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第4章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と協力して戦利品を吟味する

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 ドロップ品とは、ゲームや小説、漫画ならではのお約束。
 プレイヤーに倒されたモンスターが落とすアイテムだ。
 武具やポーション、素材や金貨などなど。
 プレイヤーの役に立つお宝であることが多い。

 今回ユーゴが『神の目』で見つけたドロップ品も、数多くの武具やポーション、金貨や装備品などのお宝だった。
 異世界とはいえ、現実で魔物がドロップ品を落とすとかなんで? と思わず詳しく知りたいと望んだユーゴは、見るんじゃなかったと後悔する。

 魔物とは魔素の塊だと、導くもの大精霊は言っていた。
 魔素とはすべての生命の源。
 つまり、『人』もまた、魔素で成り立っているということだ。

 通りで、トレントが光太を取り込もうとしていたはずだ。
 たとえ自身の身体を吹き飛ばされても、光太を取り込めば、簡単に魔素を補給できる。
 魔素さえ補給できれば、トレントはいくらでも再生できたのだ。

 そうして、取り込まれた者の成れの果てが--あのドロップ品だ。

「すごい数だな」

「これ全部が?」

 ユーゴの説明を受け、大内先生と木本先生が木のうろを覗き込む。
 光太たち子供組は、そんな先生たちの後ろから、おそるおそる木のうろを覗いている。   
 ユーゴの説明を受けるまでは嬉々としてドロップ品にたかっていた子供組だが、ソレが魔物に取り込まれた者の『遺品』であると知った途端、ちょっと怖くなったらしい。

「ねえ。コレどうするのぉ?」

「どうって、回収しないともったいないんじゃない?」

 カエデの問いに、ユーゴはしれっと応じる。
 武具や装備品だけでなく、ざっと見ただけでも、金貨や銀貨がそれなりにあるのだ。
 無一文で放り出されたユーゴたちにとっては正に天からの恵み。
 回収しない手はない。

「でも、誰か人のモノだったんでしょ。勝手にもらっちゃっていいの?」

 魔物に殺されてしまった人のモノを奪うのは気が引けるのか、コズエが嫌そうに眉をしかめる。
 カエデも、大内先生や木本先生も、すでに持ち主がいないとはいえ、他人のモノを無断で手に入れることに抵抗があるのか。
 どこかためらう素振りをみせている。
 光太とケースケ、金堂の三人もそうだ。
 ドロップ品を興味深そうに眺めてはいるが、近づこうとはしていない。

「うん。ドロップ品は、魔物を倒した人のものにしていいらしいよ」

 ユーゴが望むまま、『知性』は『神の目』で見たモノの情報を伝える。
 物の値打ちや相場、金貨や銀貨の価値。装備品の性能その他。
 いろいろいろいろ教えられた結果。
 ユーゴはドロップ品をすべてを回収し、みんなで分けるのが一番だと判断していた。

 もともとがトレントに取り込まれてしまった人のモノだったとしても、いまは持ち主不在である。
 頂戴しない手はなかった。
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