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犬達は専用の檻の中で淫らな陥落へと進む

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厚い綿によって締め付けられた手足は、伸ばしたくても伸ばせない。綿の内側に仕込まれた棒を噛まされ、綿に視界を遮られた男達はしゃべることを禁じられ、周囲の様子を伺うことも不可能にされた。
黒、白、薄茶。様々な色を持つ犬の着ぐるみに裸体を閉じ込められ、あらゆる自由を取り上げられた男達はもはや何処にも逃げられない。理不尽に捕らわれ、非道な着ぐるみによって一切の抵抗を行えない犬にされた哀れな男達はもう、この屈辱からはどうやっても抜け出せない。
しかし、男達を捕獲し無様な犬に変えた非道な組織の男達は、犬達の逃走をより絶望的にし無様さと滑稽さを引き上げる無慈悲な拘束を追加した。それは、拘束着ぐるみに合わせて作られた、頑丈な金属製の檻だ。
伸ばせなくさせた手足を、ふかふかな毛に包まれた胴体を、あどけない表情を浮かべる犬のマスクに視界と言葉を取り上げられた頭部を、曲線を描く金属の格子ですっぽりと囲う特殊な形状の檻。逆らえぬ犬達を数人がかりで入れた後に檻を構成する上下のパーツ同士を幾つもの南京錠で繋ぎ、脱出の可能性を叩き潰した上で惨めな四つん這いの格好で犬達を飾る残忍な檻。
そんな檻にしまい込まれ、同じ着ぐるみに縛められた者同士での協力も出来なくされた犬達は、自力ではどうすることも出来ない檻を着ぐるみ越しに叩き、蹴り付け、口を塞ぐ棒に歯を立てながら本物の犬のような唸りを上げて救いを欲した。
もちろん、犬達が幾ら檻に力を加えようが効果は欠片も無い。ふかふかの綿に覆われた手足で金属を攻撃し、慈悲をねだる鳴き声を放ってみても、人間の男を拉致し愉快な犬という商品に変えて利益を得る人道を外れた組織の男達は無駄な試みを嘲笑い情けない鳴き声に笑みを深めるのみで、わずかな慈悲さえも見せはしない。
人間の感情を持ち合わせていない異常な悪達に捕まった男達に残された道は、ただ一つ。全ての行動に制限を加えられた檻の中の犬達に取れる選択肢は、たった一つ。男達の意思に沿った立派な商品へと堕ち、自分を買い求めた好事家達の目と耳を従順に愉しませることだけだ。

「んぅーっ……んぐ、あもぉぉっ!」
「あぅ、あぉんっ! はぉ、あふ、んもぉぉ……っ!」

味方のいない空間に哀願の声を虚しく響かせながら、自分達を商品としてしか認識せずより高値で売れる商品にするためと言って毎日の餌に強力な発情薬を混ぜる悪達の思惑通りに肉体を淫らに火照らされ着ぐるみ入りの裸体を満足に悶える余裕すらも無い檻の中でみっともなくよじらせながら、男達は今日も逃げ場の無い淫欲と甘い熱に心と身体を擦り減らされ肉欲に溺れ理性を無くした優秀な商品へと、高値で売れる淫らな犬へと、陥落させられていくのだった。
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