狼は熱と匂いに悶え苦しむ

五月雨時雨

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狼は熱と匂いに悶え苦しむ

倒しても倒しても途切れることの無い機械仕掛けの敵の猛攻を捌きながら、狼獣人のヒーローはこの場を切り抜ける方法を探っている。この場所が引火の危険性が高い薬品が多く置かれた倉庫である以上、武器は迂闊には使えない。ならば道は一つ。武器を自由に使える場所へとどうにかして移動し、一体一体を冷静に対処するしか無い。
敵の動きに注意を払いつつ、狼は倉庫の出口に意識を向けて脱出の機会を伺っている。一度逃せば、その機会は二度と訪れない。神経を研ぎ澄ませ、狼は拳を振るった直後に生まれた敵の壁の破れ目を縫って倉庫からの脱出を図った。
しかし、脱出は叶わなかった。狼が通ろうとしていた出口への道を塞ぐ形で倉庫の外から新たな敵達が現れ、走る狼へと勢いよく飛び掛かってきたからだ。

「ぐぁぁっ!?」

不意を突かれ、かわす間も無く機械で作られた敵の体当たりを受けた狼は後ろに倒れ込み床の上に仰向けで転がってしまった。
そんな隙だらけの状態を晒す狼に、敵達は容赦無く覆い被さっていく。腕に覆い被さり、足に覆い被さり、頭部に覆い被さり、腰に覆い被さり、敵達は狼の動きを封じていく。その拘束から逃れようともがいてももはや手遅れで、狼はあっという間にあらゆる箇所を抑え込まれ、引火を承知で武器を振るうことすら不可能にされてしまった。

「く、うぅっ……うぁ、あ、がぁぁっ……!」

狼の視界にはもう、自分から抵抗を奪った機械製の敵しか入らない。外から見ても狼の肉体は全く見えず、狼を中心にして折り重なった機械達が見えるだけだ。
全身を圧迫され、立ち上がることさえ叶わない哀れな狼のヒーロー。そんな狼を作り出した機械達は狼が手も足も出せない状態に追いやられたことを感知すると、自身に内蔵された機構を作動させた。
その機構は、狼のヒーローと対立する悪の組織が狼を苦しめるためだけに用意した残酷な機構。自身の表面温度をじわじわと高めながら、特殊なガスを逃れられぬ狼の方に向かって放出する、熱と匂いで狼を二重に追い詰める非情極まりない拷問の機構だ。

「がふっ!? あ、あぁ……ふぅ、おぁぁ……!!」

熱だけならば、狼も理性を保てただろう。けれどそこに、精液の匂いを再現し濃縮したガスを浴びせかけられては堪らない。
狼特有の過敏な嗅覚で感じ取ってしまった強烈な淫臭に平静さを乱される狼は呼吸を制限し、少しでも淫臭の吸入を抑え込もうとする。けれど、徐々に高まっていく機械達の表面温度に自身の肉体を熱せられていては呼吸を我慢したくても出来ない。狼は少しずつ少しずつ我慢と呼吸の割合が入れ替わっていき、やがて常に荒い呼吸を繰り返し暑さと淫らな匂いに悶え苦しむ無様な姿へと変わってしまう。

「ふ、んっ……うぐ、っ! ふぅ、うぶ……ぶはぁぁっ……!」

折り重なった機械達の中に捕らわれ、熱と匂いで嬲られる狼のヒーローの苦悶に満ちた呼吸の音はどんなに悲痛な物になろうとも機械達が立てる駆動音とガスの放出音に、虚しく掻き消されていくのだった。
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