双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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第六章 五十歩百歩

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[ガディル視点]

「………………」

    エレのとこから戻り、湯に浸かりラムダス達を下げて寝室へ入った。
    掛布をめくり、何気無しに身体を滑り込ませた所で違和感に気づき、そちらを向いて言葉をなくした。
    現在の状況である。

「ん………」

    ゴロンと寝返りをうち、こちらを向いた顔はよく知る顔で。しかもよくよく見れば、着ているのは自分のシャツである。かなり際どいとこまで胸元が目につく。

    何だ、これ?どういう事だ?

    無防備にすやすやと眠る婚約者レオに、思考もまともに働かず、カタンという物音にそちらを向けば、俺の部屋のドアの反対側にあるドアから、ひょこっと侍女長達の顔が覗いていた。
    そう、覗いていたのだ!

『!』

    グッと拳を握って、俺に向かって頷くと、そっとドアが閉められた。その瞬間、部屋に満ちていくのは防音と防御の結界だ。

    いや、何で防音?昨日までは防御だけだったろうがっ!?

    しかも先程覗かれていたドアの向こうは王子妃の部屋。つまり、俺の妻となる女のための部屋なわけで……。

「……これはつまり、そういう事をしても良いという事か……」

    ゴクリと唾を飲み込んだのは、無意識だった。
    一応、男として経験はある。あるのだが、いざ焦がれた相手を前にして、さっさと…とはいかなかった。

    なぜなら、レオが寝てるから。

「………生殺しか……」

    ガクッと体の力を抜き、まあこれくらいなら許されるよなと、軽く唇を啄んだ。

「………ディ…ル…?」

「っ!?」

    ギクリとしてそっと顔を見ると、トロンとした瞳が俺を見ていた。

「レオ。これはその…」

    どう言い訳をするかと考えるより早く、レオの腕が俺に絡みつく。

「……寝よ?」

   こてんと首を傾げて、レオにそう言われた瞬間、プチンと何かが切れた音が聞こえた気がした。


※※※※※※※※※※
[レオノーラ視点]

「………」

    目を覚ますと室内はめちゃくちゃ明るくて、これはもうとっくに朝は過ぎてるなあ…と、体を起こそうとしたらあちこち痛くて、しかも一番痛い場所は飛んでもない場所で、頭に?が飛び交った。

    よくよく体を見てみると、あちこちに付いた紅い痕があるし、着ていたはずの寝間着とは別の物を着ていた。

「……うぁ……」

    一気に頭の中に昨夜の出来事が甦り、顔は湯気が出てるんじゃないかってくらい熱くなった。

    昨夜。自分はがっつりと・・・・・ガディルに召し上がられてしまったのである。
    それはもう、骨まで食う気かと言うくらいの勢いだった。
    こちとら向こうからずーっと、そういう知識はあれど経験はなかったので、完全に目が覚めた時にはもうかなりパニクっていて、言わんでいいことまで口走ってしまい、許しを乞うても意味が無いほど、暴走されてしまったのだ。

    ド  ウ  シ  テ  コ  ウ  ナ  ッ  タ  ?

    昨夜を冷静に振り返れば、気づけることはたくさんあったのだ。
    そもそもエレ達の部屋から遠い部屋を用意されてたことに違和感を持てよ、私……。
    私に侍女が五人もいるのもおかしいだろ。
    いや、お風呂から出た後も、五人がかりで肌や髪の手入れされた時点で、何故気づかなかったのか……。

「………不覚……」

   とりあえず自分に《完全回復リカバー》をかけ、ベッドから降りた。

「おはようございます、レオノーラ様!」
『おはようございます!!』

   ベッドから降りた瞬間、部屋のドアが開き、数人の女性達がなだれ込んで整列するなり、そう声をかけられた。

「……おはようございま、す?」

    降りた瞬間のこの出来事に、呆気に取られながら言葉を返したものの、何だこの人数……。
    昨夜の五人はまだ分かる。分かるが、何故さらに五人も増えているのか……?

「さあさあ。湯の用意は出来ております。お体を清めて、食事をなさって下さいませ♪」

「へ?いや、一人で大丈『お任せ下さいませ、レオノーラ様!!』」

    お断りの言葉は、侍女さん達の迫力ある食い気味の言葉に打ち消され、私は為す術もないままにお風呂に連行されたのであった。

    魔族領の侍女さん、怖い…………。



************

こちら、R十五のため、端折った十八禁を何処に上げるか悩んでいたりする。
需要あるのだろうか?
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