双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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第一章 『勇者』と『聖女』?

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[エレオノール視点]

    バル様が僕らと手を繋いで、王太子宮の案内をしてくれました。
    後ろからは護衛の騎士の人が二人着いてきてました。
    僕達に一人ずつ何だって。
    僕には金色のサラサラしてる長い髪を後ろで一つにしてる、優しい翠色の瞳のグランさん。
    ノーラには、短い茶色の髪で赤い瞳のオリクスさん。
    二人とも村に迎えに来てくれた騎士さんだったよ。
    僕達と一番仲良くしてくれた二人だから、ノーラも嬉しいみたい。

「あちらに神殿が見えるだろ?明日はあそこで、二人の装備の確認をするよ」

    少し見えにくくて、ノーラとちょっと背伸びをしてたら、バル様は両手で僕達を軽々と持ち上げて、肩に座らせてくれたんだ。

「うわぁ、たかーい♪」

    ノーラはすごく嬉しそう。僕も嬉しい。
だって、こんなに高くて一緒に肩車してもらうのって、初めてなんだもん。
    僕達が喜んだせいかな?バル様、そのまま案内してくれたよ。

    色んな花の咲いた庭園とか。レン様の騎士団の訓練所とか、レン様の部屋も入っちゃった……。いなかったのにいいのかなって聞いたら、レン様から案内するように言われてたんだって。
    後ね。レン様の婚約者の人にも会ったよ。
    ノーラとおんなじ黒い髪で、おんなじ青い瞳。
    隣の国のお姫様なんだって。
    サラディール様ってお名前で、すごく綺麗なお姫様。

「『サラ姉様』って呼んでね♪」

って、言われた。僕は恥ずかしくて無理だったけど、

「サラ姉様!」

    ノーラはすぐに呼んでたよ。僕はしばらく『サラ様』で許してもらったよ。

    そこからはサラ様も一緒に歩いて、最後はレン様とご飯を食べる部屋に着いた。
    四人で食べるんだって。

「「…………」」

    広い大きな長四角のテーブルの一番向こうにレン様が座ってた。
    並べられてた料理は見たことないくらい美味しそうなのばかりで、たくさんあった。
    レン様より離れた所に二人分。レン様の側に一人分が置いてあるから、離れた場所が僕達の場所だよね?って、ノーラと座ろうとしたんだ。

    そしたら、サラ様が僕達の手を握って、一緒にレン様の方へ歩いてった。

「レンったら、こんな小さな子達と離れて食べるなんて!一緒に食べる意味がありませんでしょ!」

って、レン様も立たせたの。

    レン様の隣に僕。レン様の反対側にサラ様。その隣で僕の反対側にノーラが座る形になったよ。

「さあ、これでいいですわ♪」

    でも道具がたくさんあって、どうやって食べるのか分からない僕達に、サラ様は優しく教えてくれた。

「この子達のマナーは誰が担当しますの?」

「基本的にはバルだな」

「あら、バル様に女の子は無理でしょう?わたくしがしますわ」

    にっこり笑ったサラ様。レン様は困った顔をしてた。

「…レン兄様…。サラ姉様はダメなの?」

    ノーラが不安そうにレン様に聞いた。

「……はぁ。ダメだと言えば、サラやノーラに恨まれそうだな。いいよ、マナーはサラに任せよう」

「「っ!!」」

    僕とノーラは嬉しくて思わずお互いを見て笑ったんだ。

「「……尊い………」」

    聞こえてきた声にノーラと二人、隣を見ると、レン様もサラ様も両手で顔を隠してた。

    ご飯を食べてから部屋に帰ると、さっきの人とは別の人達がいた。
    侍従さんは元気なおじいさんって感じの人で、グイードさん。
    侍女さんは村の宿屋の女将さんみたいな感じの人で、ダリヤさん。
    お風呂に入れてもらって、ノーラとベッドに行くと、すっごく大きなベッドがあった。

「うちのベッドが四つくらいくっついたみたいな大きさだね…」

「……ノーラ。ポンポン跳ねるよ、このベッド…」

    ノーラと二人、じっと目が合った。

「「…………」」

    ウズウズしてきたのは、きっとノーラもおんなじだったよね?

「「キャー♪」」

    僕達はベッドの上をポンポンと飛び跳ねた。

「何事ですか!?」

    ダリヤさんが怖い顔で部屋に入ってきた。

「「「…………」」」

    ビックリした僕達は、ダリヤさんと見つめ合った。

「レオノーラ様。エレオノール様…」

    にっこり笑ったダリヤさんに名前を呼ばれた。
    笑ってるのにすごく怖いのは何でかな?

「「はい……」」

    思わずきちんとベッドの上に座ったよ。

「ベッドは飛び跳ねて遊ぶ場所ではありません!」

ーー叱られちゃった…。

    くしゅんとなった僕達。

「……ですが、このようにフカフカのベッドは初めてでございましょう。跳ねてみたくなるのも分かります。ですから、今だけは許してあげましょう……」

    そっと顔を上げると、片目を瞑ってこっちを見てるダリヤさんと目が合った。

「今日だけ…でございますからね!」

    僕達はしばらく飛び跳ねて、疲れて寝転がってたら、そのまま寝てしまってた。

    朝、起きたらノーラと二人、ちゃんとベッドの中にいた。
    後でちゃんとダリヤさんにお礼を言わなくちゃね!



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