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捕らわれた下衆は破滅の展開を受け入れさせられる

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目を覚ますと俺は見知らぬ場所にいて、着ていた物を全部取り上げられた真っ裸の身体をベッドの上で拘束されてしまっていた。
ベッドの頭側にある金属の柵から伸びた鎖の先にある黒い革の枷を手首に巻き付けられた俺の腕は、どんなに力を入れても思い通りには動かせない。足側にある柵に繋がれた鎖の先の枷を手首と同じように足首へと巻き付けられた俺の足は、必死で暴れさせても自由を取り戻せない。ベッドに仰向けで転がされ、X字に引き延ばされた俺の裸体は幾ら試行錯誤を繰り返しても口を塞ぐ黒のガムテープに触れることすら叶わず、眠っていた俺をずっと囲んで見ていたのであろう男達に観察されても覆い隠すことすら許されない。
俺に出来ることはただ一つ。俺をこの状況に追いやった張本人と思われる憎い男達に怒りを込めた唸りを飛ばしながら、じたばたと手足をもがかせることだけ。これ以上無い恥辱と屈辱を味わわされながら、無意味な足掻きを繰り返すことだけだ。

「んーっ! むっ……ぐむぅぅっ!」

早く外せ。そんな思いを込めて閉ざされた口で騒いでみても、男達はあらゆる方向から俺を見下ろすばかりだ。
嘲るような視線に苛立ちと惨めさを募らせながら一層激しく身をよじらせてみても手足の拘束は甲高い金属音を立てるのみでやはりビクともせず、男達も変わらずに俺を無言で眺め続けるばかりだ。

「うぐっ、むっ、ふぶぅぅ……っ!」

一体こいつらの目的は何なんだ。俺を攫ってどうしたいんだ。答えの出ない問いを思い浮かべて羞恥から意識を逸らしつつ拘束との格闘を行っていた俺は、鼻呼吸しか出来ないが故の息苦しさに襲われとうとう何の成果も得られないもがきを見せる体力すら失ってしまった。
汗に塗れ疲労に苛まれている俺の裸体は、もう鎖を鳴らす力はおろか丸出しの男根を揺らす力すら出せない。間抜けに鼻を鳴らし呼吸を荒く乱している俺は、怒気を乗せた叫びすら飛ばせない。
そんな情けない俺を見て冷たく微笑んだ男達は、弱々しく抗う裸体を抑え付けながら俺に一つの機械を、ICレコーダーに繋がったイヤホンを装着させた。そのイヤホンから流れ込んできた音声は俺が一切想像していなかった内容の物で、ようやく俺は男達の目的と男達に依頼をした者達が誰なのかを嫌でも理解させられた。

『俺は女性を好き勝手に扱い財産を奪い尊厳を踏みにじる屑人間です。だから、人間としての理性が消えるまで快感で嬲られ、男根を受け入れる穴だけが存在価値である肉便器に改造されても文句は言えません。当然の結末です』

俺の声によく似た無機質な声が、俺の耳に到底受け入れられない破滅の展開を受け入れるよう言い聞かせてくる。休み無く何度も何度も、それ以外の音が聞こえなくなる程の音量で同じ言葉を送り込んでくる。
その暗示を拒んで頭部を振り乱してみても、イヤホンは外れない。俺を憎む女達から依頼を受け、復讐の為に俺を攫って拘束した男達が嫌悪と侮蔑を含んだ視線で俺を睨み付けながら逃げられない裸体に手を伸ばしてきても、俺は恐怖に目を見開きつつ、聞き流されるだけの哀願の絶叫を味方のいない部屋に響かせることしか出来ない。

「んーっ!! むぐっ、ぶぅ! んぶぅぅぅぅっ!!」

誰か、助けてくれ。呼吸の整っていない状態でなりふり構わずに発した俺の声は救いの手を差し伸べてくれる誰かには届かず、俺は耳を蝕む音声に絶望を加速させられながら自分を壊す男達の手で乳首を弄られ、男根を揉み込まれ、無防備な尻穴を指先でほじくられ、望まぬ快楽を用いて心と身体を狂わされていくのだった。
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