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EP:1 暴かれた墓場
第38話 マサルの災難
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スミタは酷く顔を歪ませていた。
少しばかり頭が混乱をしているのか。
ブツブツと言っているし。
「す、スミタ?? スミタ??」
そんなスミタにジノミリアが話しかけていた。
だが、それをマサルが、
「おいおい。そんな話しかけたって。スミタだって混乱してんだし。そっとしておけよ」
呆れた声で言う。
確かに、と僕も思っただけに。
こいつと同じ考えなのに舌打ちをしてしまう。
「はい」
そう言うのはカエデはマサルからスミタを、ジノミリアへと手渡したんだ。
あまり興味がないとばかりにだ。
だが、
「スミタ!」
ジノミリアも勢いよく腕を伸ばして。
スミタを奪い取るようにして、強く抱きしめた。
縮んでしまったスミタの身体は。
すっぽりとジノミリアに胸元に収まった。
「……ぅおー~~い。ズッキーナァ~~」
「拙者は鬼灯奈落でござる! なんでござるか?!」
腕を組む彼をマサルの奴が呼んだ。
それにカエデの眉が吊り上がる訳だけど。
どうでもいい。
「服! 俺にゃあバスタオルが付属してるってのに! スミタにゃあねぇのかよ?」
ジノミリアに抱かれているスミタをマサルが親指を差している。
「産まれたての雛に服がある訳がないでござろう」
「分かってんならなんか寄越せよ! 馬鹿野郎!」
凄むマサルをズッキーナも睨みながら、
「承知したでござる」
頷くとジノミリアへと向かった。
「マサル……」
「? あんだよ」
「……いや。いいよ。なんでもない」
「はァ?! あんだよ! 言いたいことがあんなら言えよ! カエデよぉ!」
「ムラムラする。抱きたい」
素っ気ないながらに。
どこか力のこもった重い言葉に。
「……ざけんな。ぅんなの嫌なこった!」
マサルがカエデの頭を小突いた。
しかしだ。
「あの男とは、何もなかったの? ――……ないの?」
カエデの質問口調が止まらない。
それにマサルの口許がへの字になってしまう。
ついには無言になってしまう。
「……いつ。シたの? されたの?」
低い口調のカエデが淡々と訊く。
細く短くなったマサルの足の太ももを厭らしくも、なぞるように指先を滑らせた。
(こいつ。本っっっっ当にくっっっっそ重いッッ‼)
僕にはこいつの考えが手に取るように分かる。
同時にだ。
確かに重いかな、とも思ってしまう。
「エドガー君。今、マサル君が何を思っているのか。教えてもらえる?」
「「!?」」
最終手段であるはずの僕に。
ついには手を出してしまうカエデ。
君はおかしい。何が君を狂わせているのか。
霊園前で会ったときはそんなに愚かな様子もなくマサルを疑っていたはずだ。墓荒しではないかって。なのに。どうしてそんなにマサルのすかぽんたん男が気に入ってしまったというんだ。何が理由なのか分からないけど、今の君が本当の君だったとするなら――幻滅だ。
こんな男女相手に何を真剣になっちゃってんだよ。
「エドガー君」
「ゃ……っと。あの……っつ! っちょ、ちょっと今ズッキーナに集中してたから訊いてなかった!」
少し厳しい言い訳だったが。
「そっか」とカエデは納得をしてくれた。
と、思ったのに。
ぎゅ! と僕を掴んで、ポケットから取り出した。
嫌な予感しかしない訳で。
「どこまで投げれるかな。肩はいいんだよね、僕」
ぐるんぐるん! と僕ごと回した。
「っひゃ! ゃ、ヤダ! やめっつ! っぷ、ぅぷぷ~~!」
「おいおいおい! 止せって! カエデ! おい! カエデってば!」
その腕をマサルが掴み止めた。
た、助かった。
「重いって思っただけだよ! お前が‼」
「重い? 僕が??」
「そそ。重いじゃん、お前ってば」
言い合う二人を他所に。
ズッキーナが、
「どのような服がいいでござるか? マサルのような布か? それとも上質の服でござるか?」
ジノミリアに訊いた。
「……いや。裸でもいいんだけ――」
「よくねぇわ! 馬鹿女ッッ!」
聞えたジノミリアの言葉に。
マサルがカエデを放って言い放った。
「カエデ! 紙とペンあっか?!」
「ふぅ。はい」
手際よく渡すと、カエデの背中で掻き始める。
「描きずれぇなぁ~~ったく!」
くすぐったいのか。
カエデがほくそくんでいた。
「何を描いているのでござるか? 自分は」
ズッキーナが浮かび上がってマサルの横に並んだ。
「!」
その光景にカエデの目が鋭くなった。
何、こいつ。怖いんだけど。
「こーゆー服でいいぜ。こーゆー」
「ふむふむ。いいでござろう、自分と拙者の仲でござるし」
「!? んな誤解を生むようなこと言うんじゃねぇよ! 馬鹿野郎!」
「事実でござる」
しれっと言うズッキーナに。
わなわな、とカエデの身体が震え出す。
本当に止せって、マジで止せって。
ズッキーナはマサルが描いた紙を見ると。
「《変態の理》」
ズッキーナの指から細い糸がスミタへと向かった。
細くも鈍く輝く糸が。
少しばかり頭が混乱をしているのか。
ブツブツと言っているし。
「す、スミタ?? スミタ??」
そんなスミタにジノミリアが話しかけていた。
だが、それをマサルが、
「おいおい。そんな話しかけたって。スミタだって混乱してんだし。そっとしておけよ」
呆れた声で言う。
確かに、と僕も思っただけに。
こいつと同じ考えなのに舌打ちをしてしまう。
「はい」
そう言うのはカエデはマサルからスミタを、ジノミリアへと手渡したんだ。
あまり興味がないとばかりにだ。
だが、
「スミタ!」
ジノミリアも勢いよく腕を伸ばして。
スミタを奪い取るようにして、強く抱きしめた。
縮んでしまったスミタの身体は。
すっぽりとジノミリアに胸元に収まった。
「……ぅおー~~い。ズッキーナァ~~」
「拙者は鬼灯奈落でござる! なんでござるか?!」
腕を組む彼をマサルの奴が呼んだ。
それにカエデの眉が吊り上がる訳だけど。
どうでもいい。
「服! 俺にゃあバスタオルが付属してるってのに! スミタにゃあねぇのかよ?」
ジノミリアに抱かれているスミタをマサルが親指を差している。
「産まれたての雛に服がある訳がないでござろう」
「分かってんならなんか寄越せよ! 馬鹿野郎!」
凄むマサルをズッキーナも睨みながら、
「承知したでござる」
頷くとジノミリアへと向かった。
「マサル……」
「? あんだよ」
「……いや。いいよ。なんでもない」
「はァ?! あんだよ! 言いたいことがあんなら言えよ! カエデよぉ!」
「ムラムラする。抱きたい」
素っ気ないながらに。
どこか力のこもった重い言葉に。
「……ざけんな。ぅんなの嫌なこった!」
マサルがカエデの頭を小突いた。
しかしだ。
「あの男とは、何もなかったの? ――……ないの?」
カエデの質問口調が止まらない。
それにマサルの口許がへの字になってしまう。
ついには無言になってしまう。
「……いつ。シたの? されたの?」
低い口調のカエデが淡々と訊く。
細く短くなったマサルの足の太ももを厭らしくも、なぞるように指先を滑らせた。
(こいつ。本っっっっ当にくっっっっそ重いッッ‼)
僕にはこいつの考えが手に取るように分かる。
同時にだ。
確かに重いかな、とも思ってしまう。
「エドガー君。今、マサル君が何を思っているのか。教えてもらえる?」
「「!?」」
最終手段であるはずの僕に。
ついには手を出してしまうカエデ。
君はおかしい。何が君を狂わせているのか。
霊園前で会ったときはそんなに愚かな様子もなくマサルを疑っていたはずだ。墓荒しではないかって。なのに。どうしてそんなにマサルのすかぽんたん男が気に入ってしまったというんだ。何が理由なのか分からないけど、今の君が本当の君だったとするなら――幻滅だ。
こんな男女相手に何を真剣になっちゃってんだよ。
「エドガー君」
「ゃ……っと。あの……っつ! っちょ、ちょっと今ズッキーナに集中してたから訊いてなかった!」
少し厳しい言い訳だったが。
「そっか」とカエデは納得をしてくれた。
と、思ったのに。
ぎゅ! と僕を掴んで、ポケットから取り出した。
嫌な予感しかしない訳で。
「どこまで投げれるかな。肩はいいんだよね、僕」
ぐるんぐるん! と僕ごと回した。
「っひゃ! ゃ、ヤダ! やめっつ! っぷ、ぅぷぷ~~!」
「おいおいおい! 止せって! カエデ! おい! カエデってば!」
その腕をマサルが掴み止めた。
た、助かった。
「重いって思っただけだよ! お前が‼」
「重い? 僕が??」
「そそ。重いじゃん、お前ってば」
言い合う二人を他所に。
ズッキーナが、
「どのような服がいいでござるか? マサルのような布か? それとも上質の服でござるか?」
ジノミリアに訊いた。
「……いや。裸でもいいんだけ――」
「よくねぇわ! 馬鹿女ッッ!」
聞えたジノミリアの言葉に。
マサルがカエデを放って言い放った。
「カエデ! 紙とペンあっか?!」
「ふぅ。はい」
手際よく渡すと、カエデの背中で掻き始める。
「描きずれぇなぁ~~ったく!」
くすぐったいのか。
カエデがほくそくんでいた。
「何を描いているのでござるか? 自分は」
ズッキーナが浮かび上がってマサルの横に並んだ。
「!」
その光景にカエデの目が鋭くなった。
何、こいつ。怖いんだけど。
「こーゆー服でいいぜ。こーゆー」
「ふむふむ。いいでござろう、自分と拙者の仲でござるし」
「!? んな誤解を生むようなこと言うんじゃねぇよ! 馬鹿野郎!」
「事実でござる」
しれっと言うズッキーナに。
わなわな、とカエデの身体が震え出す。
本当に止せって、マジで止せって。
ズッキーナはマサルが描いた紙を見ると。
「《変態の理》」
ズッキーナの指から細い糸がスミタへと向かった。
細くも鈍く輝く糸が。
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