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第十四章 招かれざる客人
第二十一話 下僕(上)
ルティ魔術師の言葉に息を飲んだのは、三橋友親だけでなく、隣に座っていたカルフィーやケイオスも一緒だった。カルフィーは青い顔をしており、ケイオスは顔を強張らせていた。
「俺を、元の世界へ戻せるのか?」
友親はそう言って、もう一度ルティ魔術師に尋ねると、ルティ魔術師は頷いた。
「はい。私は“召喚”魔法の研究を続けてきた魔術師です。実際、竜騎兵団も“召喚”して見せたでしょう。当然、逆も出来ます。ただ、次元の壁を越えるためには膨大な魔力が必要です。けれど貴方の持つ“魔素”を使えば、それは可能でしょう」
そうだった。
あの時、ルティ魔術師から『私が別の次元に留まっている対象物を、“召喚”します』という説明を聞いた時、思いついてしかるべきことだった。“召喚”できるなら、逆もできる。
この世界から、別の世界へ“転移”させることもできるはずだ。
三橋友親は、ぎゅっと目を瞑り、拳を握り締めている。
やがて、彼は目を開き、ぽつりと言った。
「……………………いや、それはいい。もう元の世界には戻れないから」
「戻して差し上げると言っているのですよ。戻れないことはないんです」
「戻れないんだ」
どこか疲れたような友親のその声に、ルティ魔術師は理解出来ない様子だった。
彼は続けて、言った。
「…………では、アレドリア魔術師ギルドに協力して頂けないのですか」
「協力はしない」
その言葉に、ケイオスもカルフィーも見るからに安堵した様子である。ルティ魔術師は必死に続けた。
「どうしてでしょうか。貴方にとって、悪い話ではない。元の世界に戻れる。サトー王国のサトーも倒せるのですよ」
「サトーは倒したい。でもお前は、信用ならない」
友親の言葉に、カルフィーは頷く。
「そうだ。こんな風に閉じ込めて、信用できるか!!」
「…………なら、貴方が協力して下さらないなら、あの紫竜に協力してもらうしかありません」
その言葉に、友親はハッとしたように顔を上げた。
「竜騎兵団の竜ですから、正式に協力要請をかけましょう。アレドリア国王、アレドリア魔術師ギルドの連名で、文書を出せば、断ることは難しいでしょう。それにあの竜はおかしいのですよ。体内の魔力を使わず、魔法が使えている。それはまるで」
ルティ魔術師の言葉に友親は愕然とする。
「まるで空気中の“魔素”をあの竜も使っているように思えます」
あれほど知られるなと言ったのに。
一番知られちゃいけない相手に、あいつは。
あいつは。
友親は立ち上がると、足を引きずり歩き、そのままルティ魔術師のそばに近寄る。
突然の彼の行動に、カルフィーもケイオスもすぐに反応できなかった。
それはルティ魔術師も一緒だった。
三橋友親。
足が不自由な小柄な男。常に護衛をそばから離さない、非力な男。
その事実に油断していたのだろう。
友親が身をかがめ、椅子に座るルティ魔術師の首筋に牙を突き立てるのを、カルフィーもケイオスもただ呆然と見守るしかなかった。
「俺を、元の世界へ戻せるのか?」
友親はそう言って、もう一度ルティ魔術師に尋ねると、ルティ魔術師は頷いた。
「はい。私は“召喚”魔法の研究を続けてきた魔術師です。実際、竜騎兵団も“召喚”して見せたでしょう。当然、逆も出来ます。ただ、次元の壁を越えるためには膨大な魔力が必要です。けれど貴方の持つ“魔素”を使えば、それは可能でしょう」
そうだった。
あの時、ルティ魔術師から『私が別の次元に留まっている対象物を、“召喚”します』という説明を聞いた時、思いついてしかるべきことだった。“召喚”できるなら、逆もできる。
この世界から、別の世界へ“転移”させることもできるはずだ。
三橋友親は、ぎゅっと目を瞑り、拳を握り締めている。
やがて、彼は目を開き、ぽつりと言った。
「……………………いや、それはいい。もう元の世界には戻れないから」
「戻して差し上げると言っているのですよ。戻れないことはないんです」
「戻れないんだ」
どこか疲れたような友親のその声に、ルティ魔術師は理解出来ない様子だった。
彼は続けて、言った。
「…………では、アレドリア魔術師ギルドに協力して頂けないのですか」
「協力はしない」
その言葉に、ケイオスもカルフィーも見るからに安堵した様子である。ルティ魔術師は必死に続けた。
「どうしてでしょうか。貴方にとって、悪い話ではない。元の世界に戻れる。サトー王国のサトーも倒せるのですよ」
「サトーは倒したい。でもお前は、信用ならない」
友親の言葉に、カルフィーは頷く。
「そうだ。こんな風に閉じ込めて、信用できるか!!」
「…………なら、貴方が協力して下さらないなら、あの紫竜に協力してもらうしかありません」
その言葉に、友親はハッとしたように顔を上げた。
「竜騎兵団の竜ですから、正式に協力要請をかけましょう。アレドリア国王、アレドリア魔術師ギルドの連名で、文書を出せば、断ることは難しいでしょう。それにあの竜はおかしいのですよ。体内の魔力を使わず、魔法が使えている。それはまるで」
ルティ魔術師の言葉に友親は愕然とする。
「まるで空気中の“魔素”をあの竜も使っているように思えます」
あれほど知られるなと言ったのに。
一番知られちゃいけない相手に、あいつは。
あいつは。
友親は立ち上がると、足を引きずり歩き、そのままルティ魔術師のそばに近寄る。
突然の彼の行動に、カルフィーもケイオスもすぐに反応できなかった。
それはルティ魔術師も一緒だった。
三橋友親。
足が不自由な小柄な男。常に護衛をそばから離さない、非力な男。
その事実に油断していたのだろう。
友親が身をかがめ、椅子に座るルティ魔術師の首筋に牙を突き立てるのを、カルフィーもケイオスもただ呆然と見守るしかなかった。
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