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エピローグ2
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アリスが正式サービスを開始して、今までのデータは全てリセットされてしまった。
あくまでも仮説でしかなかった尋人の危惧は現実となり、正式サービス開始後はアリス内で尋人と連絡を取ることができなくなっていた。
夏休みが明け、しかし茹だるような暑さはまだ続いている。空には蒼穹が広がり、それがどこまでもどこまで続いている。
そんな晴れやかな空とは対照的に、イコの気分は沈んでいた。
「大丈夫?」
声をかけられて顔を向けると目の前には鏡子が立っていて、周りではクラスメイトが帰り支度を始めていた。どうやらいつの間にか今日の授業はおろか、ホームルームまで終わっていたらしい。
「……うんっ。大丈夫大丈夫! さ、帰ろう、かーちゃん!」
笑顔を作って立ち上がった。
でもその笑顔はいつものイコのものとは違う。親しい付き合いの鏡子にはそれが明確にわかっていた。明らかな空元気だ。
だがそれも仕方がない。イコは別れを経験したばかりだ。失恋とは違う。そしてそれが一時的なものであるともちろん信じているが、寂しさや悲しさがまったくないわけではない。
「本当に?」
鏡子は正面からイコの目を見つめて問いかける。そしてイコは、鏡子の瞳の中に映る自分の表情を見た。
(だめだな、こんなんじゃ)
ぐっと堪えて、もう一度笑顔を向ける。
「うん。大丈夫だよ。ちゃんと、約束したから。絶対に、また会えるから」
鏡子にはなにがあったのかを一部始終話してある。もちろん、再会の約束のことも、全部。
「きっと今頃、尋人は頑張ってるよ。だからイコも泣いてなんていられない。泣かないって決めたんだ」
約束した。自分にできることをすると。
それがなんなのかはわからないし、なにもできることなんてないのかもしれない。世界の壁を越えるなんて、どうしたらいいのかイコには想像もつかない。
でも、最低でも待つことはできる。尋人を信じて待ち続けることはできる。
「尋人は来るよ。絶対に。約束したんだ。それに――」
そう。たとえ約束なんてなくても、二人は絶対にまた出会える。
なぜなら、イコの直感がそう告げているのだ。
そしてその直感は――。
「――イコと尋人が出会ったのは、絶対に運命だからっ!」
あくまでも仮説でしかなかった尋人の危惧は現実となり、正式サービス開始後はアリス内で尋人と連絡を取ることができなくなっていた。
夏休みが明け、しかし茹だるような暑さはまだ続いている。空には蒼穹が広がり、それがどこまでもどこまで続いている。
そんな晴れやかな空とは対照的に、イコの気分は沈んでいた。
「大丈夫?」
声をかけられて顔を向けると目の前には鏡子が立っていて、周りではクラスメイトが帰り支度を始めていた。どうやらいつの間にか今日の授業はおろか、ホームルームまで終わっていたらしい。
「……うんっ。大丈夫大丈夫! さ、帰ろう、かーちゃん!」
笑顔を作って立ち上がった。
でもその笑顔はいつものイコのものとは違う。親しい付き合いの鏡子にはそれが明確にわかっていた。明らかな空元気だ。
だがそれも仕方がない。イコは別れを経験したばかりだ。失恋とは違う。そしてそれが一時的なものであるともちろん信じているが、寂しさや悲しさがまったくないわけではない。
「本当に?」
鏡子は正面からイコの目を見つめて問いかける。そしてイコは、鏡子の瞳の中に映る自分の表情を見た。
(だめだな、こんなんじゃ)
ぐっと堪えて、もう一度笑顔を向ける。
「うん。大丈夫だよ。ちゃんと、約束したから。絶対に、また会えるから」
鏡子にはなにがあったのかを一部始終話してある。もちろん、再会の約束のことも、全部。
「きっと今頃、尋人は頑張ってるよ。だからイコも泣いてなんていられない。泣かないって決めたんだ」
約束した。自分にできることをすると。
それがなんなのかはわからないし、なにもできることなんてないのかもしれない。世界の壁を越えるなんて、どうしたらいいのかイコには想像もつかない。
でも、最低でも待つことはできる。尋人を信じて待ち続けることはできる。
「尋人は来るよ。絶対に。約束したんだ。それに――」
そう。たとえ約束なんてなくても、二人は絶対にまた出会える。
なぜなら、イコの直感がそう告げているのだ。
そしてその直感は――。
「――イコと尋人が出会ったのは、絶対に運命だからっ!」
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