3 / 18
2】会議室に残されて
2】会議室に残されて
「あの、社長が俺に何の用でしょうか? しかも、あの。吹雪君も一緒で」
「うん。高橋君を吹雪君の専属マネージャー任命しようと思って」
「は……はい……??」
ニコリと微笑む社長と吹雪、それからぽかんと口を開いた俺だけが会議室にいた。いつもの日常に、ちょっとした変化が起きた朝だった。とんとん拍子に物事が進みそうで、一旦冷静になる。だが、口調は勢いがあった。
「……って、待って下さい! 確かに。確かに俺自身も、受け持つ人数の相談とか、専属とかしたいなとは思っていましたけど……!」
「何だ、思っていたんだ。なら丁度良いじゃないか。吹雪君だけの専属になれば」
「丁度良いって、社長。俺は彼と初対面ですよ。しかもです! 今話題の新人で、とても大事な時期じゃないですか!!」
「うんうん、やっぱり高橋君は分かってるね」
俺の言葉に、うんうんと嬉しそうな社長。対して、分かっているね、じゃないですよ。と頭を抱える。社長相手だが、昔からの付き合いもあり、お互い人の目がなければ親しく話せる間柄なのは嬉しい。だが、それどころではない。
「大事な時期の吹雪君は、俺ではなくもっと経験豊富な人がいいですよ……!」
そこは譲れない。きっと俺よりも、経験豊かな人が導いた方が良い。そう思ったのに。
「でも、その吹雪君が、高橋君じゃないと嫌だっていうんだもの。ねぇ?」
コクリ、と黙ったまま首を縦に振る吹雪。
「え……?」
何で? 俺、君のこと広告でしか知らないけど。とは言えず。チラリと吹雪君の方を見れば、今度はペコリと小さく会釈された。
「高橋君じゃなきゃ、別の所に行くか辞めるっていうんだもの。それは困るだろう?」
「それは……困りますね」
困るどころではない。事務所にとって、大ダメージだ。
「だから、高橋君。宜しくね」
「え!? ちょっ! しゃ、社長……!」
「君が受け持っていた子は、もう別の人に任せているし、人員も増やしたから安心してね。じゃあ、あとは若い二人で親睦を深めて。二人とも、今日は休み扱いでいいからね」
「社長~~!」
お見合いじゃないんですよ! とか、俺聞いてないですよ!? と、出て行く背中に言いたかった。だが言えるはずもない。ただ会議室に残された俺たち。
(いや、誰かの専属にとは思ってたけど)
(こんなに突然になるとは思わないだろう!?)
立ったままだった吹雪君が席に着き、俺の方を見た。
「えっと、吹雪君?」
とりあえず君呼びで、様子を伺う。
「吹雪でいいです。君じゃなくて、吹雪って呼んで下さい」
初めて声を聞いた。いや、声だけじゃない。初めて会ったが、妙にドキドキする。アレな言い方だが、加工無しでコレか? このレベルなのか? と思わず目を瞑りたくなる。
(か……顔が良い゛……!)
そんな内なる俺を抑えつつ、マネージャーとして冷静に答えた。
「分かった。じゃあ、吹雪。俺は高橋夏希っていうんだ。好きに呼んでくれ」
「じゃあ、夏希さんで」
「ああ、うん。分かった」
(高橋の方じゃないのか)
まさか下の名前を選ばれるとは思わず、意外だと思った。
********
おきにいりありがとうございます
「あの、社長が俺に何の用でしょうか? しかも、あの。吹雪君も一緒で」
「うん。高橋君を吹雪君の専属マネージャー任命しようと思って」
「は……はい……??」
ニコリと微笑む社長と吹雪、それからぽかんと口を開いた俺だけが会議室にいた。いつもの日常に、ちょっとした変化が起きた朝だった。とんとん拍子に物事が進みそうで、一旦冷静になる。だが、口調は勢いがあった。
「……って、待って下さい! 確かに。確かに俺自身も、受け持つ人数の相談とか、専属とかしたいなとは思っていましたけど……!」
「何だ、思っていたんだ。なら丁度良いじゃないか。吹雪君だけの専属になれば」
「丁度良いって、社長。俺は彼と初対面ですよ。しかもです! 今話題の新人で、とても大事な時期じゃないですか!!」
「うんうん、やっぱり高橋君は分かってるね」
俺の言葉に、うんうんと嬉しそうな社長。対して、分かっているね、じゃないですよ。と頭を抱える。社長相手だが、昔からの付き合いもあり、お互い人の目がなければ親しく話せる間柄なのは嬉しい。だが、それどころではない。
「大事な時期の吹雪君は、俺ではなくもっと経験豊富な人がいいですよ……!」
そこは譲れない。きっと俺よりも、経験豊かな人が導いた方が良い。そう思ったのに。
「でも、その吹雪君が、高橋君じゃないと嫌だっていうんだもの。ねぇ?」
コクリ、と黙ったまま首を縦に振る吹雪。
「え……?」
何で? 俺、君のこと広告でしか知らないけど。とは言えず。チラリと吹雪君の方を見れば、今度はペコリと小さく会釈された。
「高橋君じゃなきゃ、別の所に行くか辞めるっていうんだもの。それは困るだろう?」
「それは……困りますね」
困るどころではない。事務所にとって、大ダメージだ。
「だから、高橋君。宜しくね」
「え!? ちょっ! しゃ、社長……!」
「君が受け持っていた子は、もう別の人に任せているし、人員も増やしたから安心してね。じゃあ、あとは若い二人で親睦を深めて。二人とも、今日は休み扱いでいいからね」
「社長~~!」
お見合いじゃないんですよ! とか、俺聞いてないですよ!? と、出て行く背中に言いたかった。だが言えるはずもない。ただ会議室に残された俺たち。
(いや、誰かの専属にとは思ってたけど)
(こんなに突然になるとは思わないだろう!?)
立ったままだった吹雪君が席に着き、俺の方を見た。
「えっと、吹雪君?」
とりあえず君呼びで、様子を伺う。
「吹雪でいいです。君じゃなくて、吹雪って呼んで下さい」
初めて声を聞いた。いや、声だけじゃない。初めて会ったが、妙にドキドキする。アレな言い方だが、加工無しでコレか? このレベルなのか? と思わず目を瞑りたくなる。
(か……顔が良い゛……!)
そんな内なる俺を抑えつつ、マネージャーとして冷静に答えた。
「分かった。じゃあ、吹雪。俺は高橋夏希っていうんだ。好きに呼んでくれ」
「じゃあ、夏希さんで」
「ああ、うん。分かった」
(高橋の方じゃないのか)
まさか下の名前を選ばれるとは思わず、意外だと思った。
********
おきにいりありがとうございます
あなたにおすすめの小説
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
【短編】初対面の推しになぜか好意を向けられています
大河
BL
夜間学校に通いながらコンビニバイトをしている黒澤悠人には、楽しみにしていることがある。それは、たまにバイト先のコンビニに買い物に来る人気アイドル俳優・天野玲央を密かに眺めることだった。
冴えない夜間学生と人気アイドル俳優。住む世界の違う二人の恋愛模様を描いた全8話の短編小説です。箸休めにどうぞ。
※「BLove」さんの第1回BLove小説・漫画コンテストに応募中の作品です
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
アイドルですがピュアな恋をしています。
雪 いつき
BL
人気アイドルユニットに所属する見た目はクールな隼音(しゅん)は、たまたま入ったケーキ屋のパティシエ、花楓(かえで)に恋をしてしまった。
気のせいかも、と通い続けること数ヶ月。やはりこれは恋だった。
見た目はクール、中身はフレンドリーな隼音は、持ち前の緩さで花楓との距離を縮めていく。じわりじわりと周囲を巻き込みながら。
二十歳イケメンアイドル×年上パティシエのピュアな恋のお話。
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる
cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。
「付き合おうって言ったのは凪だよね」
あの流れで本気だとは思わないだろおおお。
凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?