412 / 711
外伝 ある護衛騎士の災難 第一章
第十五話 追手の気配
私が王国を出立して、二週間が過ぎようとした。
すでに左足首の骨折は、歩くのにも不自由はない程度まで治っていた。
旅はいい。
アンリ王子と別れた寂しさも、毎日の新鮮な出会いや今まで目にしたことのない美しい景色を見ることによって、少しずつ癒されていく気がしていた。
時折、青い空の向こうで、アンリ王子殿下はお元気でいらっしゃるだろうかと思うこともあった。
きっとお元気だろうと思う。
私のことなど忘れて、アビゲイル妃殿下と仲良くお過ごしだろうか。
それとも、前と同じように美しい侍従達を周りに侍らせてお楽しみなのだろうか。
少しばかりそのことを思うと胸が痛んだが、私はそれを我慢した。
順調に旅は続いている。
だが最近、何者かに後をつけられている気がする。
まさかとは思うが、アンリ王子が、呪いが解けた後、どうしても私のことが許せなくて、私を殺すための刺客を放ったのかもしれないと考えた。
というのも、私の後をつけている者達からは手練れの気配が漂っていた。
先行するように進む私とほどよい距離を保ちながら、彼らは態勢を整え、機を窺っていた。
きっと道中のどこかで、一気に襲い掛かってくるに違いない。
私との過去は黒歴史としてさっさと忘却して、王宮を離れた私のことは放っておいてくれるかと思っていた。
追手をかけさせるまで、殿下はねちっこい男ではないと思っていた。
だが、それだけ私に対する怒りが根深いのかも知れない。
私はいつでも剣を抜けるようにしながらも、先を急ぎ馬を走らせた。
簡単にやられるつもりはなかった。
その後、半年間に渡って、私は王国から遣わされた近衛騎士達から逃げ続け、時に激しく剣を交えた。
近衛騎士達は「ハヴリエル卿、お前は誤解している、国へ戻れ」と剣を合わせながらも説得してくる。
何を誤解しているのか全く分からなかったが、捕まるとマズいことになるのは分かっている。
アンリ王子は私を捕らえて国へ連れ戻し、わざわざ引き立てて目の前で断じようとしているのか。
そこまで彼から憎まれてしまっていることに、私の胸がひどく痛んだ。
悲しそうな表情をする私に、近衛騎士達は「何故、卿は分かってくれないのだ!!」と怒っていたが、今日もまた、彼らの手から逃げ出したのだった。
すでに左足首の骨折は、歩くのにも不自由はない程度まで治っていた。
旅はいい。
アンリ王子と別れた寂しさも、毎日の新鮮な出会いや今まで目にしたことのない美しい景色を見ることによって、少しずつ癒されていく気がしていた。
時折、青い空の向こうで、アンリ王子殿下はお元気でいらっしゃるだろうかと思うこともあった。
きっとお元気だろうと思う。
私のことなど忘れて、アビゲイル妃殿下と仲良くお過ごしだろうか。
それとも、前と同じように美しい侍従達を周りに侍らせてお楽しみなのだろうか。
少しばかりそのことを思うと胸が痛んだが、私はそれを我慢した。
順調に旅は続いている。
だが最近、何者かに後をつけられている気がする。
まさかとは思うが、アンリ王子が、呪いが解けた後、どうしても私のことが許せなくて、私を殺すための刺客を放ったのかもしれないと考えた。
というのも、私の後をつけている者達からは手練れの気配が漂っていた。
先行するように進む私とほどよい距離を保ちながら、彼らは態勢を整え、機を窺っていた。
きっと道中のどこかで、一気に襲い掛かってくるに違いない。
私との過去は黒歴史としてさっさと忘却して、王宮を離れた私のことは放っておいてくれるかと思っていた。
追手をかけさせるまで、殿下はねちっこい男ではないと思っていた。
だが、それだけ私に対する怒りが根深いのかも知れない。
私はいつでも剣を抜けるようにしながらも、先を急ぎ馬を走らせた。
簡単にやられるつもりはなかった。
その後、半年間に渡って、私は王国から遣わされた近衛騎士達から逃げ続け、時に激しく剣を交えた。
近衛騎士達は「ハヴリエル卿、お前は誤解している、国へ戻れ」と剣を合わせながらも説得してくる。
何を誤解しているのか全く分からなかったが、捕まるとマズいことになるのは分かっている。
アンリ王子は私を捕らえて国へ連れ戻し、わざわざ引き立てて目の前で断じようとしているのか。
そこまで彼から憎まれてしまっていることに、私の胸がひどく痛んだ。
悲しそうな表情をする私に、近衛騎士達は「何故、卿は分かってくれないのだ!!」と怒っていたが、今日もまた、彼らの手から逃げ出したのだった。
あなたにおすすめの小説
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
「大人扱いしていい?」〜純情当主、執務室で策士な従兄の『相性確認』にハメられる〜
中山(ほ)
BL
「ルイン、少し口開けてみて」
仕事終わりの静かな執務室。
差し入れの食事と、ポーションの瓶。
信頼していた従兄のトロンに誘われるまま、
ルインは「大人の相性確認」を始めることになる。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。