双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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第五章 そして新たな神話が生まれた

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「あ、お邪魔してます」

    パーティーを終え、一先ず今日の情報の擦り合わせをしようと、扉を開けた王族専用の応接間のソファで、天に帰ったはずの女神が、エマリア王女に膝枕をしながらお茶を飲んでいた。

『ーーーー』

   レンドル達は言葉もなく立ち尽くした。

    え?何で、ここでお茶してるんだ?

    ソファの後ろでは、ドヤ顔で構えているダリヤがいた。

「……失礼いたします、陛下」

   そっと歩み寄ったグイードが、説明を始めるのであった。


※※※※※※※※
[エマリア視点]

「わあっ!見て見て、ダリヤ。グイード。エレ兄様もレオ姉様もすごく綺麗でカッコイイわ!!」

    会場である大広間を隠れて見渡せる小部屋の窓から、下を見下ろしながらエマリアは目をキラキラさせて興奮していた。
    自分達の大好きな二人の本当の・・・お披露目である。いつもの格好も似合っていて好きではあるが、やはり本来の姿も見てみたかったのは、全員の本音である。

「………」

「姫様。我慢でございますよ……?」

   事前に両親から聞かされてたとは言え、大神殿長によるエレへの暴言の数々には、歯を食いしばって耐え、その後のレオのやり返しには大喜びで飛び跳ねた。
    そして、女神の降臨である。

「……すごうございましたね、姫様……」

「うん……。もっと近くで見たかったわ…」

    神の降臨などそうあるものでは無い。身近に体験できなかったのを、少しだけ悔しいと思ってしまった。

「あら、それなら近くでどうぞ♪」

   その声にダリヤはエマリアを背後に隠し、その前に隠しナイフを構えたグイードが立った。

「驚かせてごめんなさい。終わるまで待たせてもらいたいのだけど」

    そこに居たのは、先程天へと昇っていったはずの女神だった。

「…は、はじめまして、女神様。エマリア・レン・ヒューゲルと申します」

   エマリアは慌ててダリヤから離れると、グイードの少し前に立つと、カーテシーをして名乗った。ダリヤ達も立ち上がり頭を下げる。

「…ミカナ・ゲオナ…です…。顔をあげてちょうだい」

   そうして、案内した女神の相手を務めていたエマリアだったが、興奮していたせいもあり、疲れて眠ってしまったのだ。
    これに慌てたのはグイード達だ。だが、構わないと自分の膝にエマリアの頭を乗せて微笑む女神に、何も言うことも出来ず、逆に話しかけられた事に答え続けていたところに、レンドル達が到着したのであった。


※※※※※※※※

「エマ…………」

「さすが、兄様の娘……」

   思わず片手で顔を覆ったレンドルの隣で、ボソリとエレが呟いた。

「……大変申し訳ございません……」

   耳まで真っ赤になったサラディールが頭を下げる。

「全然、問題ないですよぉ」

   クスクス笑いながら腕に抱き上げ、慌てて駆け寄るレンドルへとそっと手渡す。エマリアはスヤスヤと眠り続けていた。

「子供は可愛いですもんねぇ♪」

    そう言う姿は、女神と言うよりも自分達と同じ存在に見える。
    困り顔で立ち尽くすレンドル達の後ろから、ヒョイと顔を出したのはレオだった。

「待たせました?」

「んー?大丈夫。美味しいお茶も出してもらってたし、可愛い話し相手もいたしね」

    そう答えた女神に、王太子となったアストルは、二人きりで女神と話していたあげく、膝枕までしてもらっていた妹が羨ましくなったが、顔には出さなかった。

    明日、エマが起きたら何を話したか聞かなければっ!

    彼は明日の予定を一つ増やしたーーーー。






   

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