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【二部】侯爵令嬢は今日もあざやかに断罪する
35.
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「あらあら。想定以上にリネット様のお薬が効いてしまいましたのね」
アディエルは建物の中で、倒れている無数の男女を見てそう言った。
場所は町外れの寂れた屋敷である。
元は貴族の別邸らしかったが、夜逃げしたとかで放置されていたのを、ギルドの本部に使っていたようだ。
手っ取り早く一網打尽にしてしまおうと、先にこっそりと入国していた三人はアディエルの影達と共に下準備を進めていた。
ヒルシェールの作ったギルドは、金払いの良さから、ならず者ばかりが集まるようになり、彼の知らぬ間に闇ギルドとして裏社会では有名になっていたのだ。
そのため、ヒルシェールが作ったとバレないうちに、全員とっ捕まえてしまおうということになっていた。
幸いにして、ヒルシェールの変わりにギルドを仕切っていた男とその側近しかヒルシェールのことを知らない。しかも側近の男は、アディエルの命を受けて入り込んでいた影だ。
潜り込むために、こっそりと側近達には退場していただいた。
彼は側近になると早々に、構成員の人数も顔も把握した。勿論、各自の性格もである。
構成員をまとめて集めるのは簡単であった。
依頼主が依頼達成に殊の他喜んでいて、全員に褒美をくれるらしいと、触れ回ったのだ。
褒美はその日ギルドにいた者だけにしか振る舞われないと、付け加えた為に、笑えるほど簡単に全員が集まっていた。
酒と金。
ならず者なら喜ぶ。ここに女を加えれば、更に喜ぶだろうが、それは報酬で好きにして欲しいと、彼は一人当たりに渡される報酬を述べた。
金貨十枚。酒飲み放題。
平民なら上手くすれば一生遊んで暮らせる額である。
そして、運び込まれていた酒樽は、各国でも上等の部類に入る物から、場末の安物まで揃えてあった。
なお、リネット特製睡眠薬入りである。
彼は念には念を入れてと、これまたリネットお手製の睡眠香も使っていた。
開始一時間もする頃には、屋敷のあちこちには爆睡、泥酔の出来上がりである。
やってきたカイエン達は、手早く倒れている者達を捕縛していき、玄関ホールへと集めていく。
集められたならず者達の症状を確認しては書き留めているのはリネットだ。
「……やはりお酒に入れると効果が高いのかしら?」
ブツブツ言いながら控えているリネットを、アディエルは微笑みながら見ていた。
「っ!?」
突然、後ろから腕が腰に周り、喉元にナイフを突きつけられていた。
「てめえら、この女の命が惜しかったら、動くんじゃねえっ!!」
たまたま遅れてきた男は、宴会中の割には静かすぎる様子を訝しんで、覗き込んだ中の光景に驚いた。
そして、即座に一人でたっていたか弱そうな令嬢に目をつけたのだ。
気配を消して、そっと背後に忍び寄って人質にした。
彼は運が悪かったーーーー。
アディエルは建物の中で、倒れている無数の男女を見てそう言った。
場所は町外れの寂れた屋敷である。
元は貴族の別邸らしかったが、夜逃げしたとかで放置されていたのを、ギルドの本部に使っていたようだ。
手っ取り早く一網打尽にしてしまおうと、先にこっそりと入国していた三人はアディエルの影達と共に下準備を進めていた。
ヒルシェールの作ったギルドは、金払いの良さから、ならず者ばかりが集まるようになり、彼の知らぬ間に闇ギルドとして裏社会では有名になっていたのだ。
そのため、ヒルシェールが作ったとバレないうちに、全員とっ捕まえてしまおうということになっていた。
幸いにして、ヒルシェールの変わりにギルドを仕切っていた男とその側近しかヒルシェールのことを知らない。しかも側近の男は、アディエルの命を受けて入り込んでいた影だ。
潜り込むために、こっそりと側近達には退場していただいた。
彼は側近になると早々に、構成員の人数も顔も把握した。勿論、各自の性格もである。
構成員をまとめて集めるのは簡単であった。
依頼主が依頼達成に殊の他喜んでいて、全員に褒美をくれるらしいと、触れ回ったのだ。
褒美はその日ギルドにいた者だけにしか振る舞われないと、付け加えた為に、笑えるほど簡単に全員が集まっていた。
酒と金。
ならず者なら喜ぶ。ここに女を加えれば、更に喜ぶだろうが、それは報酬で好きにして欲しいと、彼は一人当たりに渡される報酬を述べた。
金貨十枚。酒飲み放題。
平民なら上手くすれば一生遊んで暮らせる額である。
そして、運び込まれていた酒樽は、各国でも上等の部類に入る物から、場末の安物まで揃えてあった。
なお、リネット特製睡眠薬入りである。
彼は念には念を入れてと、これまたリネットお手製の睡眠香も使っていた。
開始一時間もする頃には、屋敷のあちこちには爆睡、泥酔の出来上がりである。
やってきたカイエン達は、手早く倒れている者達を捕縛していき、玄関ホールへと集めていく。
集められたならず者達の症状を確認しては書き留めているのはリネットだ。
「……やはりお酒に入れると効果が高いのかしら?」
ブツブツ言いながら控えているリネットを、アディエルは微笑みながら見ていた。
「っ!?」
突然、後ろから腕が腰に周り、喉元にナイフを突きつけられていた。
「てめえら、この女の命が惜しかったら、動くんじゃねえっ!!」
たまたま遅れてきた男は、宴会中の割には静かすぎる様子を訝しんで、覗き込んだ中の光景に驚いた。
そして、即座に一人でたっていたか弱そうな令嬢に目をつけたのだ。
気配を消して、そっと背後に忍び寄って人質にした。
彼は運が悪かったーーーー。
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