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・惑星監視官、玉砕覚悟で行動に出る
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援護射撃。それは連携あってのものだ。俺は仲間がそれとなく振ってくれた援護射撃をことごとくふいにした。
ロースクール時代は初恋の相手に一言もしゃべれなかった。いざ告白すると決めると、俺はあの頃からまるで進歩していない事実を突きつけられた。
そんな俺にカリストレスが特大のチャンスをくれた。みんなを買い出しに誘って、リビングにヴィオレッタと二人っきりになるよう仕向けてくれた。
「ヴィ、ヴィオレッタちゃん……あ、あの、あのよ……」
「ヨアヒム、折り入って話がある」
「お、おぉぅっ!?」
「ステラとパイアのことだ。そなたはもう少し、あの子たちのことを真剣に考えるべきだ」
ところがいきなり予定外の話の流れになった。
「そなたはあの子たちをどうするつもりだ?」
「ど、どうって……その……」
大切な家族だ。できれば独り立ちするまでこの家に置いてやりたい。
だけどよぉ、このセリフをこの場で言っちまうと、告白への話の腰がへし折れねぇか!?
「ステラもパイアも戦禍で親を失っている。そなたにとても懐いている。この先もこの家にあの子たちを置くのならば、そなたにはなすべき義務があろう」
今夜の告白は失敗だ。ジャックに笑い飛ばされることになるだろう。
「養子の話か?」
「そうだ。そなたが親になるべきだと思う」
「けど、受け入れてくれるかね、アイツら……?」
「何を言っている、そなたたちは既に家族だ。これからもずっと一緒にいてやれ」
「わかった、話を持ちかけてみる。ありがとよ、ヴィオレッタちゃん」
告白は失敗だが無性に嬉しくなった。あの子たちのことをヴィオレッタが気にかけてくれているのが俺にはすげぇ嬉しかった。
「ところでヨアヒム、そなたから某に……話が、あるのではないか……?」
「え……?」
「その……何か話がありそうな顔をしているような……そんな顔に見えただけだ……っ!」
ヴィオレッタらしくない歯切れの悪さだった。普段なら要点を先に述べる彼女がソワソワとした様子でこちらの言葉を待っている。
「何か、ないのか……?」
話ならある。そのためにトマトパスタのレシピを覚えた。ヴィオレッタは俺が大皿から取り分けたパスタを美味いと言ってくれた。
「あ、あるぜ……」
「そ、そうか……っ、ならば聞こう……っ」
俺はテーブル向かいの女性を見つめた。意を決して立ち上がり、身を乗り出して手を取った。
羊の角を持つ女性は目を大きく広げてそれに驚いた。
「この前も、そのまた前も……俺っちはこの言葉を伝えるためにお前さんを誘った……。けどよ、こうして前にすると、ガキに戻っちまったみてぇに……何も伝えられなくなっちまう……」
出会ったその日、俺はヴィオレッタに好ましいものを感じた。あの日の真っ直ぐな槍さばきと真っ直ぐな言葉に信頼を覚えた。
この気持ちのいい女性が毎晩うちのリビングにいてくれたら最高だ。彼女とここで一緒に暮らしたい。
「某も同じだ。そなたを前にすると、品のない子供に戻ってしまう……。ヨアヒム、教えてくれ……。そなたは今夜、なんのために、某をここに呼んだ……?」
期待するようにヴィオレッタが声を弾ませた。少し不安そうに立ち上がっている俺の顔をうかがった。
いける。これはいける! ……ような気がする。
「俺っちはよ、祖国の技術や、サイボーグ化した身体がなければ何もできねぇダメなおっさんなのさ……」
「そんなことはない。そなたの心の力が皆を導いたからこそ、今日があるのだ。このウンブラはそなたの人柄の賜物だ」
偽らない女性ヴィオレッタの褒め言葉は、俺をお調子者の浮かれたおっさんに変えかけた。だが今夜はそういうのは無しだ。
「ありがとよ。実は、俺っちは願掛けをしていたんだ。この家を俺っち1人の力で建てることができたら……その時は、その……」
勇気を出したらテーブルという障壁が邪魔になった。俺は手を放し、彼女の隣に回り込んで再び手を取ると立ち上がらせた。
「教えてくれ、ヨアヒム。その時は、どうするつもりだった……?」
「それは――それは――それは、その、あのだな、それは――」
そこで言葉が詰まった。どんなにがんばっても言葉が出てこなかった。
かくなる上は致し方ない。押しても開かない扉は蹴り破るのが俺の流儀。行き詰まったら行動、行動あるのみだ。
「だああああっっ、こうなりゃ自棄だっっ!! ヴィオレッタちゃんっ、俺っちはっ、俺の答えはこうだっ!!」
元より考えより行動の方が早い性質だった。俺は行動で高ぶる気持ちを示した。ヴィオレッタを強引に抱き寄せ、相手の気持ちを無視して唇を奪った。
彼女は抵抗しなかった。あれだけ猛々しい魔将ヴィオレッタが静かに男のすることを受け入れた。
行動で気持ちを示したら勇気が出た。彼女の唇を解放し、想いを伝えることにした。
「この家は、ステラとパイアを養子に迎え、その上でヴィオレッタちゃんと同居してもらうつもりで建てた!!」
「フッ、フフフッ……なんて告白だ」
「俺っちはよ、好きな女ができたからって、あの子たちを自分から遠ざけるなんてできねぇっ! だからでかい家を作った!! 全部手に入れるためにだ!!」
全てをぶちまけると楽になった。俺は『お前が欲しい』と行動で言葉を示し、彼女の唇を再び奪った。
「ヨアヒム、某のことが好きか?」
「好きだ!! 俺っちと交際してくれ、ヴィオレッタちゃん!!」
ヴィオレッタは嫌な顔なんてしていなかった。俺の勘違いかもしれないが、嬉しそうにこちらに微笑んでいた。
「ヨアヒム、実は、某も――」
――――――――――――――――――――
緊急警告:
ワームホールからの敵性体の反応を検出。
性急な迎撃を推奨。
識別コード:ルプトニクツ神聖略奪団
――――――――――――――――――――
「ヨアヒム……?」
盛り上がっていたのに相手が一瞬で真顔に戻れば、誰だって戸惑うだろう。だがコイツはもう、好いて好かれてどうこうって状況ではなくなっていた。
俺は生身の方の右目を抱えて、コルベット船からの間の悪い通知を呪った。こういうのはサイボーグ化しなきゃよかったあるあるのうちの1つだ。
「緊急事態だ、魔王殿の玉座の間に閣僚を集めてくれ」
「何があった……?」
せっかく最高にかわいい顔をしていたのに、キリリとしたカッコイイヴィオレッタに戻ってしまった。
「銀河の嫌われ者のご登場だ」
「そなたらしくもない苦々しい顔だ。どうやら、相当にまずい状況のようだな?」
「ああ、やつらは最悪だ……。何せやつらは……宇宙最低の人攫いどもだ……」
ルプトニクツ神聖略奪団。それは宇宙最悪の海賊国家の名前だった。
ロースクール時代は初恋の相手に一言もしゃべれなかった。いざ告白すると決めると、俺はあの頃からまるで進歩していない事実を突きつけられた。
そんな俺にカリストレスが特大のチャンスをくれた。みんなを買い出しに誘って、リビングにヴィオレッタと二人っきりになるよう仕向けてくれた。
「ヴィ、ヴィオレッタちゃん……あ、あの、あのよ……」
「ヨアヒム、折り入って話がある」
「お、おぉぅっ!?」
「ステラとパイアのことだ。そなたはもう少し、あの子たちのことを真剣に考えるべきだ」
ところがいきなり予定外の話の流れになった。
「そなたはあの子たちをどうするつもりだ?」
「ど、どうって……その……」
大切な家族だ。できれば独り立ちするまでこの家に置いてやりたい。
だけどよぉ、このセリフをこの場で言っちまうと、告白への話の腰がへし折れねぇか!?
「ステラもパイアも戦禍で親を失っている。そなたにとても懐いている。この先もこの家にあの子たちを置くのならば、そなたにはなすべき義務があろう」
今夜の告白は失敗だ。ジャックに笑い飛ばされることになるだろう。
「養子の話か?」
「そうだ。そなたが親になるべきだと思う」
「けど、受け入れてくれるかね、アイツら……?」
「何を言っている、そなたたちは既に家族だ。これからもずっと一緒にいてやれ」
「わかった、話を持ちかけてみる。ありがとよ、ヴィオレッタちゃん」
告白は失敗だが無性に嬉しくなった。あの子たちのことをヴィオレッタが気にかけてくれているのが俺にはすげぇ嬉しかった。
「ところでヨアヒム、そなたから某に……話が、あるのではないか……?」
「え……?」
「その……何か話がありそうな顔をしているような……そんな顔に見えただけだ……っ!」
ヴィオレッタらしくない歯切れの悪さだった。普段なら要点を先に述べる彼女がソワソワとした様子でこちらの言葉を待っている。
「何か、ないのか……?」
話ならある。そのためにトマトパスタのレシピを覚えた。ヴィオレッタは俺が大皿から取り分けたパスタを美味いと言ってくれた。
「あ、あるぜ……」
「そ、そうか……っ、ならば聞こう……っ」
俺はテーブル向かいの女性を見つめた。意を決して立ち上がり、身を乗り出して手を取った。
羊の角を持つ女性は目を大きく広げてそれに驚いた。
「この前も、そのまた前も……俺っちはこの言葉を伝えるためにお前さんを誘った……。けどよ、こうして前にすると、ガキに戻っちまったみてぇに……何も伝えられなくなっちまう……」
出会ったその日、俺はヴィオレッタに好ましいものを感じた。あの日の真っ直ぐな槍さばきと真っ直ぐな言葉に信頼を覚えた。
この気持ちのいい女性が毎晩うちのリビングにいてくれたら最高だ。彼女とここで一緒に暮らしたい。
「某も同じだ。そなたを前にすると、品のない子供に戻ってしまう……。ヨアヒム、教えてくれ……。そなたは今夜、なんのために、某をここに呼んだ……?」
期待するようにヴィオレッタが声を弾ませた。少し不安そうに立ち上がっている俺の顔をうかがった。
いける。これはいける! ……ような気がする。
「俺っちはよ、祖国の技術や、サイボーグ化した身体がなければ何もできねぇダメなおっさんなのさ……」
「そんなことはない。そなたの心の力が皆を導いたからこそ、今日があるのだ。このウンブラはそなたの人柄の賜物だ」
偽らない女性ヴィオレッタの褒め言葉は、俺をお調子者の浮かれたおっさんに変えかけた。だが今夜はそういうのは無しだ。
「ありがとよ。実は、俺っちは願掛けをしていたんだ。この家を俺っち1人の力で建てることができたら……その時は、その……」
勇気を出したらテーブルという障壁が邪魔になった。俺は手を放し、彼女の隣に回り込んで再び手を取ると立ち上がらせた。
「教えてくれ、ヨアヒム。その時は、どうするつもりだった……?」
「それは――それは――それは、その、あのだな、それは――」
そこで言葉が詰まった。どんなにがんばっても言葉が出てこなかった。
かくなる上は致し方ない。押しても開かない扉は蹴り破るのが俺の流儀。行き詰まったら行動、行動あるのみだ。
「だああああっっ、こうなりゃ自棄だっっ!! ヴィオレッタちゃんっ、俺っちはっ、俺の答えはこうだっ!!」
元より考えより行動の方が早い性質だった。俺は行動で高ぶる気持ちを示した。ヴィオレッタを強引に抱き寄せ、相手の気持ちを無視して唇を奪った。
彼女は抵抗しなかった。あれだけ猛々しい魔将ヴィオレッタが静かに男のすることを受け入れた。
行動で気持ちを示したら勇気が出た。彼女の唇を解放し、想いを伝えることにした。
「この家は、ステラとパイアを養子に迎え、その上でヴィオレッタちゃんと同居してもらうつもりで建てた!!」
「フッ、フフフッ……なんて告白だ」
「俺っちはよ、好きな女ができたからって、あの子たちを自分から遠ざけるなんてできねぇっ! だからでかい家を作った!! 全部手に入れるためにだ!!」
全てをぶちまけると楽になった。俺は『お前が欲しい』と行動で言葉を示し、彼女の唇を再び奪った。
「ヨアヒム、某のことが好きか?」
「好きだ!! 俺っちと交際してくれ、ヴィオレッタちゃん!!」
ヴィオレッタは嫌な顔なんてしていなかった。俺の勘違いかもしれないが、嬉しそうにこちらに微笑んでいた。
「ヨアヒム、実は、某も――」
――――――――――――――――――――
緊急警告:
ワームホールからの敵性体の反応を検出。
性急な迎撃を推奨。
識別コード:ルプトニクツ神聖略奪団
――――――――――――――――――――
「ヨアヒム……?」
盛り上がっていたのに相手が一瞬で真顔に戻れば、誰だって戸惑うだろう。だがコイツはもう、好いて好かれてどうこうって状況ではなくなっていた。
俺は生身の方の右目を抱えて、コルベット船からの間の悪い通知を呪った。こういうのはサイボーグ化しなきゃよかったあるあるのうちの1つだ。
「緊急事態だ、魔王殿の玉座の間に閣僚を集めてくれ」
「何があった……?」
せっかく最高にかわいい顔をしていたのに、キリリとしたカッコイイヴィオレッタに戻ってしまった。
「銀河の嫌われ者のご登場だ」
「そなたらしくもない苦々しい顔だ。どうやら、相当にまずい状況のようだな?」
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