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第五章 そして新たな神話が生まれた
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[レオノーラ視点]
「さっきだな…」
「さっき?」
ドレスには自分の色を使った刺繍を施し、互いの色を使ったお揃いの装飾品まで用意していたのだ。かなり前から用意してないとおかしいぐらいの状況。それなのに、私が女だと気づいたのはさっきだという。
え?男にドレスとか用意してたの?ドン引きなんですけど……。
「………離れるな」
無言で離れようとした身体は、後ろからしっかりと抱きしめられた。
「いや離れるでしょ…。女だったから良かったけど、男にこんなの用意してたなんて…」
「…俺は用意していない…。用意したのはラムダスと、そちらの人間だ……」
レン兄様の仕込みかーーっ!!
悔しいような恥ずかしいような複雑な気持ちで、頭がグルグルしてくる。
「…俺が用意したのは…、このスカーフタイと……」
言いながら、ガディルの指が髪を撫で、髪飾りに触れた。
「この髪飾りだけだ……」
「~~~~っ!!」
止めて!耳元で囁くの、ホント止めてっ!しかも色気含んだ低音ボイスは、腰に来るからっ!!
切なそうに囁かれ、私の心臓は止まりそうだ。
前世も今世も、恋愛方面には初心者なのだ。未知の世界だ、勘弁してください!
「……レオノーラ。俺が嫌いか?」
抱きしめる腕の力は増したのに、尋ねる声は弱々しくって……。
「お前が好きなんだ……」
ギュッとさらに抱きしめる力が増し、耳朶にかかる息の熱さにクラクラする。
こんなの無理だ……。こんな想いをぶつけられて、自分の想いを誤魔化しきれるわけがない……。
「……も……。私も、………好き…」
「レオノーラ!」
「だけど…、私は人間だから…。ガディルとは…」
魔族の王族は人と結ばれると、王族でなくなる。出会いはともかく、ガディルがどんなに良き王を目指しているのか、短い間だが見てきたのだ。自分のために、それを無駄にさせれるわけがない。
「……確かにお前は人間だが、何の問題がある?平民出身だからか?魔族は力が第一だから、身分は関係ないぞ?」
「王族は人間と結ばれたら、王族でいられないって……」
「ああ。俺もそう思っていたが、絶対では無いらしい。そもそもそれが本当なら、俺は『聖女』と見合いモドキをさせられた意味がないだろ…」
ガディルの言葉に、ゆっくりと後ろを振り返る。
「まあ、それでも男だと思っていたから、これだけで我慢するつもりだったんだが……」
指先でスカーフタイに触れる姿から、色気がダダ漏れてきていた。
「…だが?」
嫌な予感がしつつも、つい聞き返してしまった。本能は『聞くな!逃げろっ!!』と叫んでる。
「…お前が女で、しかも魔族側も人族側も認めてくれるのならば、遠慮は必要ないだろ?」
金の瞳は捕食者のような獰猛な色を現し、舌なめずりをするガディルにゾクリとした瞬間、背後の手摺に両手を置かれて逃げ場をなくした。
食われる……。これ、食われるやつぅ~~っ!!
恐怖と恥ずかしさがミックスされて、思わず目を閉じてしまった。
「ふっ!」
唇が合わさり、何度も角度を変えて重ねられ、息をしようと口を開いた瞬間、舌が侵入してきた。
「○~*✰♡!」
何だ、これ?何だ、これ!何だ、これーーーっ!!
侵入してきた舌を押し返そうと動かした自分の舌は絡め取られ、口内のあちこちを舌で撫で回されて、ファーストキス初体験の私にはどうしようもない。
息は苦しいのに、気持ちはいいしで、身体から力が抜けていく。へたりこみそうな身体は、ガディルの腕にいつの間にか抱き込まれてて、もうヘロヘロである。
「…はぁ…」
やっと離れてくれた時には、目一杯空気を吸った。腰、完全に抜けた……。
「レオ……」
「~~っ!?」
ほっとしたのもつかの間で、それからガディルは痺れを切らしたラムダスさんに声をかけられるまで何回もキスをしてきたのだったーーーー。
「さっきだな…」
「さっき?」
ドレスには自分の色を使った刺繍を施し、互いの色を使ったお揃いの装飾品まで用意していたのだ。かなり前から用意してないとおかしいぐらいの状況。それなのに、私が女だと気づいたのはさっきだという。
え?男にドレスとか用意してたの?ドン引きなんですけど……。
「………離れるな」
無言で離れようとした身体は、後ろからしっかりと抱きしめられた。
「いや離れるでしょ…。女だったから良かったけど、男にこんなの用意してたなんて…」
「…俺は用意していない…。用意したのはラムダスと、そちらの人間だ……」
レン兄様の仕込みかーーっ!!
悔しいような恥ずかしいような複雑な気持ちで、頭がグルグルしてくる。
「…俺が用意したのは…、このスカーフタイと……」
言いながら、ガディルの指が髪を撫で、髪飾りに触れた。
「この髪飾りだけだ……」
「~~~~っ!!」
止めて!耳元で囁くの、ホント止めてっ!しかも色気含んだ低音ボイスは、腰に来るからっ!!
切なそうに囁かれ、私の心臓は止まりそうだ。
前世も今世も、恋愛方面には初心者なのだ。未知の世界だ、勘弁してください!
「……レオノーラ。俺が嫌いか?」
抱きしめる腕の力は増したのに、尋ねる声は弱々しくって……。
「お前が好きなんだ……」
ギュッとさらに抱きしめる力が増し、耳朶にかかる息の熱さにクラクラする。
こんなの無理だ……。こんな想いをぶつけられて、自分の想いを誤魔化しきれるわけがない……。
「……も……。私も、………好き…」
「レオノーラ!」
「だけど…、私は人間だから…。ガディルとは…」
魔族の王族は人と結ばれると、王族でなくなる。出会いはともかく、ガディルがどんなに良き王を目指しているのか、短い間だが見てきたのだ。自分のために、それを無駄にさせれるわけがない。
「……確かにお前は人間だが、何の問題がある?平民出身だからか?魔族は力が第一だから、身分は関係ないぞ?」
「王族は人間と結ばれたら、王族でいられないって……」
「ああ。俺もそう思っていたが、絶対では無いらしい。そもそもそれが本当なら、俺は『聖女』と見合いモドキをさせられた意味がないだろ…」
ガディルの言葉に、ゆっくりと後ろを振り返る。
「まあ、それでも男だと思っていたから、これだけで我慢するつもりだったんだが……」
指先でスカーフタイに触れる姿から、色気がダダ漏れてきていた。
「…だが?」
嫌な予感がしつつも、つい聞き返してしまった。本能は『聞くな!逃げろっ!!』と叫んでる。
「…お前が女で、しかも魔族側も人族側も認めてくれるのならば、遠慮は必要ないだろ?」
金の瞳は捕食者のような獰猛な色を現し、舌なめずりをするガディルにゾクリとした瞬間、背後の手摺に両手を置かれて逃げ場をなくした。
食われる……。これ、食われるやつぅ~~っ!!
恐怖と恥ずかしさがミックスされて、思わず目を閉じてしまった。
「ふっ!」
唇が合わさり、何度も角度を変えて重ねられ、息をしようと口を開いた瞬間、舌が侵入してきた。
「○~*✰♡!」
何だ、これ?何だ、これ!何だ、これーーーっ!!
侵入してきた舌を押し返そうと動かした自分の舌は絡め取られ、口内のあちこちを舌で撫で回されて、ファーストキス初体験の私にはどうしようもない。
息は苦しいのに、気持ちはいいしで、身体から力が抜けていく。へたりこみそうな身体は、ガディルの腕にいつの間にか抱き込まれてて、もうヘロヘロである。
「…はぁ…」
やっと離れてくれた時には、目一杯空気を吸った。腰、完全に抜けた……。
「レオ……」
「~~っ!?」
ほっとしたのもつかの間で、それからガディルは痺れを切らしたラムダスさんに声をかけられるまで何回もキスをしてきたのだったーーーー。
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