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第三章 古えの竜達と小さな竜の御印
第十一話 呪いを受ける
巨大土竜タリムから、観察地の建物の再建も問題なく認められた。用件が済み、帰り支度をしているウラノスら一行。別れ際、タリムはウラノスに尋ねた。
「あれから、お前の、呪いは、解けたのか」
その問いかけに、ウラノスは苦笑した。
「解けておりません」
巨大土竜タリムと騎兵団長ウラノスとのそのやりとりに、エイベル副騎兵団長は驚きつつ耳を傾けた。
タリムの声は小声でも洞窟内に響くように大きいため、否が応でも耳に入るのだ。
(呪い? ウラノス騎兵団長は呪いを受けているのか)
ウラノスの回答に、タリムはグルルルルと怒ったような唸り声を上げていた。その声でガタガタと洞窟内が震え、振動で頭上から石がパラパラと落ちてくるくらいであった。
慌ててウラノスは言った。このまま怒らせたままだと洞窟内がタリムの唸り声だけで崩落しそうだったからだ。
「呪いが掛けられたままでも大事ありません。むしろ、私にとっては助かっているのです」
「そんな、はずが、ないだろう」
タリムは唸り声を更に上げて言い続けた。
「シェーラに、私から、呪いを解くように、言おう」
「……もう結構です。呪いが掛けられたまま十五年も経っています。特に問題なく過ごしております」
「そうか、もう十五年経つのか」
ウンベルトは改めてウラノスを見て言った。
「お前は凄いな!! 呪いを受けて十五年経っても平気なんだものな」
「ウンベルト、お前も俺と同じ呪いを受けているのだぞ」
どこか明るい口調のウンベルトに、ウラノスは呆れて言うと、ウンベルト自身も首を傾げながら言っていた。
「別に困っていない。呪いを受けている感じはしない」
その竜の言葉に、ウラノスも頷いていた。
「確かに、困ることはないな」
呪いを受けているというのに、二人してどこかあっけらかんと平然と話している様子に、巨大土竜タリムはため息をついていた。
「それが、普通に、なることが、おかしいのだ!!」
途端、ビリビリビリと空気が震え、地面がぐらぐらと振動した。
その剣幕に驚いたロザンナが震えあがって、エイベルにしがみついている。
ウラノスは耳を押さえた後、タリムに言った。
「いえ、本当に困っていないのです。ですので、ご心配は無用です。ただ、私に呪いを掛けたシェーラには二度と会いたいとは思えませんが」
やはり、黒竜シェーラはウラノス騎兵団長に対して呪いを掛けていたのだ。
そして会話のやりとりからして、十五年前に掛けられた呪いのようだ。
そんな長い間、呪いは効力を発しているのか!?
心配そうに自分を見るエイベルの視線に気が付いたウラノスは「大したことはない。気にする事はない」と言う。その言葉にウンベルトも頷いている。
タリムは二人の様子になおも唸り声を上げる。
当然、エイベルは気になって、ウラノスに尋ねたのだ。
「黒竜シェーラが、ウラノス騎兵団長にいかなる呪いを掛けたのですか」
その問いかけにウラノスとウンベルトは顔を見合わせる。
ウラノスだけではなく、そのパートナーであるウンベルトまで呪いが掛かっているというのだ。
そしておかしなことに、呪いが掛けられたままでも困ることはないと言っている。
だが、二度とシェーラには会いたくないと言うウラノス。
一体、どんな呪いを十五年前に掛けられたのだろう。
「大した呪いではない。気にするな」
ウラノスは話さないことを決めたようだった。
そうと決めると、ウラノスが口を割ることはないだろう。
そこで、尋ねる相手を変え、エイベルは巨大土竜タリムに尋ねた。
「騎兵団長が何の呪いを受けたか、私は気になります。副騎兵団長として、ウラノス騎兵団長のために私が出来ることはありますでしょうか」
「タリムに聞くな」
ウラノスが止めるが、なおもエイベルは聞き続けた。
「どうか、ウラノス騎兵団長がいかなる呪いを受けたのか、お聞かせ下さい」
それにタリムは答えた。
「不能の、呪いだ」
帰り道、エイベルは黙り込み、ずっと考え込んでいた。
タリムは教えてくれた。
十五年前、二十歳のウラノスは、新騎兵団長となり、巨大土竜タリムの元へ伺い挨拶をした。
しかし、黒竜シェーラには挨拶をしなかった。
通常、新騎兵団長は古竜であるタリムにもシェーラにも就任挨拶をするのが習わしだった。
かつてない若さで新騎兵団長に就任したウラノス騎兵団長を妬み、旧騎兵団長らがわざとシェーラに挨拶することを教えなかったのか。エイベルはそんなことを思ったが、ウラノスは呪いを受けることになった背景について話す事は無かった。ただ、現在、前任の騎兵団長の姿が竜騎兵団の拠点に見えないことがその答えである気がしてならない。
そして結果的に、黒竜シェーラの怒りを買い、ウラノスと赤褐色竜ウンベルトは不能の呪いを受けた。
(不能って、じゃあ、ウラノス騎兵団長は……)
アレが立たないという話である。
それも十五年前というと、二十歳からずっとその間、まったく彼はそういうことをしていないのか。
だからウラノスは、騎兵団長就任以来、全く悪い噂を聞かず、若い竜騎兵達の間では清廉潔白の聖人のように思われている。
それはそうだ。
アレが立たないのだから。
エイベルはなんとも言えぬ表情で、ウラノスを見つめた。
彼は言っていた。
『呪いが掛けられたまま十五年も経っています。特に問題なく過ごしております』
『困ることはないな』
十五年経って、もうそこまで達観した意識を持つようになったのか。
はたまた、本当に問題ないと思っているのか。
なんとなしにエイベルは、ウラノスの場合は後者のような気がした。
この雪深い、北方地方の奥地に在る竜騎兵団。若い男ばかりの組織である。
欲を発散するために、人化した竜や同僚や部下達と身体を重ねる者も多い。
若さゆえにどう性欲を発散させればいいのか、迷い惑う者も多い。
性欲というものはなかなか抑え付けられないものだ。若い男なら殊更そうだろう。
ウラノスにとって屈辱的な呪いである一方、性欲が無いことで、彼がより一層仕事に励めたことは確かだろう。実際、ウラノスの果たしている騎兵団長の仕事への評価は非常に高かった。
そしてそれはウンベルトにとっても同じかも知れない。
彼はいつも洞窟内に籠っているという。若い雄の竜特有の発情期にも煩わされることなく、のんびりと過ごしているような雰囲気があった。ウラノスとウンベルトにはガツガツとしたところは全くなく、むしろどこか隠居した爺のような空気感が漂っている。ウラノスに至ってはまだ三十五歳の男盛りの若さであるというのに。
二人して「問題ない」と口々に言っていることに、問題の解決の難しさが感じ取れた(二人ともそのことを、それほど大変な問題とは捉えておらず、むしろ呪いを受け入れている状態であった)。
帰路、エイベルは心の中で一人思っていた。
(もしかして、その昔、ウラノス騎兵団長が私の告白に応えて下さらなかったのは)
そう、彼が不能のせいだからではないかと思ったのだ。
若かりしエイベルが隊長となって、ウラノスにその想いを告白した時、ウラノスはこう言ったのだ。
『お前の想いには応えられない』
それは、ウラノスが愛し合える身体を持っていないから。だから、彼の方から身を引いてくれたのかも知れない。
いや、恐らく呪いによって性欲が全く無い彼にとって、誰かと愛し合えることなど、考えられないようになっていたのかも知れない。
(もしそうなら、私にもまだ機会があるのかも知れない)
そう、呪いさえ解ければ、愛する男は自分の手の届く場所にやって来るかも知れないのだ。
それは長年に渡り、燻り続ける想いを抱えていたエイベルにとって、差し込んだ一筋の光明のように思えた。
「あれから、お前の、呪いは、解けたのか」
その問いかけに、ウラノスは苦笑した。
「解けておりません」
巨大土竜タリムと騎兵団長ウラノスとのそのやりとりに、エイベル副騎兵団長は驚きつつ耳を傾けた。
タリムの声は小声でも洞窟内に響くように大きいため、否が応でも耳に入るのだ。
(呪い? ウラノス騎兵団長は呪いを受けているのか)
ウラノスの回答に、タリムはグルルルルと怒ったような唸り声を上げていた。その声でガタガタと洞窟内が震え、振動で頭上から石がパラパラと落ちてくるくらいであった。
慌ててウラノスは言った。このまま怒らせたままだと洞窟内がタリムの唸り声だけで崩落しそうだったからだ。
「呪いが掛けられたままでも大事ありません。むしろ、私にとっては助かっているのです」
「そんな、はずが、ないだろう」
タリムは唸り声を更に上げて言い続けた。
「シェーラに、私から、呪いを解くように、言おう」
「……もう結構です。呪いが掛けられたまま十五年も経っています。特に問題なく過ごしております」
「そうか、もう十五年経つのか」
ウンベルトは改めてウラノスを見て言った。
「お前は凄いな!! 呪いを受けて十五年経っても平気なんだものな」
「ウンベルト、お前も俺と同じ呪いを受けているのだぞ」
どこか明るい口調のウンベルトに、ウラノスは呆れて言うと、ウンベルト自身も首を傾げながら言っていた。
「別に困っていない。呪いを受けている感じはしない」
その竜の言葉に、ウラノスも頷いていた。
「確かに、困ることはないな」
呪いを受けているというのに、二人してどこかあっけらかんと平然と話している様子に、巨大土竜タリムはため息をついていた。
「それが、普通に、なることが、おかしいのだ!!」
途端、ビリビリビリと空気が震え、地面がぐらぐらと振動した。
その剣幕に驚いたロザンナが震えあがって、エイベルにしがみついている。
ウラノスは耳を押さえた後、タリムに言った。
「いえ、本当に困っていないのです。ですので、ご心配は無用です。ただ、私に呪いを掛けたシェーラには二度と会いたいとは思えませんが」
やはり、黒竜シェーラはウラノス騎兵団長に対して呪いを掛けていたのだ。
そして会話のやりとりからして、十五年前に掛けられた呪いのようだ。
そんな長い間、呪いは効力を発しているのか!?
心配そうに自分を見るエイベルの視線に気が付いたウラノスは「大したことはない。気にする事はない」と言う。その言葉にウンベルトも頷いている。
タリムは二人の様子になおも唸り声を上げる。
当然、エイベルは気になって、ウラノスに尋ねたのだ。
「黒竜シェーラが、ウラノス騎兵団長にいかなる呪いを掛けたのですか」
その問いかけにウラノスとウンベルトは顔を見合わせる。
ウラノスだけではなく、そのパートナーであるウンベルトまで呪いが掛かっているというのだ。
そしておかしなことに、呪いが掛けられたままでも困ることはないと言っている。
だが、二度とシェーラには会いたくないと言うウラノス。
一体、どんな呪いを十五年前に掛けられたのだろう。
「大した呪いではない。気にするな」
ウラノスは話さないことを決めたようだった。
そうと決めると、ウラノスが口を割ることはないだろう。
そこで、尋ねる相手を変え、エイベルは巨大土竜タリムに尋ねた。
「騎兵団長が何の呪いを受けたか、私は気になります。副騎兵団長として、ウラノス騎兵団長のために私が出来ることはありますでしょうか」
「タリムに聞くな」
ウラノスが止めるが、なおもエイベルは聞き続けた。
「どうか、ウラノス騎兵団長がいかなる呪いを受けたのか、お聞かせ下さい」
それにタリムは答えた。
「不能の、呪いだ」
帰り道、エイベルは黙り込み、ずっと考え込んでいた。
タリムは教えてくれた。
十五年前、二十歳のウラノスは、新騎兵団長となり、巨大土竜タリムの元へ伺い挨拶をした。
しかし、黒竜シェーラには挨拶をしなかった。
通常、新騎兵団長は古竜であるタリムにもシェーラにも就任挨拶をするのが習わしだった。
かつてない若さで新騎兵団長に就任したウラノス騎兵団長を妬み、旧騎兵団長らがわざとシェーラに挨拶することを教えなかったのか。エイベルはそんなことを思ったが、ウラノスは呪いを受けることになった背景について話す事は無かった。ただ、現在、前任の騎兵団長の姿が竜騎兵団の拠点に見えないことがその答えである気がしてならない。
そして結果的に、黒竜シェーラの怒りを買い、ウラノスと赤褐色竜ウンベルトは不能の呪いを受けた。
(不能って、じゃあ、ウラノス騎兵団長は……)
アレが立たないという話である。
それも十五年前というと、二十歳からずっとその間、まったく彼はそういうことをしていないのか。
だからウラノスは、騎兵団長就任以来、全く悪い噂を聞かず、若い竜騎兵達の間では清廉潔白の聖人のように思われている。
それはそうだ。
アレが立たないのだから。
エイベルはなんとも言えぬ表情で、ウラノスを見つめた。
彼は言っていた。
『呪いが掛けられたまま十五年も経っています。特に問題なく過ごしております』
『困ることはないな』
十五年経って、もうそこまで達観した意識を持つようになったのか。
はたまた、本当に問題ないと思っているのか。
なんとなしにエイベルは、ウラノスの場合は後者のような気がした。
この雪深い、北方地方の奥地に在る竜騎兵団。若い男ばかりの組織である。
欲を発散するために、人化した竜や同僚や部下達と身体を重ねる者も多い。
若さゆえにどう性欲を発散させればいいのか、迷い惑う者も多い。
性欲というものはなかなか抑え付けられないものだ。若い男なら殊更そうだろう。
ウラノスにとって屈辱的な呪いである一方、性欲が無いことで、彼がより一層仕事に励めたことは確かだろう。実際、ウラノスの果たしている騎兵団長の仕事への評価は非常に高かった。
そしてそれはウンベルトにとっても同じかも知れない。
彼はいつも洞窟内に籠っているという。若い雄の竜特有の発情期にも煩わされることなく、のんびりと過ごしているような雰囲気があった。ウラノスとウンベルトにはガツガツとしたところは全くなく、むしろどこか隠居した爺のような空気感が漂っている。ウラノスに至ってはまだ三十五歳の男盛りの若さであるというのに。
二人して「問題ない」と口々に言っていることに、問題の解決の難しさが感じ取れた(二人ともそのことを、それほど大変な問題とは捉えておらず、むしろ呪いを受け入れている状態であった)。
帰路、エイベルは心の中で一人思っていた。
(もしかして、その昔、ウラノス騎兵団長が私の告白に応えて下さらなかったのは)
そう、彼が不能のせいだからではないかと思ったのだ。
若かりしエイベルが隊長となって、ウラノスにその想いを告白した時、ウラノスはこう言ったのだ。
『お前の想いには応えられない』
それは、ウラノスが愛し合える身体を持っていないから。だから、彼の方から身を引いてくれたのかも知れない。
いや、恐らく呪いによって性欲が全く無い彼にとって、誰かと愛し合えることなど、考えられないようになっていたのかも知れない。
(もしそうなら、私にもまだ機会があるのかも知れない)
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