上 下
1 / 1

逆らえぬ男は目論見通りに絶え間無い絶頂へと追いやられる

しおりを挟む
「あぁっ、うあぁ、あぁぁぁっ! もっ、もぅらめ、やらやらぁぁぁっ!!」

涙に濡れた目を痛々しく見開き、引き結ぶこともままならなくなった口で舌足らずに言葉を紡ぎながら、男が自身を責め嬲る苦悶の終了をなりふり構わずに願っている。
もはや、両手首と足首をベッドの四隅へと遊び無く繋ぐ黒革の枷と鎖が織りなす拘束を解こうと暴れる気力さえ無い。それどころか、自分を捕獲し自由を奪って無慈悲に弄びつつ悶絶の様子を悠然と鑑賞している憎き敵達に怒りを募らせる余裕も残されていない。そんな限界の男はX字に引き延ばされた仰向けの裸体を生物とは思えぬ程の痙攣に跳ねさせつつ心の底から許しを請い、残酷な拷問からの解放を必死に希求している。
けれど、非道な敵の男達は誇りを捨てた哀願を叫ぶ男を目にしても救いの手を差し伸べる素振りすら見せない。男の身動きを封じ、左右の乳首を吸い出した上で内蔵されたブラシの機構で引き延ばした乳首を容赦無く淫らに磨く半球状の器具と男根の根元と亀頭近くを緩く締め上げるローターが一体化した黒革のベルトを与え、とどめとばかりに特に過敏な弱点である前立腺を狙って押し上げつつ小刻みで不規則な振動を延々と繰り返す電動エネマグラを尻穴に挿入した冷酷な男達は汗に塗れた裸体をよじらせ四肢を縛める拘束を虚しく鳴らしながら懇願を放つ愉快な男を無言で鑑賞するのみで、終わりの見えぬ絶頂が断続的に襲い来る淫獄を切り上げてやろうという意思を欠片も抱きはしない。
無我夢中で示す助けてを敵の男達に笑いを深めつつ無視される哀れな男に残された選択肢はもはや、限界を超えた絶頂へと押し上げられる選択肢だけで。イってはまたイかされるイき地獄に苛まれ続けた男はとうとう白の薄まった精液はおろか透明な蜜すらも噴き出せなくなり、男根から何も放出しない不完全で苦悶に満ちた絶頂へと為す術無く至らされてしまった。

「あっ、ぎひぁぁぁぁっ!? こっ、こひっ、ほおぉぉ……っ!?」

生まれて初めて迎える、一滴たりとも男根から体液を分泌しない長く鈍く続く絶頂に男が目を剥きながら困惑色の悲鳴を乱れきった呼吸混じりに漏らす。だらしなく垂らした舌をヒクヒクと蠢かせ、半球の内側で今もブラシに磨かれている真っ赤に充血しきった乳首をビクつかせ、前立腺を蹂躙するエネマグラを無意識にきゅぅと腸壁で締め上げながら、度を過ぎた快楽に憔悴させられた男はぶるぶると震えるベルト達に嬲られている男根の先端をパクパクと惨めに開閉させる。
だが、男の淫猥な地獄はまだ終わらない。男が機械の刺激で勝手にイき狂う様を堪能していた敵の男達は男が射精も叶わない状態に陥ったことを確認し笑みの黒さを濃くさせると、ようやく絶頂の波がかすかに落ち着いた男が絶望を認識する暇も認めずに、淫獄の上乗せに向けた準備を整えてしまった。

「さぁ、捜査員さん。ここからはお口にこれを付けような」
「最初に飲ませた媚薬よりもずっと強烈な奴をたっぷりまぶしてあるから、すぐに何も分かんなくなるくらいに発情出来るぜ。良かったな、捜査員さん」
「あぐ、おむ、もおぉ……っ?」

呆けている思考が危機を把握する間も挟まずに、敵達は指で大きく開かせた捜査員の口に男根を模した張型の底に黒革の板が接続されている枷を飲み込ませていく。張型を濡らす輝きの正体が責めを加えられる前に飲まされた物を凌駕する効果を有した媚薬である事実を理解する思考能力も無くした捜査員を愉快の感情を前面に出した表情で嘲笑いつつ、残忍な敵達はすでに手も足も出せない捜査員から言葉と口呼吸すらも没収していく。
これで捜査員は、無意味に救いを望むことも出来はしない。嬉々として淫具の駆動を引き上げられ甘ったるい追い打ちを叩き込まれても、捜査員はくぐもった唸りを発することしか出来ない。張型の表面にまぶされた媚薬の摂取を拒むことも不可能にされた無様な捜査員は、これまで以上の発情に残りわずかな理性を崩されこれまで以上に短い間隔で迫るようになった絶頂で射精を伴わない極みへと導かれながら、正義の自覚だけでなく人間としての尊厳すらも跡形も無くすり潰されるしか無いのだ。

「もごっ、むぉぉおんっ!? ぶぉ、ぶふぉ! あみゅぅぅぅぅーっ!!」

目論見通りにイきっぱなしの状況へと追いやられ、何処にも逃れられない裸体を淫具達と共にベッドの上で踊り狂わせ始めた滑稽な男を見下ろしながら、敵である悪の男達は再び無言の鑑賞へと戻り自身の組織を探っていた目障りな捜査員が淫蕩に破壊し尽くされていく様子を歪んだ興奮を滾らせつつ味わい続けていた。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...