415 / 711
外伝 ある護衛騎士の災難 第二章
第三話 解けない呪い ~sideアンリ王子
「お前が私を好いていることなど、とうに知っておる」
私の言葉に、ハヴリエルは泣き笑いのような表情を見せた。
「そうですね……。殿下はお見通しでしたか」
「そうだ」
今度は私が彼の頬に手をやり、その顔中に口付けの雨を降らせた。
「痩せてしまったな。また元のように戻らなければならないぞ。前の、健康で逞しいお前が私は好きだ」
ハヴリエルはおかしそうに笑った。
「私は殿下が今までお好きだった侍従達のように華奢ではありません」
「お前の鍛えられた身体は素晴らしいではないか」
「あそこまで綺麗な顔もしていません」
「私の好きな顔だ」
「抱きやすい体とも思っておりません」
「なんだ、ハヴリエル。お前は私がこれまで付き合っていた侍従達に嫉妬しているのか」
その私の言葉に、少し遅れてハヴリエルは頷いた。
「そうなのかも知れません」
「嫉妬して王宮を出ていったのか。意外とお前は悋気が強いのだな。だが、私にとってお前が唯一だ。もう私のそばを離れるな」
侍従達に嫉妬して王宮を飛び出すなど、本当に愛い奴だと思い、私はハヴリエルの体をぎゅっと抱きしめた。
その可愛さに免じて、王宮を飛び出したことを許してやろうと思った。
「お前を愛しているのだ」
「私もです。旅に出てから、空を見ながらも……想うのは殿下のことだけでした」
彼は真剣な表情で、私の顔を見つめ、言った。
「殿下のことが、片時も忘れられませんでした」
あまりにもハヴリエルが可愛いことを言うので、私は止まらなくなっていた。
「ハヴリエル、愛い奴め」
チュッチュッと音を立ててハヴリエルの顔に口づける。
「……」
愛い奴だと言われることに関しては、どうしても慣れないような、戸惑っているような様子をハヴリエルは見せる。
私はそのままハヴリエルの近衛騎士の制服の前ボタンを外しにかかった。
そのことに彼はギョッとしていた。
「殿下、まさか」
「よいではないか」
「ここは応接室です。扉の外には護衛の騎士が待機しているはずです」
「問題ない」
ボタンをぷつぷつと次々と外していく。その素早さにもハヴリエルは唖然としていた。
「で……殿下」
前のボタンを全て外し、下着をまくり上げ、その鍛えられた胸元に唇を寄せた。
彼は困ったような顔をしながらも、久方ぶりの交歓にやがて熱く息を吐き始める。
どこからか取り出したオイルを手にした私に、彼は苦笑していた。
ハヴリエルはゆっくりと下着ごとズボンを脱ぐ。その秘められた場所にオイルを満たすと、私は彼を慎重に抱きにかかった。
愛しいハヴリエルには決して痛みを与えたくなかった。
ただ喜びだけを与えたかった。
後ろから貫く。その行為に慣れていない彼は、後孔を満たされるというその充溢感に苦しそうに眉を寄せる。
「きついか」
それで動きを止めようとする私に、彼は首を振り、切なげな表情で言った。
「止めないで下さい。殿下。……そのまま私を抱いて下さい」
それでグンとハヴリエルの中に収めていたものが大きさを増した。あまりにも健気で可愛いことを言うので、自分の息子が大きく成長してしまったようだ。
ハヴリエルはギョッとして後ろを振り返り、私の顔を見つめた。怒ったような口調で言う。
「殿下、あまり大きくしないで下さい!!」
「そなたが悪い」
そう、ハヴリエルが悪い。
可愛くて健気で、愛しい目の前のこの男が全て悪いのだ。
この私に、解けることのない呪いを掛けた彼が。
振り向いたハヴリエルに、私は深々と口づけて、文句を言うのを止めさせた。
それから
私は妃のアビゲイルと離縁した。
アビゲイルは、近衛騎士のハヴリエルにずっと恋したままの私に驚き呆れ、最後には諦めた。
彼女は何一つ文句を言わず、私と別れてくれた。
そのことにはアビゲイルに感謝している。
(しかし、私と別れて半年もしない内にアビゲイルが再婚したことには驚いた。彼女が結婚した相手は、アビゲイルにずっと昔から想いを寄せていた貴族の男だという話だ)
そして父や母には反対されたが、私はハヴリエルを伴侶として迎えることを決めた。
彼は私の求婚を受け入れてくれた。
婚姻を結んだ後も、時折、ハヴリエルは私の“呪い”がいつか解けてしまうのではないか、そうなれば、今のハヴリエルに対する私の想いは消え去ってしまうのではないかと恐れる様子を見せた。彼と過ごす毎日があまりにも幸せなので、それが杞憂であることを私は知っていた。彼を好きだという想いは尽きることがない。その尽きることがない想いが“呪い”なのだから。
彼がもう、そんな不安を言わぬようになるまで、その耳元で甘く愛を囁き続けるのだった。
私の言葉に、ハヴリエルは泣き笑いのような表情を見せた。
「そうですね……。殿下はお見通しでしたか」
「そうだ」
今度は私が彼の頬に手をやり、その顔中に口付けの雨を降らせた。
「痩せてしまったな。また元のように戻らなければならないぞ。前の、健康で逞しいお前が私は好きだ」
ハヴリエルはおかしそうに笑った。
「私は殿下が今までお好きだった侍従達のように華奢ではありません」
「お前の鍛えられた身体は素晴らしいではないか」
「あそこまで綺麗な顔もしていません」
「私の好きな顔だ」
「抱きやすい体とも思っておりません」
「なんだ、ハヴリエル。お前は私がこれまで付き合っていた侍従達に嫉妬しているのか」
その私の言葉に、少し遅れてハヴリエルは頷いた。
「そうなのかも知れません」
「嫉妬して王宮を出ていったのか。意外とお前は悋気が強いのだな。だが、私にとってお前が唯一だ。もう私のそばを離れるな」
侍従達に嫉妬して王宮を飛び出すなど、本当に愛い奴だと思い、私はハヴリエルの体をぎゅっと抱きしめた。
その可愛さに免じて、王宮を飛び出したことを許してやろうと思った。
「お前を愛しているのだ」
「私もです。旅に出てから、空を見ながらも……想うのは殿下のことだけでした」
彼は真剣な表情で、私の顔を見つめ、言った。
「殿下のことが、片時も忘れられませんでした」
あまりにもハヴリエルが可愛いことを言うので、私は止まらなくなっていた。
「ハヴリエル、愛い奴め」
チュッチュッと音を立ててハヴリエルの顔に口づける。
「……」
愛い奴だと言われることに関しては、どうしても慣れないような、戸惑っているような様子をハヴリエルは見せる。
私はそのままハヴリエルの近衛騎士の制服の前ボタンを外しにかかった。
そのことに彼はギョッとしていた。
「殿下、まさか」
「よいではないか」
「ここは応接室です。扉の外には護衛の騎士が待機しているはずです」
「問題ない」
ボタンをぷつぷつと次々と外していく。その素早さにもハヴリエルは唖然としていた。
「で……殿下」
前のボタンを全て外し、下着をまくり上げ、その鍛えられた胸元に唇を寄せた。
彼は困ったような顔をしながらも、久方ぶりの交歓にやがて熱く息を吐き始める。
どこからか取り出したオイルを手にした私に、彼は苦笑していた。
ハヴリエルはゆっくりと下着ごとズボンを脱ぐ。その秘められた場所にオイルを満たすと、私は彼を慎重に抱きにかかった。
愛しいハヴリエルには決して痛みを与えたくなかった。
ただ喜びだけを与えたかった。
後ろから貫く。その行為に慣れていない彼は、後孔を満たされるというその充溢感に苦しそうに眉を寄せる。
「きついか」
それで動きを止めようとする私に、彼は首を振り、切なげな表情で言った。
「止めないで下さい。殿下。……そのまま私を抱いて下さい」
それでグンとハヴリエルの中に収めていたものが大きさを増した。あまりにも健気で可愛いことを言うので、自分の息子が大きく成長してしまったようだ。
ハヴリエルはギョッとして後ろを振り返り、私の顔を見つめた。怒ったような口調で言う。
「殿下、あまり大きくしないで下さい!!」
「そなたが悪い」
そう、ハヴリエルが悪い。
可愛くて健気で、愛しい目の前のこの男が全て悪いのだ。
この私に、解けることのない呪いを掛けた彼が。
振り向いたハヴリエルに、私は深々と口づけて、文句を言うのを止めさせた。
それから
私は妃のアビゲイルと離縁した。
アビゲイルは、近衛騎士のハヴリエルにずっと恋したままの私に驚き呆れ、最後には諦めた。
彼女は何一つ文句を言わず、私と別れてくれた。
そのことにはアビゲイルに感謝している。
(しかし、私と別れて半年もしない内にアビゲイルが再婚したことには驚いた。彼女が結婚した相手は、アビゲイルにずっと昔から想いを寄せていた貴族の男だという話だ)
そして父や母には反対されたが、私はハヴリエルを伴侶として迎えることを決めた。
彼は私の求婚を受け入れてくれた。
婚姻を結んだ後も、時折、ハヴリエルは私の“呪い”がいつか解けてしまうのではないか、そうなれば、今のハヴリエルに対する私の想いは消え去ってしまうのではないかと恐れる様子を見せた。彼と過ごす毎日があまりにも幸せなので、それが杞憂であることを私は知っていた。彼を好きだという想いは尽きることがない。その尽きることがない想いが“呪い”なのだから。
彼がもう、そんな不安を言わぬようになるまで、その耳元で甘く愛を囁き続けるのだった。
あなたにおすすめの小説
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)