双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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第九章 他国訪問〔グラシア王国〕

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[ラムダス視点]

「陛下っ!サラディナーサが侮辱されたのですよっ!何故、放置しておられるのですっ!!」

    黒髪をきっちりと纏めて、水色の瞳を吊り上げながら、グラシア王国王妃様が、第三王女へ寄り添いました。

「バカを言うでない。侮辱していたのはナーサの方だ。しかも我が国はサラディナーサの発言により、『勇者』からも『聖女』からも討伐依頼を断られることとなった。この責任をどう取らせるつもりだっ!!」

    王妃様はキッとお二人を睨みつけ、手にしていた扇を突きつけました。

「このような平民如き・・・・に頼らずとも、今まで通り魔族領に頼めばよいのですっ!!」

    はい。レオ様の狙い通りの発言が出ました。ここまで、順調にレオ様たちの作戦通りに進んでおります。ホント、味方で良かったです。

「それは困った…」

    ここで我らの殿下の登場です‪。先程の殿下の一言をもう忘れられているのか、第三王女がうっとりとした顔で見上げてます。王妃様に至っては、満足気に微笑んでいらっしゃいますが、これからどんな目に遭うかも理解出来ずにお気の毒なことです。

「そこにいる『勇者』は俺の唯一の番。その番が討伐を受けないと誓言したからには、我が魔族領の者も誰一人として・・・・・・貴国に対して討伐に向かう者はおりますまい」

「「……は?」」

   首を振りながらそう話す殿下に、女性二人はぽかんと大きく口を開けたままです。

「俺が『勇者これ』を唯一の番として溺愛していることは、魔族領では衆知の事実。さらに我が番は魔族領でも我ら王族よりも人気があるのです。その『勇者』を怒らせた者に救いの手を差し出す者がいるとでも?」

    レオ様を引き寄せ、その頬に口づけをしながら、見せつけるように見つめ合ってます。

    ええ。殿下、拒まれないのを良い事に、やりたい放題してますから、後でレオ様に叱られますね。調子に乗りすぎです……。

「な、何でそんな子が……」

    悔しそうに第三王女が呟きますが、王族としての義務を果たしてない御方と、求められている以上の役目を果たしている御方では、比べるまでもありません。

「そんな子?我が番は『聖女』共々、創造神様が直々に選ばれた『勇者』だ。その魔力量は我ら魔族よりも多く、使える魔法も多種多様。対してそちらの王女殿下はどんな功績が?聞けば未だに嫁ぎ先も見つかっておらぬ様子……」

「そ、それ…は……」

    滅茶苦茶悔しそうに、話してる殿下でなく、殿下の腕の中のレオ様を睨んでらっしゃいます。

「サラディナーサは、素晴らしい娘なのです!ですから、この子に相応しい者でなくば「それ、自分の欲望に対して素晴らしく愚かなだけだよね?」」

    我が子を抱きしめる王妃様の言葉を遮り、レオ様が話し出します。

「婚約者のいる男性に無理やり迫ったり、気に入った男性の婚約者に嫌がらせしたり。身分を笠にして贅沢三昧の挙句、王女としての勤めは体調不良を理由に人任せ。王族としての勤めを素晴らしいくらいに果たせてないよね?」

「「っ!?」」

    レオ様の言葉にお二人共真っ赤になってます。またレオ様が、ものすごーく蔑んだ視線を向けながら話されるものですから、身分を一番にしているお二方にはかなり屈辱でございましょう。

「……平民の小娘風情が……。平民如きが王族に向かってその態度は何ですっ!!」

    パシンと王妃様が手にしていた扇をレオ様に叩きつけました。はい。やっちゃいました。決定的な瞬間です。

「…その平民如き・・・・に頼らないと滅ぶんですよ、このグラシア王国は……。そして、貴女方はそれをここにいる皆さんの前でそう望まれた……」

    出番の無いはずのエレ様が、レオ様にぶつけられた扇を拾われました。

「貴女方のせいで、グラシア王国は滅ぶんです。こんな風に…ね?」

    エレ様の手の中で、扇が一瞬で燃え尽き、塵となって風に流されていきました。

「ひ……、ひいっ!!」

    すぐ目の前でそれを見せられた王妃様は、腰を抜かされたようです。そんな王妃様に、真っ青になって震える王女様がしがみついています。

    ……エレ様。芝居でなく本気ですね。レオ様に対しての態度にかなり怒られておいでのようです。

「衛兵っ!王妃達をまとめて何処かに閉じ込めておけっ!!」

    グラシア王の声に、素早く駆け寄った衛兵達が、引きずるように御二方を連れ去りました。

「『勇者』レオノーラ。『聖女』エレオノール。そして、ガディル殿下。この度は我が王妃と第三王女がご迷惑をおかけした。かくなる上はあの二人は王族から外し、辺境にでも蟄居させると約束する。どうか、討伐依頼を受けていただけぬか?」

    御三方の前にグラシア王ばかりか、重鎮の皆様も膝をついて謝罪をされています。その姿に、周囲の貴族の方々も膝をつかれていきました。

    これ。全部。レンドル陛下とレオ様の立てた計画通りの流れです。本っ当に!御二方を敵に回すことがなくて良かったと、ひしひしと感じましたーーーー。


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