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【二部】侯爵令嬢は今日もあざやかに断罪する
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「そんなつもりは無かったんだ……」
ヒルシェールは力なくそう呟いた。
彼が使った隠し通路の出口は、本来なら寝室で間違いなかった。しかし、彼が植物の採取で遠方に出かけていたおり、嵐害で崩れたせいで作り直され、湯殿に変わっていたのだ。
正直、寝室だと思って扉を開けたら、辺り一面湯煙に包まれていて、驚いてしばらく固まってしまった。
「ところで、皇弟殿下のお作りになったギルド。あれ、闇ギルドとして、かなりの犯罪事も起こしてましたが、そちらはご存知ですか?」
中央に座るヒルシェールを囲むように座っていた全員の視線が、突然話題を変えて発言したアディエルに一斉に視線が集まった。
「………闇ギルド?いや、吾は情報ギルドとして作ったのだが?」
首を傾げるヒルシェールに、皇族とエマールが頭を抱えた。
彼の作ったギルドは、帝国内では有名な闇ギルドになっていたのだ。知らぬは本人ばかりなり、である。
「だから、申し上げましたのよ!ヒルシェール様は根がお優しすぎるから、簡単に騙されてるとっ!!」
「???」
突然、激しく怒り出したエマールにヒルシェールは首を傾げながら彼女を見た。
「…真面目で……、優しすぎるから、損ばっかり…、馬鹿にされてばかりなんですのよ……」
ポロポロと涙を零しながらもエマールは言葉を続けた。
「毎日毎日…。民の為にと皇族なのに土まみれで畑の世話をして……。臣民のためになるからと、寝る間も惜しんで研究なさって……」
泣いているエマールに、ヒルシェールはオロオロしている。
幼い頃から少し前まで、自分が一番側で面倒を見てきたのだ。今のエマールの泣き方が、これからどうなっていくのかを彼はこの中で一番詳しく知っていた。
「なのに……、なのに、何なんですのっ!!誰も彼もが、やれ『肉饅頭』だの、『白いヒキガエル』だのと、挙句の果てには『国の恥』?てめえらのその態度が国の恥だってんですよ!!」
「………エマール嬢?」
令嬢らしからぬ言葉遣いになったエマールに、皇妃が恐る恐る名を呼んだ。
しかし、涙を止めて拳を握りしめ、エマールは近くのクッションを手にした。
「てめえらが当たり前に食ってる肉だってなぁっ!殿下が交配して下さった牧草、たらふく食って肥った家畜だろうがっ!!」
ボスボスとクッションを殴り始めたエマールに、ヒルシェールとカイエン、アディエル以外は驚いて身を引いていた。
「エマール嬢……。吾は良いから落ち着きなさい…」
父親にベッタリだったエマールは、今でこそ淑女らしく話せるようになったが、宰相職で怒りの溜まった父親の姿を見ていたため、感情が昂ると口調が粗くなり、暴力的になるのだ。
ヒルシェールは自分の薬草畑が、荒らされた時に、逃げた犯人が追いかけたエマールにどうされたかをよく覚えている。
木の枝を飛び移り、犯人の背中に飛び降りながら蹴りを入れたエマールに、自分は猿の子を預かったっけと思ったのだから。
あの時も興奮して大人しくさせるのが大変だったが、今もあれは有効なのだろうか?
ヒルシェールは力なくそう呟いた。
彼が使った隠し通路の出口は、本来なら寝室で間違いなかった。しかし、彼が植物の採取で遠方に出かけていたおり、嵐害で崩れたせいで作り直され、湯殿に変わっていたのだ。
正直、寝室だと思って扉を開けたら、辺り一面湯煙に包まれていて、驚いてしばらく固まってしまった。
「ところで、皇弟殿下のお作りになったギルド。あれ、闇ギルドとして、かなりの犯罪事も起こしてましたが、そちらはご存知ですか?」
中央に座るヒルシェールを囲むように座っていた全員の視線が、突然話題を変えて発言したアディエルに一斉に視線が集まった。
「………闇ギルド?いや、吾は情報ギルドとして作ったのだが?」
首を傾げるヒルシェールに、皇族とエマールが頭を抱えた。
彼の作ったギルドは、帝国内では有名な闇ギルドになっていたのだ。知らぬは本人ばかりなり、である。
「だから、申し上げましたのよ!ヒルシェール様は根がお優しすぎるから、簡単に騙されてるとっ!!」
「???」
突然、激しく怒り出したエマールにヒルシェールは首を傾げながら彼女を見た。
「…真面目で……、優しすぎるから、損ばっかり…、馬鹿にされてばかりなんですのよ……」
ポロポロと涙を零しながらもエマールは言葉を続けた。
「毎日毎日…。民の為にと皇族なのに土まみれで畑の世話をして……。臣民のためになるからと、寝る間も惜しんで研究なさって……」
泣いているエマールに、ヒルシェールはオロオロしている。
幼い頃から少し前まで、自分が一番側で面倒を見てきたのだ。今のエマールの泣き方が、これからどうなっていくのかを彼はこの中で一番詳しく知っていた。
「なのに……、なのに、何なんですのっ!!誰も彼もが、やれ『肉饅頭』だの、『白いヒキガエル』だのと、挙句の果てには『国の恥』?てめえらのその態度が国の恥だってんですよ!!」
「………エマール嬢?」
令嬢らしからぬ言葉遣いになったエマールに、皇妃が恐る恐る名を呼んだ。
しかし、涙を止めて拳を握りしめ、エマールは近くのクッションを手にした。
「てめえらが当たり前に食ってる肉だってなぁっ!殿下が交配して下さった牧草、たらふく食って肥った家畜だろうがっ!!」
ボスボスとクッションを殴り始めたエマールに、ヒルシェールとカイエン、アディエル以外は驚いて身を引いていた。
「エマール嬢……。吾は良いから落ち着きなさい…」
父親にベッタリだったエマールは、今でこそ淑女らしく話せるようになったが、宰相職で怒りの溜まった父親の姿を見ていたため、感情が昂ると口調が粗くなり、暴力的になるのだ。
ヒルシェールは自分の薬草畑が、荒らされた時に、逃げた犯人が追いかけたエマールにどうされたかをよく覚えている。
木の枝を飛び移り、犯人の背中に飛び降りながら蹴りを入れたエマールに、自分は猿の子を預かったっけと思ったのだから。
あの時も興奮して大人しくさせるのが大変だったが、今もあれは有効なのだろうか?
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