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第六章 五十歩百歩
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「くっはー!やあっぱ、体が楽だと動きやすくっていいねぇ♪」
ご機嫌に剣を振り回すレオの周りには、顔を真っ赤にしている若い騎士達の姿があった。
今までは性別を誤魔化すために、成長中の胸をキツく押さえていたのだが、バラしてしまった今ではその必要が無い。よって、サラシを外した状態での戦闘訓練に参加した。
「……何だよ、あの揺れは……」
「あんまりだ…。悪夢だ……」
訓練の最中、揺れるレオの胸に意識を奪われた騎士、多数。彼らは目を奪われる度に、先輩騎士達に容赦なくぶっ飛ばされていた。
「女だと意識すると、どうしても身構えちまう……。オレらより強いのに、レオ…」
「「「それな!」」」
なまじドレス姿を見たがために、目の前のレオの姿にその時の姿が重なるのだ。
「いや、中身は変わってねえからな…」
呆れ顔のアルテの言葉に、彼らはジトッとした視線を向けた。
「………何?」
首を傾げたアルテに、数人が絡みに行く。
「そういや、お前…。たまにレオ達と居なくなってたじゃん。女だって知ってたのかよ?」
「そうだよ。一人だけずりいぞ…」
「いや。オレの親父、レオの担当護衛だぞ。ガキの頃から知り合いだっつーの……」
つまり、同世代の騎士の中で、最初から二人の本当の性別を知っていたせいで、色々やらされていたと説明する。
「……騎士なのに冒険者やらされてたのかよ…」
「え?それ、別収入!?」
「…冒険者としての収入は、必要経費以外は全額孤児院や救護院の寄付に回されてるよ…。収入的には増えてない。けどまあ、人脈は増えたかな……」
その人脈も、露天のおばちゃん集団や、おっさん連中である。
「でも、女の格好したレオと一緒だったんだろ?今よりラフな格好じゃないのか?」
一人の言葉に、数人がごくりと唾を飲み込んだ。
「まあ…。女剣士の格好だったからな…」
「それはつまり、間近であの揺れを堪能していたということか……」
『っ!!』
「は?んなもん気にしてる暇ねえっつーの!」
ギロリと殺気の籠った視線を向けられ、アルテは困りきった。
冒険者としてのレオは、『勇者』としての姿を気にしなくていいだけに、本能のままに行動するのだ。 止める間もなく突っ走られて、巻き込まれるのはアルテとクルトである。
最初の頃は止めるタイミングも分からずに、攻撃の巻き添えを食らったり、レオの斬り伏せた魔物の血に塗れたりしていたのだが、エレに任せることにしたら、身体も気分も楽になった。
ギルドで美人の受付と話しかけられると、ギルマスに呼ばれるし、いかついおっさん冒険者達にはもみくちゃにされる。
替わっていいなら、替わって貰いたいのが本音である。
「…おや、元気そうですね。まだまだしごけそうじゃありませんか♪」
『グラン副隊長!!』
全員が一斉に立ち上がって敬礼をする。
「レオ!まだ動き足りないと言ってましたね?ここの連中がまだまだ動けるそうですから、全員まとめて相手してもらいなさい♪」
「…………え?オレも?」
哀れ、アルテは巻き込まれた挙句、最後まで残ってしまったがために、散々レオに吹っ飛ばされたのであったーーーー。
ご機嫌に剣を振り回すレオの周りには、顔を真っ赤にしている若い騎士達の姿があった。
今までは性別を誤魔化すために、成長中の胸をキツく押さえていたのだが、バラしてしまった今ではその必要が無い。よって、サラシを外した状態での戦闘訓練に参加した。
「……何だよ、あの揺れは……」
「あんまりだ…。悪夢だ……」
訓練の最中、揺れるレオの胸に意識を奪われた騎士、多数。彼らは目を奪われる度に、先輩騎士達に容赦なくぶっ飛ばされていた。
「女だと意識すると、どうしても身構えちまう……。オレらより強いのに、レオ…」
「「「それな!」」」
なまじドレス姿を見たがために、目の前のレオの姿にその時の姿が重なるのだ。
「いや、中身は変わってねえからな…」
呆れ顔のアルテの言葉に、彼らはジトッとした視線を向けた。
「………何?」
首を傾げたアルテに、数人が絡みに行く。
「そういや、お前…。たまにレオ達と居なくなってたじゃん。女だって知ってたのかよ?」
「そうだよ。一人だけずりいぞ…」
「いや。オレの親父、レオの担当護衛だぞ。ガキの頃から知り合いだっつーの……」
つまり、同世代の騎士の中で、最初から二人の本当の性別を知っていたせいで、色々やらされていたと説明する。
「……騎士なのに冒険者やらされてたのかよ…」
「え?それ、別収入!?」
「…冒険者としての収入は、必要経費以外は全額孤児院や救護院の寄付に回されてるよ…。収入的には増えてない。けどまあ、人脈は増えたかな……」
その人脈も、露天のおばちゃん集団や、おっさん連中である。
「でも、女の格好したレオと一緒だったんだろ?今よりラフな格好じゃないのか?」
一人の言葉に、数人がごくりと唾を飲み込んだ。
「まあ…。女剣士の格好だったからな…」
「それはつまり、間近であの揺れを堪能していたということか……」
『っ!!』
「は?んなもん気にしてる暇ねえっつーの!」
ギロリと殺気の籠った視線を向けられ、アルテは困りきった。
冒険者としてのレオは、『勇者』としての姿を気にしなくていいだけに、本能のままに行動するのだ。 止める間もなく突っ走られて、巻き込まれるのはアルテとクルトである。
最初の頃は止めるタイミングも分からずに、攻撃の巻き添えを食らったり、レオの斬り伏せた魔物の血に塗れたりしていたのだが、エレに任せることにしたら、身体も気分も楽になった。
ギルドで美人の受付と話しかけられると、ギルマスに呼ばれるし、いかついおっさん冒険者達にはもみくちゃにされる。
替わっていいなら、替わって貰いたいのが本音である。
「…おや、元気そうですね。まだまだしごけそうじゃありませんか♪」
『グラン副隊長!!』
全員が一斉に立ち上がって敬礼をする。
「レオ!まだ動き足りないと言ってましたね?ここの連中がまだまだ動けるそうですから、全員まとめて相手してもらいなさい♪」
「…………え?オレも?」
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