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愉しいお散歩は窮屈な格好で行わされる

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薄暗い部屋に放置されている一人きりの青年。監視する者は近くにはいない。拘束を解こうとして暴れても、それを咎める者はいない。だが、青年は裸体に与えられた拘束を解こうとは一切せず、部屋の中央に敷かれた薄桃色のマットの上で大人しく寝転がっていた。拘束を解こうともがく度に生まれる恥部への痛みに屈し、心を折られてしまった青年は拘束から抜け出すことを完全に諦めてしまっているからだ。
下手に足を動かせば、足枷と短い鎖で繋がっている睾丸をくびり出す黒く細い革ベルトが引っ張られ、睾丸に激痛を与えてしまう。下手に顔を動かせば、首輪の前部と鎖で繋げられている亀頭のすぐ下に巻き付けられたベルトが引っ張られ、自らの男根を痛め付けてしまう。背中で鍵付きの手袋と手枷を使って拘束された手を下手に動かせば、手枷の鎖に南京錠で結合された鎖の先にあるアナルフックも連動して動き、柔らかな腸壁が容赦無くゴリゴリと抉られてしまう。
そんな状況に追いやられた青年は最初は諦め悪く拘束と格闘していたが、一向に緩む気配の無い拘束とまるで暴れた罰を加えるように恥部を襲う痛みに疲弊させられるにつれ足掻きは段々と弱い物になっていき、青年は今では完全に無抵抗の状態となってしまった。
もはや、青年は言葉を封じる棒状の口枷から救いを求める唸りを上げることもしない。恥部を責める痛みにただただ怯え、左側を下にした裸体をマットの上で寝転がらせるだけだ。

「ふー……うーっ……」

塞がれた口から荒い呼吸と唾液を零し、身じろぎすらも極力抑え、一人きりの部屋でじっとし続けている青年。そんな時間がどれだけ過ぎた頃だろう。不意に青年がいる部屋の扉がギィと音を立てて開いた。
それは救いではなく、絶望の合図。青年を捕らえて拘束し、恥辱の姿で置き去りにした男が部屋に戻ってきたことを知らせる音だ。

「っ、ぐぅんっ……! んぅ、むぅぅんっ……!」

男の姿を視界で確認した青年は、表情を恐怖で歪ませる。恐怖で歪ませながらも、青年は淡い希望を抱いて男に哀願の唸りを向けた。
けれど、その哀願は無慈悲な男には届かなかった。悲痛な哀願は無視され、男は無駄な唸りを上げる青年に残忍な笑みを浮かべながら持ってきた器具の金具を青年の首輪に繋ぎ、その器具を引いて青年の裸体を無理矢理に移動させようとする。

「さ、愉しい愉しいお散歩の時間だよ。今日も、失神するまでたっぷり遊ぼうね」

まるで犬に散歩をさせるように首輪に繋いだ赤いリードを引かれた青年の裸体はバランスを保てず、体勢を崩してしまう。すると、男根のベルトと尻穴のアナルフックに繋がっている手足が不自然に動き、男根と尻穴に苛烈な痛みと屈辱の快楽が生まれ、青年は塞がれた口から痛々しい絶叫を部屋に響かせた。

「んぐぅぅぅーっ!! もっ、ぶぅぅ! ぐぶぁぁぁっ!!」

見開いた目を涙で潤ませながら発せられる青年の苦悶の鳴き声は、当然男の耳にも聞こえている。淫猥で、無様で、美しい鳴き声。それに興奮と欲望を刺激された男は背筋をゾクゾクと震わせながら右手のリードを更に強く引き、青年の裸体を容赦無く動かしつつ青年をより追い詰めるための言葉を嬉々として浴びせかける。

「ほら、さっさと立って歩きなさい。あんまり聞き分けが悪いと、ひどいお仕置きをしちゃうよ? 良いのかい?」
「うぅぅっ!? んま、むぐぁぁぁ!!」

お仕置きと言われ、心と身体に刻み込まれた甘い地獄の苦しみを思い出した青年は、イヤイヤと顔を横に振りながら慌てて裸体に力を込め、足の裏が床に着いた散歩の体勢を取ろうとする。

「さ、頑張れ頑張れ。愉しいお散歩が待ってるよ」
「うぅ、うぐぅぅ、むぐふぅぅぅっ!」

窮屈な格好を強いられた裸体をどうにかして移動が可能な体勢にしようと悪戦苦闘する青年に微笑みながら、鬼畜な男は意地悪にリードを引いて青年の体勢を崩させ、男根と尻穴に走る刺激に悲鳴を上げる青年を散歩を行える体力が残るよう気を付けながら飽きるまで存分に堪能していた。
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