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其の9 約束*入浴へ

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 ビトーがそれ・・を知ったのは、つい最近。
 魔法少女に恵比寿宝がなった。あの日の晩の続き。

 ◆◇

「身体が~~ベタつく~~」

 恵比寿ととら。
 ビトーが話していたときのこと。

「怪人の精液って、こってりしてて美味しいんだよねー宝ぁー~~僕がめようかー?」

 手を上げてとらが言う。
 恵比寿はとらを冷ややかに見た。

「風呂に行って来るよ」
 そう言い出ようとした恵比寿を、ビトーが呼び止めた。
「フロとはなんだ??」
 ビトーが首を傾げる。

「え?」

 次いで、恵比寿が声を上げた。
 そんな様子にとらが言う。

「身体を洗う習慣がないんだよービトーちゃん達はー」

 クスクス。
 とらが微笑む。

「ぇ、ええ??」

 恵比寿は驚く。

「身体が汚いじゃんかっ!」
 恵比寿はビトーの手を掴んだ。
 その行為にビトーも驚きを隠せない。
「む?? どうかしたのかい? タカラ」
 ベッドに座っていたビトーが首を傾げる。
「っい! 一緒にお風呂に入ろうよ!」

 ビトーの眉間にしわが寄っていく。

「お風呂って気持ちイイんだよ! 背中洗ってあげるよ!」
「いいなー僕もいいかなー」
 椅子の上で身体でリズムをとる。
「嫌だ!」
「!? なん、なんで??」
 きっぱりと断られたとらが悲鳴を上げた。

「今日のこと、まだ許せないし、許せそうにないもんっ!」

 そんな答えに。
「あー~~じゃあ、仕方ないねー」
 自覚があるのか、渋々、納得の声を上げた。

「え、ぁ……んん??」

「じゃあ、お湯沸かしてくるね!」
 ビトーも、どうしていいのか分からずに、恵比寿ととらを交互と見る。

 し――……ん。

「何をしに行ったんだい? あの子供は」

 ビトーは、恵比寿が出て行った方を見ていた。
 二人きりになった機会にとらが言う。

「あのねービトー~~??」
「? なんだ、ドレッド」
 ビトーはとらを睨みつけた。
「あんまり構い過ぎないでよーあの子は僕の後任なんだからさー」
 とらは頬を大きく膨らませた。
「それにー僕たちは敵対勢力なんだからねー?」
 ビトーがとらを睨み、言い返した。
「どうして、あの子供を選んだんだい? 君は」

 とらの目が丸くなる。
 そして顔を逸らした。

「たまたま、そこにあの子が居たからだよー」

「!? ……それだけなのか?? それだけであの子供が!?」

 ビトーの顔が険しくなっていく。
 口許も吊り上がる。
「ビトーの精液が美味しければーすぐにでも、僕の飢えも収まるのにー」

「それは悪かったね。不味くて」

 パラパラ――……。

 散々、恵比寿の頭を叩いた漫画雑誌をビトーは読む。
「ふむ」
「ビトー。キミ、帰らなくていいのー??」

 ピタ。

「ああ。ドロヌトクロトファー様も、今は、他の敵地に遠征に行っているからね」
「本当に、戦闘民族だよねー恐ろしいー~~」
「そうだね。否定は出来ないよね」
 お互いが探り合うかのように話していく。

 ダダダダダ‼

 階段を勢いよく上がる音が響いた。
「沸いたみたいだねー」
 とらがにこやかにビトーに言う。
「ああ。そのようだね」
「きっと、気に入るよ。日本のお風呂は極楽なんだからー」
「へぇ」

 ダダダダダ‼

 ダン‼‼

「沸いたよぉう! ビトー一緒に入ろうっ!」

 屈託のない恵比寿の笑顔。
「! ぁ、ああ」
 ギシ――……。
「ごゆっくりーし過ぎ多様ないでよー?」
 眉間にしわを寄せたとらが立ち上がり、ビトーを押し退け、ベッドの上で大の字に寝ころんだ。
「っふぁーおやすみー」

 す――す――……。

「早ッッ!」
 恵比寿が驚いた顔になる。
「ったく! 気楽なもんだなぁ~~」
「ああ。本当に」
「ま。いっか! さ! 風呂に行こうよ!」

 恵比寿が腕を掴む。

「ああ。行こう」

 二人はゆっくりと階段を降りて行く。
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