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・コモンウェルス星団鎮圧部隊、星の海よりきたる 1/2
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・語り部X
惑星ファンタジア鎮圧部隊は大統領の命により、【実験的亜空間航法】と呼ばれる禁じ手を使った。これは大きなリスクが伴う危険な航法で、軍では緊急離脱の際にしか使うことはない。
「無事、たどり着けたのか……? おい何をやっているっ、座標の確認を急げ!」
「ゴードン殿、ヨアヒム討伐隊の指揮官は私です。センサー担当、被害状況の確認を優先しろ」
センサー担当は隊長の命令に従い、停止させていたセンサーを再稼働させた。
「た、大変です隊長……っ、ライオット号とF502輸送艦の反応がどこにもありません!!」
センサー担当の叫びにブリッジの皆が顔を青ざめさせた。3隻の軍用コルベットのうち1隻と、2隻の輸送艦のうち1隻が行方不明となっていた。
「ふんっ、輸送艦1隻分の戦闘員がいれば、ヨアヒムを処刑できる!! それよりもファンタジアだっ、惑星ファンタジアを探せ!!」
船員たちは相談役ゴードン・ハインツにうんざりとしていた。まだ40代の若造であるのに傲慢で、戦士たちを手駒としか思っていないインテリ気取りのクズ男。それが手柄泥棒のゴードン・ハインツの評価だった。
「惑星ファンタジアを発見!! で、ですが、これは……っ」
美しい緑と青の惑星、ファンタジアがスクリーンに映し出されると、その背景にもやのようなものが浮かんでいることが確認された。
「そ、そんなっ、そんなバカなっ?! あ、あれは……あれは特大の磁気嵐です……っっ!!」
「なっ、なんだとぉぉーっっ?!! ヤマシタの老いぼれめぇぇっ!! 我らの命を秤に掛けた上に、こ、こんな話は聞いていないぞぉぉーっっ?!!」
最新鋭の、そのうちの最も危険な実験的亜空間航法を使うように命じたのはヤマシタ元帥だった。元帥は老骨に鞭打って大統領に直訴し、この作戦を承認させた。
『大統領、惑星監視官ヨアヒムの裏をかくならばこれしかありません。ヨアヒムの狙いは恐らく時間稼ぎ。彼に時間を与えてはなりません』
結果、部隊に甚大な被害は出たが策は成功した。彼らはヨアヒムの介入により新時代を迎える前の惑星ファンタジアにたどり着いていた。
「センサーによるとあれはLV6の磁気嵐のようです……。ど、どうしましょう、隊長……っ!?」
「なぁっ、LV6だとぉぉっ!? おい何をのん気にほうけている貴様らっ、このままでは船ごと電子レンジにかけられるようなものだぞっ!!」
彼らは到着早々、生存の危機に陥った。隣の恒星系へのジャンプポイントは目前の磁気嵐の先で、彼らが嵐から生き延びる方法はたった1つしか存在しなかった。
「ゴードン殿、貴方の知恵を借りたい。我々はどうすればあの嵐から生き延びられる?」
「知るかっ、そんなこと私が知りたいわっ!!」
彼らは目に見えて動揺していた。ゴードンを含め、彼らは皆がサイボーグ、電子機器の塊だ。超人的な身体能力を持つ反面、磁気嵐には滅法弱かった。
嵐から生き延びる方法が目の前に転がっているというのに、彼らがそれに気付く様子はどこにもなかった。
「自分に提案があるっすぅーっ!!」
コルベット船には白兵戦闘部隊の副隊長が連絡員として乗船していた。名前はジャック・リバー。流れ者の雇われ兵士だ。
「黙れ、戦うしか能のない傭兵ごときが口をはさむな!」
「じゃ、アンタらだけレンジのようにチンされて死ねばいいっすぅーっ!」
ジャックは真っ赤な毛を背中まで伸ばした男で、艦内でも一際目立っていた。
「ジャックは歴戦の傭兵、生存術にかけては評価できるところがある。聞こう、どうすれば我々は生き延びられると思う?」
「ふんっ、バカらしい! 無学な傭兵ごときに何ができる!」
見下してくるゴードンに、ジャックは奇声を上げてあざけった。そして立て続けにたった1つの答えを示す。
「よく見るっす、あるじゃないっすか、そこに! 自分たちを守ってくれる惑星シールドが張られたお星さまがっ!」
「そ、そうかっ、惑星ファンタジアだっ!!」
センサー担当が再度、惑星ファンタジアを表示させ、網目状のそのシールド部分を拡大した。
「つーか最初からこのシールドを突破して、ヨアヒムを討つプランだったんすよね? なら全員であの星に降りりゃいいだけじゃないっすかーっ!」
艦内に希望の叫び声がとどろいた。ジャックは喝采され、他にないと皆が彼の判断を認めた。
「だが船はどうなる!? 本国との通信手段はどうするっ!?」
「ヨアヒムのコルベット船だ」
水を注すようなゴードンのヒステリーに隊長が静かに答えた。
「そうっ、ご名答っ!」
「ヨアヒムがあの磁気嵐を先に察知していたとすれば、とうに安全圏に研究用コルベットを移動させているはず。ヨアヒムの身柄を押さえ、ヤツのコルベットを奪えばいい」
否定屋のゴードンもこれには反論を示さなかった。討伐隊はとうに勝利を確信していたからだ。
ヨアヒムがファンタジアの文明を発展させる前にたどり着いた時点で、既に勝ったようなものだと、彼らは勘違いしていた。
下等な原始文明の民など敵にすらならない、と。
「ふんっ、いいだろう! ヒャハハッッ、ヨアヒムめ、ついに命運尽きたな! よし、ヤツを拷問してでも船を奪い取るぞ、貴様ら!」
「隊長ぉー、あの人どうにかなんないっすかぁー……? メッチャ萎えるっすぅー……」
「止めろ、聞かれたら余計面倒なことになるぞ……」
さてさて、この戦いの結末は皆さんのその目でご覧いただこう。
これよりコモンウェルス星団と、惑星監視官ヨアヒムの仁義なき戦いが始まる。乞うご期待。エネルギー硬貨は投げずにこちらの帽子へどうぞ。
惑星ファンタジア鎮圧部隊は大統領の命により、【実験的亜空間航法】と呼ばれる禁じ手を使った。これは大きなリスクが伴う危険な航法で、軍では緊急離脱の際にしか使うことはない。
「無事、たどり着けたのか……? おい何をやっているっ、座標の確認を急げ!」
「ゴードン殿、ヨアヒム討伐隊の指揮官は私です。センサー担当、被害状況の確認を優先しろ」
センサー担当は隊長の命令に従い、停止させていたセンサーを再稼働させた。
「た、大変です隊長……っ、ライオット号とF502輸送艦の反応がどこにもありません!!」
センサー担当の叫びにブリッジの皆が顔を青ざめさせた。3隻の軍用コルベットのうち1隻と、2隻の輸送艦のうち1隻が行方不明となっていた。
「ふんっ、輸送艦1隻分の戦闘員がいれば、ヨアヒムを処刑できる!! それよりもファンタジアだっ、惑星ファンタジアを探せ!!」
船員たちは相談役ゴードン・ハインツにうんざりとしていた。まだ40代の若造であるのに傲慢で、戦士たちを手駒としか思っていないインテリ気取りのクズ男。それが手柄泥棒のゴードン・ハインツの評価だった。
「惑星ファンタジアを発見!! で、ですが、これは……っ」
美しい緑と青の惑星、ファンタジアがスクリーンに映し出されると、その背景にもやのようなものが浮かんでいることが確認された。
「そ、そんなっ、そんなバカなっ?! あ、あれは……あれは特大の磁気嵐です……っっ!!」
「なっ、なんだとぉぉーっっ?!! ヤマシタの老いぼれめぇぇっ!! 我らの命を秤に掛けた上に、こ、こんな話は聞いていないぞぉぉーっっ?!!」
最新鋭の、そのうちの最も危険な実験的亜空間航法を使うように命じたのはヤマシタ元帥だった。元帥は老骨に鞭打って大統領に直訴し、この作戦を承認させた。
『大統領、惑星監視官ヨアヒムの裏をかくならばこれしかありません。ヨアヒムの狙いは恐らく時間稼ぎ。彼に時間を与えてはなりません』
結果、部隊に甚大な被害は出たが策は成功した。彼らはヨアヒムの介入により新時代を迎える前の惑星ファンタジアにたどり着いていた。
「センサーによるとあれはLV6の磁気嵐のようです……。ど、どうしましょう、隊長……っ!?」
「なぁっ、LV6だとぉぉっ!? おい何をのん気にほうけている貴様らっ、このままでは船ごと電子レンジにかけられるようなものだぞっ!!」
彼らは到着早々、生存の危機に陥った。隣の恒星系へのジャンプポイントは目前の磁気嵐の先で、彼らが嵐から生き延びる方法はたった1つしか存在しなかった。
「ゴードン殿、貴方の知恵を借りたい。我々はどうすればあの嵐から生き延びられる?」
「知るかっ、そんなこと私が知りたいわっ!!」
彼らは目に見えて動揺していた。ゴードンを含め、彼らは皆がサイボーグ、電子機器の塊だ。超人的な身体能力を持つ反面、磁気嵐には滅法弱かった。
嵐から生き延びる方法が目の前に転がっているというのに、彼らがそれに気付く様子はどこにもなかった。
「自分に提案があるっすぅーっ!!」
コルベット船には白兵戦闘部隊の副隊長が連絡員として乗船していた。名前はジャック・リバー。流れ者の雇われ兵士だ。
「黙れ、戦うしか能のない傭兵ごときが口をはさむな!」
「じゃ、アンタらだけレンジのようにチンされて死ねばいいっすぅーっ!」
ジャックは真っ赤な毛を背中まで伸ばした男で、艦内でも一際目立っていた。
「ジャックは歴戦の傭兵、生存術にかけては評価できるところがある。聞こう、どうすれば我々は生き延びられると思う?」
「ふんっ、バカらしい! 無学な傭兵ごときに何ができる!」
見下してくるゴードンに、ジャックは奇声を上げてあざけった。そして立て続けにたった1つの答えを示す。
「よく見るっす、あるじゃないっすか、そこに! 自分たちを守ってくれる惑星シールドが張られたお星さまがっ!」
「そ、そうかっ、惑星ファンタジアだっ!!」
センサー担当が再度、惑星ファンタジアを表示させ、網目状のそのシールド部分を拡大した。
「つーか最初からこのシールドを突破して、ヨアヒムを討つプランだったんすよね? なら全員であの星に降りりゃいいだけじゃないっすかーっ!」
艦内に希望の叫び声がとどろいた。ジャックは喝采され、他にないと皆が彼の判断を認めた。
「だが船はどうなる!? 本国との通信手段はどうするっ!?」
「ヨアヒムのコルベット船だ」
水を注すようなゴードンのヒステリーに隊長が静かに答えた。
「そうっ、ご名答っ!」
「ヨアヒムがあの磁気嵐を先に察知していたとすれば、とうに安全圏に研究用コルベットを移動させているはず。ヨアヒムの身柄を押さえ、ヤツのコルベットを奪えばいい」
否定屋のゴードンもこれには反論を示さなかった。討伐隊はとうに勝利を確信していたからだ。
ヨアヒムがファンタジアの文明を発展させる前にたどり着いた時点で、既に勝ったようなものだと、彼らは勘違いしていた。
下等な原始文明の民など敵にすらならない、と。
「ふんっ、いいだろう! ヒャハハッッ、ヨアヒムめ、ついに命運尽きたな! よし、ヤツを拷問してでも船を奪い取るぞ、貴様ら!」
「隊長ぉー、あの人どうにかなんないっすかぁー……? メッチャ萎えるっすぅー……」
「止めろ、聞かれたら余計面倒なことになるぞ……」
さてさて、この戦いの結末は皆さんのその目でご覧いただこう。
これよりコモンウェルス星団と、惑星監視官ヨアヒムの仁義なき戦いが始まる。乞うご期待。エネルギー硬貨は投げずにこちらの帽子へどうぞ。
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