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汗塗れの裸体は無慈悲な機械達で追い打ちをかけられる

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人里離れた山奥に存在する一軒の屋敷に、夏の強い日差しが降り注いでいる。
テーブルやベンチが設置された屋上にも、庭に作られたプールにも、そして捕らわれの身に堕とされた探偵の青年が裸体で拘束されているウッドデッキにも、容赦の無い陽光が降り注いでいる。
肌を炙り、暑さを味わわせてくる陽の光から逃れたくても青年探偵は逃れられない。左右の手首を縛る縄をウッドデッキの柵に短く結合され、空に正面を向けさせられた裸体の下に設置された白い箱に胸部と腹部と左右の足を縄できつく括り付けられた探偵は絶え間なく訪れる暑さから離れられず、自分を捕らえた男が所有する屋敷からの脱出はおろか言葉を塞ぐためにと装着された白い布の猿轡を毟り取ることも出来ない。
自由を縄で奪い取られ、しゃべることを不可能にされた青年探偵は無様に露出させられた裸体を陽の光で嬲られ続けるしか無い。歯を割って噛まされた白布が吸収した自身の汗をすすりながら、逃げ場の無い熱に体力を奪われ続けるしか無い。
縄を解こうと試みることすらも叶わないほどに消耗させられた青年探偵は喉の渇きと朦朧とする意識に苛まれながら、この責め苦の終わりを悲痛に望むことしか出来はしないのだ。

「う、うぅ……ふぅ、む、ぶ……」

弱々しく呻きながらただじっと耐え続ける哀れな青年探偵。滝のように汗を流しているびしょ濡れの裸体を苦しげによじらせながら、苦悶の終わりを待ち望む惨めな青年探偵。そんな青年探偵の元に、ようやく男が戻ってきた。
ウッドデッキと室内を仕切るガラス戸が開かれる音を聞き、白く霞む思考に淡い希望の感情を抱きながら青年探偵は顔を起こして開かれたガラス戸の方を見て、希望を一気に絶望に変えた。
青年探偵の視界に映ったのは残酷極まりない愉快一色に染まった笑みを浮かべる男と男の部下の姿で、部下達はそれぞれが器具を手にして逃れられない青年の方へと移動していた。
マッサージ器によく似た形状をしている、淫らな責め具。箱形の機械から伸びたアームの先に、男根を模した太く醜悪な張型が取り付けられている、淫猥な苦しみを与えることに特化した器具。この屋敷に捕らえられてから嫌というほどに使われた器具を目にした青年探偵の思考に、幾ら泣き叫んでも許されること無く快楽を極めさせられた記憶が蘇る。暑さに追い詰められ上手く働かなくなった脳でもすぐに思い出せるくらいに刻み込まれた甘い恐怖の記憶に怯え、表情を強ばらせた青年探偵の反応に笑みの黒さを更に濃くした男は、自身が手にしていたマッサージ器状の器具を青年探偵の男根にあてがいつつ心底愉しそうに言い放った。

「日差しも弱まってきたし、ここからは私達の手で本格的にいたぶってあげるよ、探偵君。ずっと暑い中ほったらかしにされて、すっかり疲弊した身体を気持ち良く苛め抜いて……気を失うまでイきまくらせてあげるからね」
「うぅ……うむぅぅ……」

悪魔のような言葉に、身も心もすり減らされた青年探偵は拒絶の叫びすら上げられない。男の部下二人が男と同じ器具を自分の左右の乳首に押し当ててきても、残り一人の部下が凌辱の日々で異物への抵抗を行えなくされた尻穴の前に箱形の器具を置き器具と繋がっている張型の先端を捕らわれた日からは想像も付かないほどに緩みきった尻穴に潜り込ませてきても、体力と気力とあらゆる自由を没収された青年探偵はすでに感じていた絶望をより深められるしかない。
何をされても抗えず、されるがままに弄ばれる。自分の今の立場を改めて思い知らされ打ちひしがれる青年探偵に、男は嬉々として淫らな地獄の開始を宣言する。

「じゃあ、スイッチを入れるよー。好きなだけおかしくなっても良いから、我慢せずにたくさんイき狂って私と部下を愉しませてくれよ。探偵君」

陽の傾き始めた山奥に無慈悲な機械達の駆動音とくぐもった甘い悲鳴が哀しく響き渡り始めたのは、青年探偵の痛々しく歪んだ顔を堪能しながら放たれた残忍な男の言葉が終わるのとほぼ同時だった。
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