転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

文字の大きさ
620 / 711
外伝 その王子と恋に落ちたら大変です  第八章 永遠の王の統べる王国

第十八話 彼からの話

 ハルヴェラ王国からゴルティニア王国に帰国したユーリスが、帰国して最初にしたことは、ハルヴェラ王国で取り入れられている制度の、ゴルティニア王国への導入の是非を、官僚達と議論することだった。
 現在のゴルティニア王国は、かつて在ったカリン王国の領土に加え、周辺国を複数併合して出来た、ある意味つぎはぎだらけの国家である。ただ、ゴルティニア王国は、旧カリン王国の領土を基盤に出来た国であったために、新都もその旧王都に置かれている。そのため、王城にはカリン王国の元官僚達も多い。それに加えて他の国家の元官僚達もいる(ゴルティニア王国は人材不足から、他国家の官僚達を積極的に受け入れていた)。当然のように多くの官僚達は、自国の制度との比較でもって、新制度の導入については皆一家言を持っており、結果的に喧々諤々の議論が日夜繰り広げられることになった。
 周囲からの反対の声も多かったが、ユーリスは最終的には国王ダンカンに直訴して、国王ダンカンの命令により、新制度の導入を行った。ダンカンはユーリスの判断を非常に買っていた。

 それは、ハルヴェラ王国から帰国したユーリスが、国王ダンカンと彼の右腕たるフィアに、密かに話した事柄のせいでもあった。
 ユーリスは、黄金竜と同化したシルヴェスター王子が、永遠に近いほど長く時を生きるであろうことを二人に告白した。それを聞いたダンカンもフィアもしばらくの間、黙り込んでいた。

 フィアが呟くように言った。

「考えてみれば、当たり前ですね。竜は長寿です。それと一体化しているなら、シルヴェスター王子は長命になる。それも黄金竜と同化したともなれば、彼の寿命は永遠と続くかも知れない」

「はい、そうなります。陛下とフィア殿には、次代王が非常に長命になることで、その在位も永遠に等しくなることについてお考え頂きたいと思っています」

 ダンカンはユーリスの言葉に、乾いた笑い声を上げる。デスクの上を指でトントンと音を立てて叩く。

「シルヴェスターが永遠に王として君臨するというのか」

「そうです」

「……………………そんなこと、考えたこともなかった。それで、具体的に何か困ることはあるのか。シルヴェスターなら、俺は良い王になると思っている。永遠にその在位が続いても、構わないんじゃないか」

「陛下、王は激務です」

 フィアが言うと、ダンカンは頷く。

「ああ、それは分かっている」

 新国王となったダンカンは、冒険者クランを気儘にやっていた時とは違った新しい生活に、やりがいを感じつつも、それが激務であることを知っていた。国を動かすための、時の厳しい判断も必要とされるそれを、王である自分一人で下さなければならない。常に孤独との戦いでもある。
 
「私もシルヴェスターは、優れた王になることを確信しています。ですが、百年、千年と死ぬことのない王が、王座にい続けて、その激務を一人担い続けることが可能なのか分かりません」

 フィアは冗談交じりに「だいたい、千年も同じ仕事をしているなんて、飽きそうだ」と言って、ダンカンから小突かれていた。冒険者クラン時代からの付き合いであるダンカンとフィアは、率直に胸襟を開いて意見を交わし合える間柄である。

「俺もさすがに死ぬことのない身体で、ずっと王の座に就き続けることなんて考えられないな。途中で交代すればいいだろう。お前の息子のルドガーに……」

 そう言いかけて、ダンカンも気が付いた。ルドガーも黄金竜なのである。
 代替わりしたとしても、ルドガーも永遠を生きるに等しい寿命を持っている。

 それでダンカンは唸り声を上げ、眉を寄せた。

「つまりユーリス。お前はシルヴェスターに王座から適当な頃合いで退いてもらい、ルドガーにもそうさせて、四代目は普通の人間を王にしろというのか? 随分と先の話だが、そんなことを今から考えているのか?」

「違います。シルヴェスターは、ダンカン、貴方の後を継ぎたいとずっと願っている。そうなろうと常に努力を続けている人です。貴方のことを昔からとても尊敬しています」

 ラウデシア王国にいた時から、ダンカンはラウデシア王家でみそっかすの身であったシルヴェスター王子に特別目を掛け、実の息子のように思い、力を貸していた。そしてシルヴェスター王子もダンカンを慕った。王家の中で、シルヴェスター王子を愛していたものは一人としていなかったが、ダンカンはシルヴェスターを愛した。ラウデシア王国を離れた後も、二人は冒険者として一緒に働き続けた。それからの付き合いなのである。シルヴェスターはダンカンに強い恩義を感じている。それは周囲の誰もが認める事実だった。

「だから、貴方の作ったこの王国をずっと大切に守り続けたいと考えているに違いありません。自分が永遠を生きるなら、何かしらの形で、ずっとこの王国に関わり、守り続けたいと考えるでしょう」

「それは俺としては嬉しいが」

「はい。ですから、私は考えたいのです。この王国をシルヴェスターと行く末を見守れるように」

 ユーリスのその発言に、ダンカンもフィアもハッとしたように顔を上げ、ユーリスの顔を凝視した。
 ユーリスは微笑みを浮かべて答えた。

「私もシルヴェスターの番なので、彼と共に在り続けます。よほどのことがない限り、これから先、命を落とすことはないでしょう」

「どうやって」

「シルヴェスターは黄金竜です。黄金竜は、竜の中でも特別に力ある竜です。人の身を変えることも出来るのです」

 しばらくの間、ダンカンもフィアも、ユーリスの整った顔立ちを凝視していた。
 ユーリスが、竜の卵を孕んだ話を聞いたのは、つい先日のことだった。
 目の前の一際美しい青年は、黄金竜の番になることによって、大きく人のことわりから外されていた。

「私もシルヴェスターも、この国をよくしていきたい。それは陛下やフィア殿とも変わらぬ思いです。そのことはどうか、これから先も私とシルヴェスターを信じて頂きたい」
感想 277

あなたにおすすめの小説

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)