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青年の喘ぎは玄関ホールを悲痛に満たす

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不意を突かれて意識を失い、敵対する組織が所有する山中の建物へと連れ攫われた青年は助けの望めない空間で数え切れない程の男に肉体を弄ばれ、屈辱と羞恥に苛まれる日々を送らされていた。
絶頂したくないのに、無理矢理に絶頂させられる苦しみ。感じたくないのに、全身をまさぐる手と尻穴を蹂躙する男根達でよがり狂わされる悔しさ。物のように扱われ、ほぼ一日中快楽に漬け込まれる淫らな地獄に置かれた青年は、心と身体を甘くいたぶられながらもその地獄からの脱出を信じて反抗の心と理性を保ち、その時を待ち続けた。
そして、その時はようやく訪れた。それは、普段は建物にいる敵達が年一回の集会のために本拠地へと集まる日。容赦無く注がれる快楽に呆けながらもしっかりと聞き取っていた敵達の会話を元に導き出した脱出の機会だ。
これを逃せば、次の機会は来年かも知れない。もしかしたら、もう二度と訪れないかも知れない。
青年はこの機会を決して逃すまいと集会の日に向けてこっそりと情報を集め、脱出を決行した。
首から下を包み込み男根と尻穴の周辺と左右の乳首を内蔵された機械で休み無く緩く振動させる黒のラバースーツを着せられた肉体を動かし、ラバースーツの機構によって握り拳を強要されている手の代わりに舌を使って扉に鍵を掛けている操作盤に盗み見たパスワードを入力し、青年は自分以外誰もいない建物を進み入り口へと移動していく。

「はぁ、ん、あぁ……はっ、あぁ、んあぁぁっ……!」

絶え間無く振動させられている性の弱点に生まれる甘い悦びで消耗させられた身体はまっすぐに歩くことすら出来ず、青年は荒く乱れた呼吸を繰り返しながら震える足でふらふらと歩いている。
絶頂にはたどり着けない弱い刺激で責めたてられている青年の乳首と男根はラバースーツごしでも形がくっきりと分かる程に硬く張り詰め、尻穴はラバーに吸い付きながら淫猥にヒクヒクと動いている。青年の思考に、絶頂したいという欲望が幾度となくわき上がる。ラバーの上から乳首と男根を擦り、射精を迎えたいという欲求が際限なくふくらんでいく。しかし、青年は自身の内側で暴れ回っている欲望を必死に抑え付け、痙攣している足に力を込めて入り口へと進む。
あと、もう少し。あともう少しで建物から出られる。そう自分に言い聞かせ、ラバーが擦れる音を鳴らしながら青年は休まずに足を前に出す。長い長い時間を掛けて歩き、青年はようやく入り口を視界に捕らえた。あそこまで辿り着けばこの地獄の日々から逃れられる。そんなことを考え、胸に安堵と喜びを抱きながら青年はラストスパートと言わんばかりに足を速め、玄関ホールを抜け入り口に行こうとした。
しかし、入り口を目的にしていた青年の肉体は、玄関ホールに足を踏み入れた途端崩れ落ちた。力尽きたのでは無い、立って歩いていたはずの青年の肉体が、勝手に四つん這いの体勢を取ったのだ。

「う、あぁっ!? なん、で……何で……!?」

再び立とうとしても、立てない。それどころか、青年の手足は更に勝手な行動を取り、疲弊した青年を四つん這いで歩かせ玄関ホールの中央へと連れて行く。突然に肉体の支配権を失い、欲していない動きを取らされる青年は汗に濡れた赤ら顔を困惑で歪ませながら自分の手足に逆らえずにホールの中央へと運ばれ、中央の床に設置されていたプレートに刻まれた文字を見て絶望した。

『私はご主人様達の留守中に勝手にお出かけしようとした駄目な肉便器です。肉便器の自覚を改めて持てるように特製のラバースーツでお仕置きをされています』

逃げ出そうとしていた青年の考えは、完全に見透かされていた。それどころか、操作盤に入力するパスワードを盗み見られる状況を作ったのも、ここで打ちひしがせるためにわざと用意したのかも知れない。
それに気付いても、もう青年に打つ手は無い。ラバースーツに隠されていた肉体を支配する機構によって操られている青年は床のプレートの上側に移動させられ、犬の芸の一つであるチンチンのポーズを嫌でも取らされるしか無い。
青年の肉体がチンチンのポーズを取った事実を感知したラバースーツが乳首と男根と尻穴をいたぶる機械の駆動を一気に引き上げ、絶頂を迎えたがっていた感度抜群の身体に暴力的なまでの快楽を叩き込んできても、青年はただただ無慈悲な仕掛けを残して建物を離れた敵達の思い通りにイきまくらされ、プレートの文字に沿って肉便器の自覚を持てるよう残酷な仕置きを加えられるしか無いのだ。

「あぉぉぉぉぉ-っ!! おほっ、んぉぉぉぉっ!! あー! あひっ、はひぃぃぃっ! んぁっ、ひあぁぁぁぁーっ!!」

甘い仕置きで追い詰められ、ラバースーツ内に精液を撒き散らす哀れな青年の喘ぎ声は、集会から戻ってきた敵達を淫らに出迎える時が訪れるまで青年一人きりの建物の玄関ホールを悲痛に満たし続けていた。
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