転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

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外伝 はじまりの物語  ≪短編≫

対価(上)

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 魔術師のカルフィーは、三橋友親にこの異世界のことを教えてくれただけではなく、アルダンテ王国の王城が落ちる時には友親達を危険な場所から連れ出してくれた。それに、親友であった沢谷雪也達の行方を一緒に探してくれると言ったり、元の世界へ戻る為の方法も見つけてくれると言う。まこと友親にとって親切な男だった。
 
「なんでカルフィーは、そんなに俺のために色々とよくしてくれるんだ」

 あまりにも友親に対して親切なカルフィーに、友親が率直に疑問をぶつけると、カルフィーは少しだけ耳を赤く染めて言った。

「トモチカが好きだからだ」

 それは、カルフィーにとっては“愛の告白”であったのだが、友親にとっては違っていた。

「俺もカルフィーのことは好きだぞ」

 二人のやりとりを聞いていたケイオスは、口を押えて笑いを堪えようとしている。その大きな体の肩が震えている。
 カルフィーはキッとケイオスを睨みつけて叫んだ。

「笑うな、ケイオス。お前、失礼だぞ!!」

「いや、すまない」

 三橋友親の恋愛対象は、女性に限るらしい。
 実際、道ですれ違う美しい女性を見ると、友親は嬉しそうに頬を上気させて「綺麗なお姉さんだったな!!」と言うのだ。
 カルフィーは苦虫を噛んだような顔をする。

 一緒にいれば、いつか自分の想いが伝わるとカルフィーは考えていた。まだ十五歳の友親は子供だ。これからゆっくりと自分の伴侶にすべく育てていけばいいと、気長な気持ちでいたのだが、今のやりとりで、(もしかしたら、このまま一緒にいても、トモチカは永遠に自分の気持ちに気が付くことはないんじゃないのか)という疑問がムクムクと頭をもたげてきた。

 だから、少し考え込んだ後、カルフィーは友親に言った。

「トモチカ。もしお前が、少しでも私に感謝の気持ちを持っているのなら、お前の血を吸わせてくれないか」

 その台詞に友親は驚いて目を見開いた。

「血? 俺の血を吸うのか!?」

「私は吸血鬼の混じり者だから、吸血するんだ」

 今まで、カルフィーやケイオスが何の混じり者であるのか知らなかった友親は、初めてそれを知って驚いていた。ケイオスに視線を向けると、ケイオスは「俺は吸血鬼の混じり者じゃない」と言って否定した。
 この異世界の西方の地域では、魔族と人間が混じり合った者達が存在するという話は聞いていたし、冒険者のカルフィーやケイオス達がその混じり者であることも知っていた。
 でも、これまで友親は、二人が何の混じり者であるのかは知らなかった。

「俺の血を吸ったら、俺も吸血鬼になっちゃうんじゃないのか!?」

 少し強張った顔でそう言う友親に、カルフィーは首を振る。

「血を吸うだけじゃ私の仲間にはならない。少し、ほんの少しだけだ。友親の血を味見したいだけだ」

「血を吸われたら、俺、干からびて死んじゃうんじゃ……」

 友親が自分の首を押さえて、恐々とした表情でカルフィーに言うと、カルフィーは笑った。

「そんなにたくさん飲むことはない。言っただろう。少し味見するだけだ。異世界人の血はまた、格別だという。大量の魔素を帯びる異世界人は、血の中にも魔力が満ちているという」

 それを思うと、カルフィーは強い飢えを感じた。
 友親のあの細い首に牙を突き立て、啜る赤い血はどれほど甘く、素晴らしいものだろう。
 友親とカルフィーのやり取りを、ケイオスは腕を組んで黙って見守っている。

 友親はもう一度、カルフィーに尋ねた。

「本当に、血を吸われたからと言って俺が干からびたり、死んじゃったり、吸血鬼になることはない?」

「ない」

 カルフィーは断言する。

「トモチカ、私はお前を守っている。お前の望みだって叶えようとしている。いつだって私はお前の味方だろう?」

「そう……だけど」

「私とケイオスがこれから先もお前を守り続ける。ユキだって一緒に探してやる。だからトモチカ、私に血を

 カルフィーの強い言葉に、友親は一瞬身を震わせた。

「………………わかったよ」

 実際、友親は、カルフィーとケイオスの二人に世話になるばかりで、何も自分が出来ない、していないことに、彼ら二人への負い目があった。魔道具のデザインをしているだけでは、この二人の優秀な元冒険者の男達に対する対価としては、あまりにも不足していた。
 自分の血が欲しいというのなら、カルフィーに与えるしかない。

 友親はシャツの首元のボタンを外す。そしてカルフィーの方へ首筋をさらけ出した。
 無意識にカルフィーは唾を飲み込んでいた。
 陽に焼けていない、白い、どこか柔らかそうな少年の首筋。
 そこにカルフィーは唇を当て、牙を突き立てたのだった。
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