上 下
1 / 1

気高き男達は憎き敵達の手で無様に飼育される

しおりを挟む
王宮内部にまで魔の手を伸ばしていた帝国の策略によって内側から国を崩壊へと導かれた二人の騎士の男は、守るべき王の下へと辿り着くことさえ叶わずに圧倒的な数の差で抵抗虚しく身柄を拘束され、憎き帝国の所有物となった王宮の地下で絶え間無く襲い来る恥辱の責めに嬲られるだけの日々を送らされていた。
視界を閉ざし、口を塞ぎ、左右の腕を背中側に回した上で伸ばしきった状態に固定させ左右の足を遊び無く一つにまとめている魔術を込められた白布は、騎士達が逞しく鍛え上げられた肉体に幾ら力を込めようとも緩みすらしない。鼻の穴と額から上の部分以外を隙間無く覆い裸体の自由を奪い取っている白布の上から装着された背筋を伸ばして立ち尽くす体勢を強要する器具も、二人が言葉になら無い唸りを発しながら暴れたくらいではビクともしない。
全身を布に縛められ、布越しに足首と太もも、そして腹部と首を背後の板へと縫い付けさせる金属で作られた頑丈な器具によっ惨めな移動すらも不可能にされた哀れな騎士達はもう、残忍な帝国の人間達が残していった淫獄の魔術にただただ、悶え狂わされるしか無い。拘束をもたらしている布に嬉々として書き込まれた淫猥な魔術の印が作り出す悦楽の苦悶を拒む術など何処にも無い無様な騎士達はもはや、左右の乳首と男根に向けて施された甘く苦しい快楽の魔術に為す術無く心と身体を追い詰められるしか無い。
気高く、禁欲的に王に仕える騎士としての研鑽のみを繰り返していた男達は、普段意識すらしていなかった器官である乳首と自らの手で慰めた記憶すらほとんど無い男根を休みさえも挟まずに責め立てられながら、断続的に訪れる絶頂へと上り詰めさせられるしか無いのだ。

「んーっ! んぐ、ぶむっ、ふぶぅぅぅんっ!!」
「んもっ、もっ、ぶもぉぉぉっ!!」

気持ち良くされたくないと考え、甘い悦びに逆らっていた騎士達は終わりの見えぬ淫獄の日常の中で跡形も無く壊し尽くされてしまった。遮られた視界越しでも悲鳴で正面にいると分かる仲間に痴態を聞かれたくない、王を守護する存在である自分にこんなところで意に染まぬ快感に溺れている暇は無い。誇りを胸に必死で布に包まれた裸体をよじらせ自分に立った姿を強制している器具を軋ませながらじたばたと足掻いていた騎士達は、面影さえも伺えはしない。射精に達しても小休止さえ認めずに暴力的なまでの快楽を乳首と男根目掛けて流し込んでくる魔術に憔悴させられた二人は、堪えることさえままならない絶頂に至り続けながらはじけ飛びそうになる理性を繋ぎとめることで精一杯だ。

「ふぐっ、むぐぅぅんっ! んもっ、むぉ、ぶふぉぉんっ!」
「うーぅっ、うむぅぅ! みゅっ、ぎゅぅぅぅぅっ!!」

己の汗と淫らな体液をたっぷりと吸った布の中で裸体を痙攣させ、騎士であった頃の様子を一切感じさせぬ愉快な絶叫を発しながらイき続ける男達。国を崩壊させられた憎しみはおろか望まぬ快楽で弄ばれていることへの悔しさを思い出すことも出来ぬまま、間抜けに鼻を鳴らし腰を前後に揺らめかせつつイきまくらされる男達。その最高に情けない騎士の男達を存分に堪能し、無言で鑑賞を行っていた帝国の男達は予定の時刻がやって来ると同時に鑑賞に加わっていた魔術師の男に目線で次の責めを促し、自らの欲望をたっぷりと乗せた魔術を捕らえた騎士達と二人に気付かれないよう地下に運び込んだもう一人に与えた魔術師は満足げに頷きを返しつつ、三人に次の責めを味わわせ始めた。
魔術師は騎士達の目を覆う布の魔術を解除する呪文を小声で唱えて二人の視界を解放し、自分達がいつの間にか悶絶を愉しみに来ていたという情報以上に絶望を覚えさせる無慈悲な事実を、騎士達の眼前に突き付けてしまったのだ。

「んぐっ、むぐぅぅ!?」
「ふっ、ぶぎゅぅぅっ!?」

悦楽の地獄に翻弄させられた脳でも、一瞬で分かる人物が騎士達の前に現われた。忘れたくても忘れられない、忘れるはずなど無い人物である忠誠を誓った王が自分達と同じ拘束に身を包まれた状況へと追いやられている。
それぞれ右斜め前と左斜め前に視線を向けて、騎士達は変わり果てた王の姿に打ちひしがれる。自分達とは違う形状をした魔術の印を乳首と男根と口の上に書き込まれ苦しげに目を剥いている王を見つめながら、二人の騎士は王を守り切れなかった自らに不甲斐なさを募らせることも出来ずにただ呆然としている。
そうして愉快な反応を見せる騎士達に向かって、帝国の男達はかつて王であった二人の主である男に加えた非道を、醜悪な高揚を隠しもしない声音で説明していく。

「騎士さん達、久しぶりに王様と会った気分はどうだい? 感動しても良いけど、ここからはイかないよう頑張らないと駄目だぜ?」
「お前らの王様に掛けた魔術は、お前らが感じた快感をそのまま感じさせる魔術だ。騎士さん達が好き勝手にイきまくってたら、王様はあっという間に二人分のイき地獄で狂っちまうぜぇ……大変だ」
「ほらほら、もう王様の魔術は始まってるよ? お前らの王様は口の魔術で呻き声さえも上げられないんだから、見た目じゃ分かんないだけでもう何十回もイっちまってるよ? 早くイかないよう耐えないと、手遅れになっちまうよー?」
「っぎゅ、むぐぅぅぅっ!」
「ふぶ、っも! んぐふぅぅ……っ!」

自力では耐えられなくても、王の為ならばある程度は耐えられる。敬愛する王を帝国の目論見通りに壊させない為に、騎士達は布の下で歯を食い縛り乳首と男根に全ての意識を集中しながら、湧き上がる絶頂欲を押さえ付けていく。
剣の道一筋で生きてきた故に魔術に明るくない二人が伝えられた情報を鵜呑みにし、王の恥部にもたらされた魔術は一切自分達に関係無く強烈な快楽と絶頂の禁止を絶えず発生させる物だということを知る由も無いまま無意味に絶頂を遠ざけ続ける様を、唯一真実であった発声を禁じる魔術によってイかせての哀願はもちろん騎士達が自分の為に行う忍耐を不必要だと唸りで知らせることも出来ない王の淫猥な苦悩と共に愉しみながら、帝国の男達はまとめて地下で飼育することが決定した三匹の淫獣達の悶絶に浮かべた笑みの黒さを際限無く引き上げさせていくのだった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...