双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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第四章 思惑は絡み合って成立する

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「それでは例の品は予定通りに渡されたのだな?」

    とある場所の一室に数人の老若男女が集まり、コソコソと話をしていた。

「もちろんでございます!これは成功させねばなりませんので、確実に儂が直接運びましたからな♪」

    老人の言葉に男が頷く。

「あちらからの返答はどうなりましたの?」

    女が男に訊ねる。

「全く問題ない。寧ろ、是非とも成功させて欲しいとのことだ……」

「それはようございました……」

    年配の女がホッと息を漏らす。

「今から楽しみです♪」

   少年がそう言うと、隣の少女は口を尖らせた。

「…いいなぁ。ワタシも慌てふためくところが見たかったなぁ…」

「それでは儂らと共に隠れて見ますかな?」

    老人の言葉に、少女は顔を輝かせた。

「いいの?」

「もちろんでございます。仲間外れはよろしくございませんもの♪」

   少女はキャーと歓声を上げて、年配の女に抱きついた。

「ですが、彼らの方はいかがですの?」

    女の問いかけに、しんと室内が静まり返る。

「それは僕から…」

    若い男が手を挙げる。

「表向きは問題ありませんが、裏ではやはり反対…というか、無かったことにしたいようですね。偽物だという方向で進めるようだと……」

「嘆かわしい。真実を捻じ曲げようなどと…」

   女が首を振って、溜息をついた。

「ですが、あれだけ公に認められているのです。そちらはどうするつもりなのですか?」

    少年の言葉に、若い男が頷いた。

「そちらの方も、偽物だったということにするつもりのようです。嘆かわしいことに複製品を用意しているそうですよ…」

「なるほど……」

   男が苦笑する。

「だがあの子の話を聞く限り、有り得なくもないのだがな……」

「僕達もお話を伺うまでは信じられませんでしたが、実際存在してますからね。それを認められないからと、このような暴挙に出るなど…」

    若い男がやれやれと首を振る。

「どうしますの?こちらは知らせます?」

   女の言葉に全員の視線が男に集まる。

「……いや。知らせずとも問題ないだろう。寧ろ、どうなるか見てみたい♪」

   ニヤリと笑う男に、全員が呆れて溜息をついたのだった。



※※※※※※※※

「例の品は滞りなく用意できたな?」

「もちろんでございます。扱える者も選出が済み、登録・・も終えてございます……」

   でっぷりと肥太った男が、頭頂部が輝く男の言葉に満足気に頷いた。

「全く。あの様な存在が居るなど、冒涜以外の何者でもないと言うのに、誰も彼も情けのないことよ……」

「ええ。その通りでございます。選ばれた者も『正しき道に導く為に必要ならば、この身を捧げます』と申しております……」

「何と!それは素晴らしい!その者はとてつもない祝福を受けようぞ!!」

「はい、誠に……」

    満足気に頷き合う男達は、自分達のその姿を見られていることにも気づかずに、話を続けるのであったーーーー。




**********

いつもお読み下さり、ありがとうございます。
本日は夜にも、こちら更新予定です!


   




 
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