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其の66 とら*気持ち

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「ゃで、す……おじさん」

 迫ってくるとらに、そう三好が言う。
 にじりにじり、後ろに下がりながら。
「今日は、あの、そ、の……」
 しどろ、もどろに言う三好に。
「なんでーどうして嫌って言うのー?」

 すん。

 すん、すん。

 匂いを嗅ぎながら、とらも聞き返す。
 ついには、後ろが背中とくっついてしまい、三好も身動きができなくなってしまう。前はとらが塞いでいるから余計に、とらと密着している。
 顔と顔が。
 今にもくっつきそうに。

「だから、あの……ぇ、っと」
 三好も、理由を探す。
 でも、今日は本当に嫌だった。
 確かに、怪人の精液はお腹の中にある。
 たっぷりと。
「嫌、です……嫌ったら、嫌なんです!」
 癇癪を起してしまう三好。
 彼も、まだ子供で、13歳だ。
 大人じゃない。

 答えなんか出せない。

 容姿だけが、大人に羽化していく。
 中身だけは変わらずに。
「そんなのー理由にもならないしー」
 三好の二の腕を掴み、身体をより密着させ。
「僕のこと嫌い? 大樹ー」
 正面きって聞かれることに。
「ぇ、あ?? んで、そんな、こと……聞くん、です、か」
 三好は顔を紅潮させ、横に顔を向けた。
 胸が痛い。

 顔も感情が高鳴って堪らなく痛い。
 耳がとくに。
 目じりも、ほんの少しだけ。

「なんで、聞くかって?? そんな……――の?」

 はた。とらも止まった。
「? おじ、さん??」
 真顔になったとらを、伺うように聞く。
 しかし、とらは止まったままだった。

 ◆

 あれ? どうして僕……。

 ◆

 戸惑っているとらが居る。
 《魔法少女》だったころには考えたことがないことだ。
 一人で戦って、犯され精子を貰い、それを食料としていた。
 それを、惑星ごとに。
 怪人を倒す為だけにしていた。

 博士という親のために。

 従ってきた。
「――……」
 とらも困ってしまう。
 三好が言ったことに、答えが出せない。
 止まってしまったとらに、三好も逃げようとするが。
 彼は――とらは人間じゃない。
 全く、三好の身体が言うことを聞かない。
「なんでって……あの、だから……」
 しどろもどろに、とらが言う。

 彼も、容姿だけが大人で。
 中身は、成長しきっていない。

 大人なんかじゃない。

 答えなんか出せない。

 とら自身、恋を知らない。
 とら自身、愛が何かすら理解していない。
 だから、三好に答える答えを知らない。

「大樹を見るとーこう、胸がさーきゅっ! てなるんだー」

 とらが言葉を、自身の状態を言っていく。
 これが三好に伝わるように。
 だが。
 悪いことに。

「病院行きますか?? いや! メンテナンス受けに行った方がいいですよ!?」

 本気に心配する三好。
 彼もそうだ。

 三好自身、恋を知らない。
 三好自身、愛を知らない。
 だから、とらの言いたいことが分からない。

 身体ばかりが、開発され、淫靡になっていく。
 怪人を呼び寄せる体臭フェロモンも濃くなっていく。
「メンテナンスーうん、行こうかなー今度」
「今度?? 今すぐ行ったほぅ――ん、ぅ゛!?」

 とらは心配を口に唇に口づけをした。

 舌が口腔にねじり込まれる。
「んんン゛! ぁ゛、 や゛♡」
 三好も、その舌に舌を絡めていく。
 もう慣れてしまった。
 悲しいことにも。

 ぴちゃ、ちゅぷ。

 涎の音が鳴り響く。
 口元から涎も伝い落ちる。
 三好も、夢中になってむしゃぶりつく。
「っはぁ゛♡ んあ゛♡ おじさ……♡」
 腕はとらに抑えられたままだった。
 トロ顔になった三好に。

(うんうんー大樹ー可愛いー~~)

 とらも満足する。
 そして、耳元で囁く。

「ね? 足開いて、大樹?」

 三好も、言われるがままに足を大きく開いた。
 若い三好のペニスがそそり立っている。
 我慢汁を垂らしながら。

「おじ、さ♡」
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