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外伝 ある護衛騎士の災難 第一章
第十二話 呪いからの解放のために(下)
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一方で、アンリ王子の父王や母妃も、この状況にただ手をこまねいていたわけではなかった。
彼らは、アンリ王子の呪いを解くことができる高名な魔術師を外国から呼ぶことを決めていた。
そしてそのことを、私はアンリ王子のお妃のアビゲイル妃から直々に教えられた。
最近、日中の間、アンリ王子は私がおそばについていなくても、少しずつ騒ぐことは無くなっていた(夜はそばにいなければうるさい)。
それで、アビゲイル妃から呼び出しを受けた時、私は一人で彼女の元を訪ねることが出来た。
アビゲイル妃は、長い金の巻き毛の髪をした美しい女性だった。
アンリ王子も優美な麗しい王子であったから、二人はとてもお似合いだと誰もが口にしていた。
アビゲイル妃の前で直立不動で立つ私に、彼女は言った。
「ハヴリエル卿、毎日ご苦労様です」
私は黙って頭を下げる。
私に与えられている特別任務のことは、当然、アビゲイル妃にも報告されている。
彼女は艶然と微笑みながらこう言った。
「卿も、殿下の呪いが早く解けて欲しいと待ちわびる気持ちでしょう。このまま呪いが解けないのではないかと心配もしていたことでしょう」
「はい」
「ですが、良い報せを受けましたので、卿にも教えておこうと思っております。卿にも心の準備が必要でしょうから」
「はい」
「明後日、アレドリア王国から黒魔術に詳しい魔術師が訪れることになっています。アンリ王子殿下を見舞って頂き、そこで呪いを解いてもらう予定です」
驚いた。
もはや、王族の皆さま方はアンリ王子の呪いのことは諦めたかと思っていたのだ。
きちんと呪いを解くことを考えていた。
…………考えてみれば当然か。一応、腐っても二番目の王子殿下なのだ。
「それは喜ばしいことです」
アビゲイル妃は、朱を刷いた唇を釣り上げて笑った。
「そうでしょう? 本当にハヴリエル卿、ご苦労様でした。アンリ王子殿下の呪いが解けると、貴方も大変なことになるでしょう。ですからこちらは」
彼女が合図をすると、近くに控えていた侍従の一人が、テーブルの上にジャラリと金属の触れ合う音を立てる布袋を置いた。
硬貨がギッシリと入っているような袋であった。
「私からの謝礼です。卿もこの後の身の振り方はご理解しているでしょう。殿下の呪いが解けたのなら、きっと彼は」
きっと彼は、今までの態度から豹変して
お前を憎むようになる。
そこまで彼女は口にしなかったが、私もそれを察していた。
随分と前から、そのことは覚悟していた。
だから、彼女が差し出した、謝礼だという金貨のギッシリと入った袋を、私は有難く受け取ることにした。
近衛騎士を辞めた後の、旅に出る資金に加えよう。
この王国を南下し、更に大陸を下に下に突き進めば、青い海に浮かぶ美しい小さな島が幾つもあるという。
近衛騎士を辞めた後、私はブラブラと旅をしながらもそこを目指すことを決めていた。
その南の島で、私はゆっくりと心の疲れを癒して、しばらくの間、休むつもりだった。
それから先の自分の身の振り方は考えていない。
彼らは、アンリ王子の呪いを解くことができる高名な魔術師を外国から呼ぶことを決めていた。
そしてそのことを、私はアンリ王子のお妃のアビゲイル妃から直々に教えられた。
最近、日中の間、アンリ王子は私がおそばについていなくても、少しずつ騒ぐことは無くなっていた(夜はそばにいなければうるさい)。
それで、アビゲイル妃から呼び出しを受けた時、私は一人で彼女の元を訪ねることが出来た。
アビゲイル妃は、長い金の巻き毛の髪をした美しい女性だった。
アンリ王子も優美な麗しい王子であったから、二人はとてもお似合いだと誰もが口にしていた。
アビゲイル妃の前で直立不動で立つ私に、彼女は言った。
「ハヴリエル卿、毎日ご苦労様です」
私は黙って頭を下げる。
私に与えられている特別任務のことは、当然、アビゲイル妃にも報告されている。
彼女は艶然と微笑みながらこう言った。
「卿も、殿下の呪いが早く解けて欲しいと待ちわびる気持ちでしょう。このまま呪いが解けないのではないかと心配もしていたことでしょう」
「はい」
「ですが、良い報せを受けましたので、卿にも教えておこうと思っております。卿にも心の準備が必要でしょうから」
「はい」
「明後日、アレドリア王国から黒魔術に詳しい魔術師が訪れることになっています。アンリ王子殿下を見舞って頂き、そこで呪いを解いてもらう予定です」
驚いた。
もはや、王族の皆さま方はアンリ王子の呪いのことは諦めたかと思っていたのだ。
きちんと呪いを解くことを考えていた。
…………考えてみれば当然か。一応、腐っても二番目の王子殿下なのだ。
「それは喜ばしいことです」
アビゲイル妃は、朱を刷いた唇を釣り上げて笑った。
「そうでしょう? 本当にハヴリエル卿、ご苦労様でした。アンリ王子殿下の呪いが解けると、貴方も大変なことになるでしょう。ですからこちらは」
彼女が合図をすると、近くに控えていた侍従の一人が、テーブルの上にジャラリと金属の触れ合う音を立てる布袋を置いた。
硬貨がギッシリと入っているような袋であった。
「私からの謝礼です。卿もこの後の身の振り方はご理解しているでしょう。殿下の呪いが解けたのなら、きっと彼は」
きっと彼は、今までの態度から豹変して
お前を憎むようになる。
そこまで彼女は口にしなかったが、私もそれを察していた。
随分と前から、そのことは覚悟していた。
だから、彼女が差し出した、謝礼だという金貨のギッシリと入った袋を、私は有難く受け取ることにした。
近衛騎士を辞めた後の、旅に出る資金に加えよう。
この王国を南下し、更に大陸を下に下に突き進めば、青い海に浮かぶ美しい小さな島が幾つもあるという。
近衛騎士を辞めた後、私はブラブラと旅をしながらもそこを目指すことを決めていた。
その南の島で、私はゆっくりと心の疲れを癒して、しばらくの間、休むつもりだった。
それから先の自分の身の振り方は考えていない。
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