内側に生やした張型で男達の口を塞いで人間の言葉を奪い、厚い綿で視界を遮って周囲の様子をうかがえなくさせている。
手足の自由、それに加えて見ることとしゃべることを制限された男達は、特殊部隊としての誇り以前に人としての尊厳を痛め付けられている。だが、男達を捕らえ着ぐるみに詰め込んだ悪の者達は、ここに更なる辱めを叩き込んだ。それは、着ぐるみの胸と股間の部分にあてがわれた機械による辱め。着ぐるみの背中の部分に埋め込んだ別の機械と連動し、一定時間移動が無いと認識した途端その駆動を引き上げる機構を備えた左右の乳首と男根を休み無く振動させる無慈悲で淫らな機械による恥辱だ。
男達は絶えず、乳首と男根を震わされ望まぬ快楽にいたぶられている。しかも、男達はその快楽をじっと耐えることさえ許されない。常に手足を動かさなければ背中の機械が移動が成されていない事実を把握し、乳首と男根の機械を、全員の性の弱点を嬲る機械の駆動を強めてしまうからだ。
着ぐるみから抜け出せない以上、男達は少しでも快楽を弱く保つために歩き続けるしかない。全身に疲労が溜まり、折り畳まされた手足が痛々しく痙攣しても、男達は自分と仲間の淫獄を遠ざけるために着ぐるみ入りの肉体で歩き回るしかない。そんな無様な特殊部隊の歩行を上から観察しながら、男は部下を見上げて尋ねた。

「昨夜からこの状態で苦しめてたって聞いたんだが……それで合ってるか?」
「はい、仰るとおり昨夜から着ぐるみに閉じ込め、快楽で脅しながら歩かせ続けております」

部下の返答を聞いた男は自分の認識が正しいことを確認して頷きつつ、部下にまた話しかける。

「昨夜からだからてっきりもっとよがり狂ってるところが愉しめると思ったんだけどねぇ……この調子じゃ、俺がここにいられる間は頑張ってそうだね……いやいや、流石特殊部隊様。大した根性だよ」

諦めること無く憔悴しきっているであろう肉体を長時間動かしていた男達に感心を抱き、望んでいた光景が目の前に無いことへの落胆を口にする男。そんな男に、部下は右のポケットから小さなリモコンを取り出しながら言った。

「ボス、こちらをどうぞ。右上の赤いボタンを押して頂ければ、ボスが望む特殊部隊達の姿をお愉しみ頂けますよ」
「おぉ、そうか。なら、ありがたく活用させてもらうよ」

部下からリモコンを左手で受け取った男は、そのまま左の親指で右上のボタンを躊躇いなく押した。
すると、強化ガラスの向こうの様子に変化が起こる。一人の着ぐるみに仕込まれた仕掛けが作動し、その着ぐるみを着せられていた男の手足は、一ヶ所にまとめられた。
突然に手足の動きをより制限された男はバランスを崩し、左側を下にして床に倒れ込んだ。必死に立ち上がろうとするが、男は立てない。左右の肘と膝を密着させられた男の身体はどんなに力を込めても起き上がれず、転がった着ぐるみは床の上でのたうち回るばかりだ。
その姿を眺め、困惑の表情を残忍へと移り変わらせていく男に、部下が説明を行う。

「先程のボタンを押すことで左右の肘と膝に埋め込んでおいた機械を起動させ、あの犬の手足を無理矢理集約させました。人間の力では引き剥がせない程の力で密着させているため、もはやあの犬は無様な歩行すら不可能な状態です」
「そして歩行が出来なければ、快楽をもたらす機械の駆動を強める機構を拒むことも出来ず、全員が仲良くよがり狂い始めるってことか……時に、この機構は全部の着ぐるみに付いているのか?」
「いえ、この機構は一つの着ぐるみにしか付いておりません。特殊部隊のリーダーである男の着ぐるみだけに、この機構は搭載されています」
「なるほど……素晴らしい。君は本当に優秀だな」
「ありがとうございます。お褒め頂き光栄です」

その会話を最後に、非道な組織の首領とその首領が信頼する優秀な部下の男は口を閉じ、特殊部隊の悶絶が滑稽さを増していく様を無言で味わい出した。
自分と部下の快楽を弱めたい一心で床に転がった身体を動かし無駄な足掻きを繰り返す特殊部隊のリーダーを見つめて笑い、じょじょに強まっていく悦楽に身悶え痙攣を激しくしながらもう意味は無いというのに視界を閉ざされているせいで状況が分からずに歩き続けている特殊部隊の隊員達を目で追い、笑みの残酷さを際限なく深める男とその部下は正義の存在を淫らに嬲り鑑賞物として扱っている事実に優越感を募らせ、強化ガラスの壁越しに甘く歪んだ苦悶の絶叫がかすかに聞こえてくる度に興奮を加速させ背筋をゾクゾクと痺れさせるのだった。
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