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17】単純な俺③
17】単純な俺③
「トーマ、良かったな。あれは何かお前の話をアラン様にしてくれてるぜ」
「変なことじゃねぇと良いんだが」
今日の訓練も終わり。それなりに疲れた身体で、地面に座り込んでいた。
訓練こそ真面目に受けたが、先日の交流戦を引きずっている俺に気を遣ってか、クソデカ溜息をつき続ける俺の背中を親父が一発叩いた後アラン様の方へと歩いて行ったところ。親父とアラン様の親しげな様子にぐぬぬ……と思いながら、ワンチャン俺の良い所を話してくれと願う。(自分でも調子が良いと思う)
(……何の話をしてるんだろう)
周囲のザワつきと距離があり、会話の内容は聞こえない。とりあえず大人しくアラン様を見つめながら、疲れた身体を癒すことにした。(やっぱりアラン様は綺麗だし可愛い。好きだ)
*******
「アラン様、お疲れ様です」
「ああ、お疲れ様。今日もしっかり訓練に励み、後輩の育成に力を貸してくれて有難う」
「そんな滅相もないです。すみません、お疲れのアラン様に大変申し訳ねぇんですが、相談がありまして」
「相談?」
「ええ。どうもトーマの奴が、どうしてもこの前の交流戦で負けたことを気にしてまして」
「トーマが?」
「はい。トーマの奴、アラン様に褒めてもらおうと意気込んでたんですが、まさか対戦相手がレオ殿になるとは思ってもみませんで。あんなにすぐに負けたのを未だに引きずってるんですよ。辛気臭えったらねぇです」
「そうか……」
「そこでなんですが、アラン様から何か言って頂けませんか? ご存知の通り、トーマはアラン様の忠犬なもので」
「私なんかで良いのか?」
「アラン様が良いんですよ!」
********
俺の耳には二人の会話は最後まで聞こえないまま。そんなに長い時間も経っておらず、親父が戻って来たと思ったその刹那だ。
「…………は?」
(アラン様もこっちに来てるだと?????)
「あ、おい! 良かったな、トーマ。アラン様がこっちに来て下さってるぞ」
良かった。俺の幻覚じゃないらしい。俺と一緒に親父たちの様子も見ていた奴が、俺の肩を抱いて俺の代わりに喜んだ。見えない俺の尻尾がビンッ! と立ち上がるように、身体の背筋がピンとなる。だが、クンッと鼻に香った匂いに焦り出すわけで。
「いやいやいや、待て、待て。俺、今汗臭くないか!?」」
「臭いな」
「嘘でも臭くないって言えよ!」
あまりの即答に焦って、また変な汗が出始める。不味い。実に不味い。それでも足の長いアラン様はズンズンこちらに来るわけで。
(ギャァアアアアア!! 嬉しいけど! 嬉しいけど、今は……!!)
「トーマ、俺に感謝しろよ。お疲れのところ、わざわざアラン様が来て下さったぞ」
「……」
「トーマ。元気が無いらしいな」
「いえ……っ! そんなことは!」
「無理するな。トーマ、すぐに元気を出せというのは厳しいかもしれない。だが私も、お前に元気がないのは寂しいぞ」
「そ……うですか……」
レオ殿に見下ろされた時とは違う。穏やかな表情で、ああ好きだ! と気持ちで胸が一杯になる。ドキドキと煩く鳴る心臓に、胸が苦しくなりながらコクコクと首を動かす。
「トーマ」
「アラン様っ……」
最後はアラン様が膝を折り。俺と視線を合わせて、微笑んだ。
「相手が悪かったんだ。レオ殿相手では、私も苦戦する。まず身体が無事であっただけでも誇れることだぞ? レオ殿の国で似たような試合をしたら、団員は骨を折ったらしいからな」
「トーマは頑丈だからな」
「そうだぞ、トーマ。アラン様からも褒められて羨ましいなぁ?」
「……~~~~っ! お、俺は頑丈なので!! それに……」
「それに?」
「それに、次があれば勝てなくても少しは恰好良い所をアラン様に絶対見せるんで!」
「ふふっ、その意気だ。期待しているぞ?」
最後に俺の頭を撫でて、アラン様が「じゃあ」と踵を返し城の出入り口の方へと戻って行った。残された俺と親父たちは、「良かったな!」とまた背を叩く。その痛みが、今の出来事は現実だと教える。
(アラン様が、俺が元気がないと寂しいと言ってくれた……! それに期待してるとも……!)
「う……、うぉおおおおっ……!」
ガバッ! と勢いよく立ち上がり、一応親父たちにお礼を言った。
「悔しいが、礼を言うぜ! ありがとうな!!」
「まーな。しっかし、お前は本当に単純な奴だなぁ」
「トーマのことで困ったら、やっぱりアラン様だよな」
その言葉は確かに。
俺は単純で、凹んでいたこともアラン様の一言でむしろやる気に変わるくらいで。
(絶対次は、すぐには負けねぇんだからな!)
レオ殿、覚悟しけよと俺は心の中で誓ったのだった。
アラン様について? あー……、まだ告白する勇気はないから、片思い継続だな。また俺の童貞記録は更新中。
■単純な俺■
いつだって、アラン様に転がされてる。(好きだから仕方ないな)
■DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!■
告白は、まだまだ先になりそうだ。
********
一応シリーズ完結に致しました
短い予定だったので、この辺で。
【宣伝】アラン様メイン・前に完結している「【完結・BL】くっコロされたい騎士団長様♂!【騎士団長受】」も読んで頂けると嬉しいです※R18
今後は、特に考えていないので突然短期くらいのお話を書ければ><
くっコロ~の方とお父さんと~に癖をつめたのでR関係の話の意欲が最近わかずorz
「トーマ、良かったな。あれは何かお前の話をアラン様にしてくれてるぜ」
「変なことじゃねぇと良いんだが」
今日の訓練も終わり。それなりに疲れた身体で、地面に座り込んでいた。
訓練こそ真面目に受けたが、先日の交流戦を引きずっている俺に気を遣ってか、クソデカ溜息をつき続ける俺の背中を親父が一発叩いた後アラン様の方へと歩いて行ったところ。親父とアラン様の親しげな様子にぐぬぬ……と思いながら、ワンチャン俺の良い所を話してくれと願う。(自分でも調子が良いと思う)
(……何の話をしてるんだろう)
周囲のザワつきと距離があり、会話の内容は聞こえない。とりあえず大人しくアラン様を見つめながら、疲れた身体を癒すことにした。(やっぱりアラン様は綺麗だし可愛い。好きだ)
*******
「アラン様、お疲れ様です」
「ああ、お疲れ様。今日もしっかり訓練に励み、後輩の育成に力を貸してくれて有難う」
「そんな滅相もないです。すみません、お疲れのアラン様に大変申し訳ねぇんですが、相談がありまして」
「相談?」
「ええ。どうもトーマの奴が、どうしてもこの前の交流戦で負けたことを気にしてまして」
「トーマが?」
「はい。トーマの奴、アラン様に褒めてもらおうと意気込んでたんですが、まさか対戦相手がレオ殿になるとは思ってもみませんで。あんなにすぐに負けたのを未だに引きずってるんですよ。辛気臭えったらねぇです」
「そうか……」
「そこでなんですが、アラン様から何か言って頂けませんか? ご存知の通り、トーマはアラン様の忠犬なもので」
「私なんかで良いのか?」
「アラン様が良いんですよ!」
********
俺の耳には二人の会話は最後まで聞こえないまま。そんなに長い時間も経っておらず、親父が戻って来たと思ったその刹那だ。
「…………は?」
(アラン様もこっちに来てるだと?????)
「あ、おい! 良かったな、トーマ。アラン様がこっちに来て下さってるぞ」
良かった。俺の幻覚じゃないらしい。俺と一緒に親父たちの様子も見ていた奴が、俺の肩を抱いて俺の代わりに喜んだ。見えない俺の尻尾がビンッ! と立ち上がるように、身体の背筋がピンとなる。だが、クンッと鼻に香った匂いに焦り出すわけで。
「いやいやいや、待て、待て。俺、今汗臭くないか!?」」
「臭いな」
「嘘でも臭くないって言えよ!」
あまりの即答に焦って、また変な汗が出始める。不味い。実に不味い。それでも足の長いアラン様はズンズンこちらに来るわけで。
(ギャァアアアアア!! 嬉しいけど! 嬉しいけど、今は……!!)
「トーマ、俺に感謝しろよ。お疲れのところ、わざわざアラン様が来て下さったぞ」
「……」
「トーマ。元気が無いらしいな」
「いえ……っ! そんなことは!」
「無理するな。トーマ、すぐに元気を出せというのは厳しいかもしれない。だが私も、お前に元気がないのは寂しいぞ」
「そ……うですか……」
レオ殿に見下ろされた時とは違う。穏やかな表情で、ああ好きだ! と気持ちで胸が一杯になる。ドキドキと煩く鳴る心臓に、胸が苦しくなりながらコクコクと首を動かす。
「トーマ」
「アラン様っ……」
最後はアラン様が膝を折り。俺と視線を合わせて、微笑んだ。
「相手が悪かったんだ。レオ殿相手では、私も苦戦する。まず身体が無事であっただけでも誇れることだぞ? レオ殿の国で似たような試合をしたら、団員は骨を折ったらしいからな」
「トーマは頑丈だからな」
「そうだぞ、トーマ。アラン様からも褒められて羨ましいなぁ?」
「……~~~~っ! お、俺は頑丈なので!! それに……」
「それに?」
「それに、次があれば勝てなくても少しは恰好良い所をアラン様に絶対見せるんで!」
「ふふっ、その意気だ。期待しているぞ?」
最後に俺の頭を撫でて、アラン様が「じゃあ」と踵を返し城の出入り口の方へと戻って行った。残された俺と親父たちは、「良かったな!」とまた背を叩く。その痛みが、今の出来事は現実だと教える。
(アラン様が、俺が元気がないと寂しいと言ってくれた……! それに期待してるとも……!)
「う……、うぉおおおおっ……!」
ガバッ! と勢いよく立ち上がり、一応親父たちにお礼を言った。
「悔しいが、礼を言うぜ! ありがとうな!!」
「まーな。しっかし、お前は本当に単純な奴だなぁ」
「トーマのことで困ったら、やっぱりアラン様だよな」
その言葉は確かに。
俺は単純で、凹んでいたこともアラン様の一言でむしろやる気に変わるくらいで。
(絶対次は、すぐには負けねぇんだからな!)
レオ殿、覚悟しけよと俺は心の中で誓ったのだった。
アラン様について? あー……、まだ告白する勇気はないから、片思い継続だな。また俺の童貞記録は更新中。
■単純な俺■
いつだって、アラン様に転がされてる。(好きだから仕方ないな)
■DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!■
告白は、まだまだ先になりそうだ。
********
一応シリーズ完結に致しました
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